5人分
「あ、あの、ベイさん…。そ、そういうこと、らしいので…」
「ああ…、俺は、いつでもいいよ。サエラやシゼルとキス出来るのは、個人的にはかなり嬉しい」
「!!…そ、そうですか!!な、なら…、い、行きますね…」
サエラが覚悟を決め、目をつむり、ゆっくりと俺に顔を近づけてくる。よく見ると、小刻みに震えているようだ。余程、勇気がいるらしい。俺は、サエラが近づいてくるのを待つ。暫くすると、ちょんっと、俺達の唇が触れ合った…。
「…、ひゃ、ひゃあわぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!や、やっぱ、無理です!!!恥ずかしい!!!死にたい!!!!!!」
もうしたようなもんだが、サエラは、一気に後ろに下がると、顔を腕で覆い隠して、うずくまってしまう。まぁ、皆が見てる中でだもんな…。そうなるのも、頷ける。だが、せっかくの最初のキスなのだし、もうちょっと、ちゃんとしたい。俺は、そう思い、サエラに近づいて行った。
「サエラ、俺とするのは、嫌か…?」
「いえ!!私は、ベイさんが、…ベイさんがいいです!!」
「なら、もう1回ちゃんとしよう…。せっかくだ…。恥ずかしがってちゃ、勿体無い」
「…!!は、…はい!!」
再度俺達は、顔を近づけていく。そして、今度はゆっくりと唇を重ねた。サエラの鼓動が、次第に早くなっていくのを感じる。数秒置いて、俺達は、またゆっくりと唇を離した…。
「…あっ…」
「…これで次からは、いつでも出来るな。サエラ…」
「は、はい!!」
そしてサエラは、立ち上がり、俺から一步離れる。そして代わりに、シゼルが俺に近づいてきた。
「…い、行きます…!!」
完全に、テンパっているようである。何処か動きが、ギクシャクしているし、顔も、かなり赤い。 シゼルなりに、平静を装おうとしているんだろう。出来るだけ無駄のない動きで、俺にキスをしようとしてきていた。
「んっ…!!」
「むぐっ…!!」
だが、力が入りすぎてしまったのか、まるで力まかせに押し付けたようなキスになってしまう。まるで、カザネに押さえつけられた、最初のシスラとのキスみたいだ。でもシゼルは、必死になってキスをしようとしてくる。俺は、シゼルの腰に手を回して、なだめるように背中を撫でた。
「んっ…、ふぅ…」
徐々に、シゼルの身体から力が抜けていき、いい感じのキスになってくる。シゼル自身も落ち着いたのか、ゆっくりとした動作で、俺から唇を離し、お辞儀をして後ろに下がっていった。…照れて焦ってるシゼルは、可愛いなぁ。そう思って俺が、感慨にふけろうとしていると…。
「ご主人様…!!!!!!!!」
「えっ!!…どうわ…!!!!!!!」
シデンが、俺の顔に勢い良く飛びつき、押し倒してきた!!そのままシデンは、舐めるように、俺のおでこや、頬に、舌を這わせる。まるで犬が、じゃれつくかのように。…だが。
「はぁ…、はぁ…、ご主人様…」
聞こえてくるシデンの息遣いから、明らかにじゃれてこのようなことをしていないことは、容易に想像できた。そう、シデンは、興奮しているのだ。しかも、これまでないほどに…。
「やっと…、やっと…」
シデンの舌が、俺の鼻先を舐め、一度離れる。よくよく考えると、シデンの舐める動きは、徐々に、俺の唇に近づくように動いていたようだ。つまり今のシデンは、ごちそうを前に、舌舐め釣りをしている獣に等しい!!
「ご主人様…」
シデンは、妖艶な笑みを浮かべて、ペロッと、俺の唇を舐める。そして再度、笑みを浮かべると、そのまま俺の唇に吸い付いてきた!!
「んっ…、ふぅっ…、ちゅぱっ…」
さっきまでの、甘ったるい2人のキスと、かなり落差が激しい情熱的なキスを、俺はシデンにされた。いつもアリーや、皆とのキスを熱心に見ていたからだろう。初めてでも、俺と舌を絡めて、精一杯上手いキスをしようと、努力している。俺も、答えて、シデンに合わせてキスを返した。小さな舌と、唇が、ついばむように、何度も俺を求めてくる。少しして、とろけそうな表情を浮かべて、シデンは唇を離した。
「はぁ…、はぁ…、ご主人様…」
「うん、上手いキスだったよ。シデン…」
俺は、シデンの頭を撫でてやる。シデンは、至福の表情を浮かべると、俺に抱きつき胸に顔を埋めた。
「…あの~、シデン。次は、私の番なんですけども…」
「…」
カザネがそう言うと、シデンは、名残惜しそうに、俺から離れていく。わざわざ、俺の腕をゆっくりと滑って行き、最後に俺の指をギュッと握ってから離した。
「おほん、では、私ですね!!」
「お、おう」
なんだかんだで、この状況を作った原因であるカザネ。一体、どういうふうに攻めてくるのか?強引に?それとも、仲間の中で最速だから、キスも最速の一瞬だけとかそんな?という風に俺が考えていると、カザネは、さっきまでの仏頂面から、いきなり乙女のような表情に顔を変えて、俺に言った。
「主人…。改めて、私の全てをあなたに捧げます…。身も、心も…。受け取って頂けますか…?」
「…あ、ああ」
意外にもカザネは、丁寧にそう言うと、ゆっくりと柔らかく、唇を重ねてきた。シデンほど情熱的でもない、かと言って、サエラ達ほど固くもない、柔らかなキス。まるで、お互いの唇の感触を確かめるように、俺とカザネは、数秒、唇を重ねていた…。
「んっ…、ありがとうございました、主人。残りは、今後ということで…」
唇を離すと同時に、カザネは、自分の太ももに、俺の手を触れさせ、そう耳打ちしてくる。…うーん、エロいぞ、カザネ。
「さて…、次は、ヒイラの番ね…!!!」
「…………、どえええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」
アリーにそう言われて、今まで、顔を赤らめて見ていたヒイラが、驚きの声を上げる!!いや、まぁ、そうだよな。いきなり、連れてこられて、同じことをしろと言われても、無理だよな。
「無理!!無理!!無理だよ!!まだ、心の準備が出来てないよ!!!!!!」
「えー!!もう、胸も揉ませたじゃない…。キスぐらい、どうってこと無いでしょう?」
「そ、そんなことないよ…!!!かなり、覚悟がいるよ…!!!!」
「む、胸を揉ませただと…。いつの間に…」
サラサが、ヒイラを見て、侮れない!!という目をしている。…そう言えば、ヒイラと会ったのって、つい先日なんだよなぁ…。それから、もう胸も揉んで、今はキスをしようとしている…。恐るべき、速さで関係が進展しているなぁ。まぁ、主にアリーのせいだけど…。
「無理!!流石に、今は無理だよ!!」
「いいから、いいから!!」
「ホント待って!!こんな大勢の前でとか、恥ずかしくて、死んじゃう!!」
「じゃあ、私達は、目瞑ってるから!!」
「そういう問題じゃないよ!!!!」
「仕方ないわね…。なら…」
アリーは、頑ななヒイラの身体から手を離し、考えるように手を顎に当てて言う。
「お泊りね…」
「えっ?」
「今日の晩、ヒイラは我が家に、お泊りよ!!!」
「……ええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」
決め顔でアリーは、そうヒイラに言い放つ!!今夜は、騒がしい夜になりそうだった…。
170回めの更新になります。昨日は、微妙な体調不良で更新できませんでした。季節が変わって、寒くなってきてますからね。皆さんも、体調に気をつけて下さい。さて、もうこれ、200回更新行きますね。確実に…。始めた当初は、こんな長くなる予定ではなかったのですが…。でも、多くの方に読んで頂けているようで、嬉しいです。これからも完結目指して更新していきたいと思いますので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。作者のやる気を上げる、応援コメントなどもお待ちしております!!よろしくお願いします!!ではでは、次からも、召喚魔法で異世界踏破をよろしくお願いします!!