おまけの最終戦
「お、お泊りですか!!アリーさん!!」
「そうよ!!今日は、ヒイラのあれやこれやを、ベイに見てもらうのよ!!」
「はわわわわわわわわわわ!!!!!!!!!!!!」
ヒイラが、さっきまで以上に焦っている。…つまり、今夜は俺にとって最高!!ということのようだ。うちの嫁さんは、よく出来たいい嫁さんだなぁ…。普通の人だったら、まずこう言う展開にならない。むしろ、修羅場突入だろう。
「な、なんでそういうことになるの…!!」
「それは、ヒイラが何時までたっても、覚悟を決めないからよ。ベイの専属魔法使いとしての、責任感を持ってもらわないと…!!」
「専属魔法使いって、キスとかをする関係のことじゃないからね!!ましてや、お泊りで、そんな…、そんなことする関係じゃないからね!!」
「え~、そのほうが楽しいのに…」
「アリーちゃん!!!!!!!!!!!!」
またアリーは、ヒイラに肩を揺さぶられている。その顔は、とても楽しそうだ。
「むむむ、アリーさん!!私も…!!!」
「あっ、サラサは、また今度ね。一応、ヒイラを呼ぶのは、それなりに理由があるからだから…」
「えっ?本当?」
「まぁ、ベイにあれやこれやは、事実だけど…」
「あわわわわわ!!!アリーちゃん!!!!!」
また楽しそうに、アリーは、揺さぶられている。
「ぐぬぬ…。羨ましい…。私も、ベイに…。いや、流石に、まだ恥ずかしさが…。しかし、これだけの美女揃いの中で、これ以上出遅れるわけには…」
サラサは、何か1人で呟いている。きっと、アリーの無茶苦茶な言動の考察でもしているのだろう。俺にも、その真意は分からない。
「アリーさん!!次は、次こそは、私も呼んでください!!!!」
「…そうねぇ…。ベイの為に、全てを受け入れる覚悟があるなら、次は呼んであげるわ」
「!!…なるほど。分かりました。しかし、私はもう、その程度の覚悟は出来ています!!ベイを夫にする!!この思い、もう揺るぎようもありません!!!」
「…そう。…強くなったわね、サラサ。その意気や良し!!!じゃあ、今度、呼ぶわね。一応、ある程度の覚悟はしといて。ヒイラ並の覚悟がないと、受け入れられないかもしれないから」
「私は、全然覚悟とか出来てないよ!!!!!!」
「大丈夫!!ヒイラは、身体が自然と受け入れてくれるわよ!!」
「むしろ嫌だよ!!その言い方、怖いよ!!!」
「でも、ほら…」
とんっと、アリーはヒイラの肩を押して、俺の方にヒイラを突き飛ばす。俺は、その場でヒイラを抱きとめた。
「あっ…」
「ベイにされると思うと、抵抗出来ないでしょう…?」
「…!!」
どうやら、アリーに言われた通りらしい。ヒイラは、顔を赤くしたまま、俺の腕の中から逃れようともしなかった。
「あっ…、いや、その…。…んっ…」
それどころか、チラチラと俺の顔を数度見ると、覚悟を決めたように目をつむり、キスを待っている。うーん、何と言う落ちやすさ!!そして、何と言うあざとさ…!!!俺は、そんなヒイラの頬を撫でた。ヒイラは、うっとりとした目で、俺を見つめ返してくる。俺の腕を柔らかく握り返し、今度はゆっくりと目を閉じて、よりキスをしやすいように顔を上げた。
「いけー!!ベイ、そこだー!!!」
アリーから、謎の声援が飛ぶ。俺は、ゆっくりと顔を近づけていった。
「…あっ、ご主人様。残念ながら、時間みたいですね」
「え~、それでは、皆様。最終戦を終えての、おまけの最終戦試合!!大会優勝者対、教師による、特別試合を開催します!!!!」
「「「「「「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」」」」」
…どうやら、もう1時間経ったらしい。俺は、名残惜しいが、ヒイラを離した。
「あっ…」
ヒイラも、名残惜しそうに、声を漏らす。俺は、そんなヒイラの頭を撫でた。うーん、今夜は、この続きからだな。待ちきれない…!!おっと、その前に、試合を片付けないとな。
「じゃあ、行ってくるよ」
俺は、皆にそういい、通路へと足を進める。後ろからは、皆が声援を送って、見送ってくれた。しばらしくして、召喚石に皆が戻ってくる。俺は、アルティを腕に握りしめ。リングに、上がった。
「来ましたー!!!!!!!!今大会優勝者、ベイ・アルフェルト選手!!!!!!!!!」
「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああーーーーーー!!!!!!!!」
会場が、割れんばかりの大歓声で包まれた。この試合で、この歓声を貰うのも最後になるんだろうなぁ…。とりあえず、やるだけやってみるか。俺は、アルティを軽く振り回して、肩に担いだ。
「そして!!!!教師枠での出場!!!!本来であるならば、召喚魔法教師、ウイリス・ブラウン先生が出場される予定でしたが、急遽変更がなされまして!!この方の出場となっております!!特別非常勤講教師ガンドロス・エジェリン先生の入場です!!!!!」
通路から、大剣を担ぎ、殺気を漂わせ、ガンドロス・エジェリンが入場する。もう、見ただけで分かるほど、彼は戦闘モードに入っていた。その巨体からは、想像もできない速さで、通路を駆け抜け、今、俺の前に仁王立ちする。
「という訳だ、坊主。まぁ、楽しもうや」
「…いつから教師に?」
「おう、ついさっきだ…!!まぁ、一日出てくるだけの、特別教師だがな」
なるほど…。出させる代わりに、教師として、生徒を教育してもらう。そういう考えか。あのサラサの、お祖父ちゃんだからな。戦士科の生徒たちに、良い経験をくれるだろう。学校側としても、プラスになるというわけか…。
「…本当はよう、サラサが、お前を好いてようが、結婚しようが、どうでもいいんだよ俺わ」
「…?」
「そりゃあ、大事な孫だ。相手が変な奴なら容赦はしねぇが。あのサラサが、決めた相手だ。多分、そこら辺、お前は大丈夫だろう。それに、あのサラサに勝ったんだ。実力も申し分ない。俺としては、正直、もう結婚を認めてもいいと思っている…」
「…そうなのか?」
「おう。…だがよ、その実力を確かめもせずにいるなんて、無責任なことはしたくわねぇ。やっぱ、自分で確かめないと、強さなんて分からないもんだ。それに、お前は、あの状態のサラサに勝った。殺すという、言葉。あれは、サラサが全力を出すときに言っちまう言葉だ。勿論、坊主を殺す気はなかっただろうが、サラサが全力でお前と戦ったことは確かだな。その状態の、サラサに勝ったんだ。こりゃあ、戦ってみたくなるのも、仕方ないと思わないか、坊主」
ガンドロスは、剣を振って、準備運動をする。…要するに、ただ俺と戦ってみたいから、ここにいる。そう言いたいんだろう。なんだか、迷惑な話だなぁ…。まぁ、一応サラサのことを思っての行動でもあるから、悪い人ではないんだろうけど…。
「さーて、始めるとするか。ベイ・アルフェルト…!!」
大剣を、俺目掛けて構え。ガンドロス・エジェリンは、そう言う。俺も、アルティを正面で構えた。
「さぁ!!!!遂に、本当に最後の、最終戦!!いよいよ開始です!!!!!」
ガンドロスと、俺が睨み合う。そして、試合の合図が、鳴り響いた。