始まりの原因
朝だ、新しい朝がやってきた。昨日の疲れも何処へやら、何だか、清々しい気分だ!!
「う~ん!!」
伸びをして、左隣を見る。そこには、アリーと、何故か全裸のヒイラが寝ていた。あれ、何で全裸なんだっけ?確か、拷問を続けてたら、ヒイラのあれが、あれして…。それで、これ以上濡れるとあれだからってことで、アリーが脱がしたんだっけか。うん、確かそうだ。それで俺は、生でヒイラのを揉み…。…いかんいかん、清々しい朝じゃないか。今はやめよう…。それよりも…。
「…」
「うーん、ご主人様…」
いつも通り、ミルクが俺の股付近で寝ている。だが、今日は、いつもと若干位置が違っていた…。ミルクの胸が、俺の股の上に乗っている…。…もしや、俺が清々しい理由とは…。
「…」
取り敢えず俺は、ズレているズボンを、履き直すことにした…。
「マスター!ご飯、出来ましたよ!」
「主、それにミルクも!!早く起きないと、冷めてしまいますよ」
台所から、フィーと、レムが、エプロン姿で出てくる。おっ、こういうのでいいんだよ、こういうので。清々しい朝って、こういう感じじゃないか!!ありがとう、フィー、レム。お陰で、清々しさが戻ってきた気がするよ。俺は、アリー、ヒイラ、ミルクを起こして、皆が用意してくれた、朝ごはんを食べることにした。
*
「う、ううっ…」
うーん、さっきからヒイラが、顔を赤らめたまま俯いてしまっていて、食事が進んでいない。しかも、時折ちらっと俺の方を見ては、更に顔を赤らめて俯いてしまうを繰り返している。大丈夫だろうか、これ…。
「ヒイラ、早く食べないと冷めるわよ。…あむっ」
ご飯を食べながら、アリーがそう言う。だがヒイラは、頭を抱えて動こうとしない。…俺からも、何か声をかけた方がいいだろうか。
「ヒイラ…」
「ひゃわぁぁぁぁぁああああああ!!!!!な、何!!ベイ様!!…、じゃなくて…、君」
「あ、いや…」
滅茶苦茶、大きい反応が帰ってきた。うーん、さて、どう声をかけたものか…。
「ふふふっ、ヒイラさんも、私と同じ素質がありそうですね。ほらヒイラさん、ご主人様のことを、ご主人様と呼んでみてください。きっと、気持ちよく成れると思いますよ…」
お前は、何を言っているんだ、ミルク。
「ご、ご主…。…ゴクリ」
そしてヒイラは、何故か、生唾を飲み込んだ。まるで、かなり魅力的な提案ですね。みたいな反応だ。…つまり良いのか?外でそんな呼び方されたら、絶対、あらぬ誤解を受けるぞ!!それも、恥ずかしい方の!!
「ふむ、召喚魔物でも無いのに、ベイをご主人様と敬うヒイラ…。悪く無いわね…」
…アリーも、何を言ってるんだ。そんな事態になったら、学校に行きにくくなるんですけど…。
「ヒイラが、ベイに全面的に服従してくれるなら、そう悪い話では無いわよね?」
「そうね…。…うん?」
…?今なんか、おかしくなかったか?アリーが、1人で話題を振って、返事をしていたような?
「…誰?」
「誰って、この容姿と、この声よ。分からない?」
「…誰?」
「…ベイは、分かるわよね?」
いつの間にか、座っていた女性は、そう言う。いや…、まさか、そんなはずは…。容姿も、結構違う。胸は大きいし、背も少し高い。だがこの声、あの赤い髪、そして俺の心を掴んで離さない謎の魅力…。まさか、まさか…。
「…に、偽物?」
「いえ、本人よ。そっちとは、別物?だけど」
「あわわわわわ!!!アリーちゃん!!」
ヒイラが、さっきとは、別の意味で焦っている。ヒイラ、知っていたのか!?
「「うん?」」
ヒイラの呼びかけに、2人のアリーが答える。ややこしいな!!だが俺にとって、この状況はどうだろう。理想郷か、何かではないだろうか?…そうか!!これは、俺の夢だな!!俺が、アリーを好きすぎて、こういう夢を見ているに違いない!!
「う~ん、アリー、ちょっと俺のほっぺ、つねってみて?」
「「うん?どうしたの、急に?まぁ、いいけど…」」
セリフも完璧にかぶせ、俺の頬を、左右から引っ張るアリー。俺を気づかってか、そんなに痛くは引っ張らない。うーん、何だろう、幸せだなぁ…。ほっぺ、引っ張られてるのに…。って、違う!!…やはり、夢じゃないのか?
「ほ、本当に、まさかのダブルアリー…?」
「まぁ、そういうことね」
「?わ、私…?」
俺の正妻アリーは、混乱しているようだ。考えるように、顎に手を持ってきて、もう一人のアリーをじっと見ている…。
「…確かに、美人ね…」
「でしょう?」
…自画自賛である。いや、俺にとっては、まさにその通りです!!というしか無いんだけど…。二人とも、最高なんだけど。ドストライクなんだけど…。
「で、何で私が、2人いるわけ…?」
「それはね…、私が一番良く解ってるんじゃないかしら?」
うん?どういうことだ…。アリーは、この状況の原因が、分かるっていうのか?正直俺は、なんでも良いから、この夢の様な状況が続いて欲しいと思うだけで、精一杯なんだけど…。
「…」
アリーは、考え込んでいるが、分からないといった様子だ…。そりゃあ、自分が2人に増えるなんて、意味分からないよな。
「う~ん、じゃあ、ヒントね。この中に1人、かなり人生で得をしている人がいます。それは誰でしょう?」
…ああ~、これ、俺だわ。多種多様な、女の子に囲まれて。しかも、最愛の妻もいて。今では、2人に増えている。俺だわ。間違いなく、俺だわ…。
「…私ね」
「正解!!」
…ええええええええええええ!!!!!!!!俺のことじゃないの!!!!!俺、今、幸福だよ!!人生で、1番幸福だよ!!
「なるほど…。そういうことね」
「そ、そういうこと」
えっと、つまりどういうこと…。俺には、何がなんだか…。
「ベイ?」
「うん?何かな、アリー」
俺は、大人アリーに、呼ばれたので答える。ニコニコして、何処か悪戯っぽい笑みを、大人アリーは浮かべていた。
「あなたをこの世界に呼んだの、実は、私でしたー!!!!!」
両手を上げて、ネタばらしするように、答える大人アリー。
「…えっ」
俺は、その事実を聞いて、あまりの事に一瞬、思考が停止した。