魔石剣の力
「(先輩方の力、お借りします。モード・ミルク、破砕のガントレット!!)」
瞬間、俺の手の中にあったアルティは、2つの光に別れ、俺の腕に張り付いた。即座に、その形状が変形し、虹色の光を帯びた、巨大なガントレットへと変わっていく!!
「こ、これは…」
「(私の武装!!)」
今ミルクが言った通り、今のアルティの形状は、ミルクの破砕のガントレットに近い形をしていた。ただ、何処かしらか、パワーアップしているような?素材が、土の魔力だけじゃないし、そのせいだろうか?
「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!!私の、アルティが!!!変形したー!!!!!!!!」
客席から、ミオの声が聞こえる。…これは、まずい所を見せてしまっただろうか…。
「格好いい!!!!!!!!!!!」
…意外と、ミオ的にはOKなようだ。ならいいか…。
「へー…。剣から、拳にってか。面白い…!!!」
壁を踏み砕き、ガンドロスが俺に向かって剣を構え、跳躍する!!ええい…、こうなったら、やるしかないか!!!俺は、ガントレットに変形したアルティを、力強く握りしめ、拳を固める。俺は、そのまま跳躍してくるガンドロス目掛けて、拳を放った!!ガンドロスの剣と、俺の拳が激突する!!!
「……」
「……」
…何だ?おかしな手応えだ?俺達は、互いの武器をぶつけ合った。ただ、それだけだ…。だと言うのに、俺の感じている手応えは、ガンドロスを直接殴ったかのような手応えに近い。
「…ぶ、ぶっは!!」
俺との武器のぶつけ合いで、後ろに飛ばされ着地したガンドロスは、その場で血を吐いた。まるで、直接腹に物凄い攻撃でも受けたかのように、身体をやや曲げ、苦しそうにしている。どうなってるんだ…?
「て、てめぇ…、やるじゃねぇか…」
いやいやいや、俺もよく分かってないんですけど!!なんで、そんなダメージ受けてるんですか!?
「(これが、真・破浸透です。マイマスター)」
真・破浸透?え、何?ミルクの能力の、上位版ってこと?
「(その考えで間違いありません、マイマスター。私が、ミルク姉さんの力を解析し。私の能力と、ミルク姉さんの能力を混ぜることによって、より良い力になるようにしています)」
えっと、つまり…。今、ガンドロスがダメージ受けてるのは、剣を通して、直接ガンドロスに打撃力を送ったからってこと?
「(はい。その通りです、マイマスター。ちなみに、これでは、どのようにパワーアップしたか分からないでしょう?今までのミルク姉さんのお力でも、この程度は可能ですからね。ですので、ちょっとそこら辺で拳を振るってみてください、マスター)」
えっと、こうか?俺は、その場で空中に拳を振るった。…すると俺を警戒して、離れて剣を構えていたガンドロスが、横薙ぎに吹っ飛んだ!!…これは、一体…?
「(ありとあらゆる物に、その破壊力を浸透させ、直接破壊する。つまり、それは空気にも当てはまります。今、マスターの攻撃は、どのように振るおうが、何処を殴ろうが、敵にその威力が伝わる。そうなっていると、考えてもらっていいでしょう)」
…それって、かなりやばいな。相手は、防御出来ないんだから、常に俺の攻撃をくらい続けることになる。以下に、相手が強いと言っても、それではどうすることも出来ないだろう。俺の攻撃が、決して弱いわけではないし…。
「…ごふっ、なんだ、まだ隠し玉があったのかよ…。しかも俺に、ここまでダメージを追わせるとはな…。ふっ…、いいぜ、そう来るなら俺も、本気を見せてやる!!!!!」
ガンドロスの気が、薄く張り付いた状態から、徐々にでかくなっていく。それはガンドロスの周りを炎のように揺らめき、燃やさんばかりの勢いで、動いていた。そして、ガンドロスから感じていた気配が、殺気に変わる…!!
「さぁ、持ち堪えてみせろ、ベイ・アルフェルト…!!!」
その言葉を言い終えると同時に、ガンドロスの姿が消えた!!
「なっ…!!」
「(侮れませんね。現状の私達ですら、捉えきれないスピードを出せるとは…。しかし、そのスピードの速さにより、大気の動きからその位置を捉えることは、可能です。…マスター、後ろから来ます!!)」
俺は振り向くと、僅かにこちらに向かってくるガンドロスを捉えることが出来た…。瞬間的に、俺は腕で防御姿勢を取る。ガンドロスの剣が、ガントレットに激突し、そのまま俺の身体を吹き飛ばした!!!
「ぐわぁあ!!!!」
「まだまだ、だぜ…」
吹き飛ばされた瞬間、背中から更に、ガンドロスの声がする。俺は、片手をなんとか動かし、後ろを防御した。次の瞬間、新たな衝撃に、俺は再度吹っ飛ばされる!!!
「まだまだーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ぐっ、…うわっ!!」
地面や壁に着くより先に、ガンドロスの斬撃によって俺は、吹き飛ばされ続けた!!それでも、俺はなんとかその攻撃を、防いでいく!!まともに受ければ、即死だな…。だが俺は、今までの戦闘経験から、この状況でも冷静に対処出来ていた。魔力で風の動きと、ガンドロスの攻撃の動きを読み。それを防いで、チャンスを待つ…。かなり劣勢だが、今はこれしかない…。俺は、両手を動かしながら、必死で攻撃を防ぎ続けた。
「(…やはり、敵も相当な力を出しているせいか、身体の負担がでかいようですね…。少し、動きが鈍りつつあります。マスター、そろそろ反撃と行きましょう。モードチェンジ・シデン、二尾の鎖!!)」
アルティが輝き、ガントレットから、2本の鎖へと姿を変える!!その鎖は、俺の腰の両端に一本づつ、装着された!!その鎖が瞬時に伸び、動きが鈍くなったガンドロスを絡めとり、電撃を流す!!!
「ぐわぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!!!!!」
ダメージを与えることは出来たが、流石に突っ込んでくる力を抑えることは出来ない。俺は、鎖を円を書くように振り回し、ガンドロスを受け流しながら、地面に叩きつけた!!!
「グホッ…!!!」
ガンドロスが、受け身も取れず地面に叩き付けられ、俺はやっと地面に着地する。時間的には、ものの数分程度だっただろう。だが、俺には、ひどく長い間攻撃を防いでいるように感じられた。
「くっ…、若造が…。あれでもまだ、反撃してくるとわな…。感心する…ぜ…」
ガンドロスは、剣を支えにしながら、起き上がってくる。巻きつけていた鎖は、叩きつけた時に外れていた。俺は、鎖を引き寄せ、ガンドロスの次の動きに備える。
「…くっそ…、やはり負担がでかすぎるか…。次が最後って所だな…」
力強くガンドロスは、仁王立ちすると剣を構える。すぅーっと息を吐くと、ピタッと動きを止め。また身体に気をみなぎらせて行った!!!…今までに見た、気よりもでかい…。どうやら、全力の一撃が来るようだ…。
「(チェンジ・アルティ)」
鎖が、剣に変化し、俺の腕に握られる。俺は、アルティに魔力をみなぎらせて行った!!さぁ、決着と行こう…。