決勝戦
「いやぁ~、サラサちゃん張り切ってるねぇ…!!」
「…」
俺が、サラサと見つめ合っていると、レラが俺の背中におぶさるように、抱きついて来た。なんだか、緊張感が、何処かに行っちゃった気がする。レラが、手を振ると、サラサも何処か気が抜けてしまったように、手を振り返し、控室に戻って行った。
「しかし、遂に、ベイ君と、サラサちゃんの一騎打ちかぁ…。これは、どっちを応援するか、困るねぇ…」
「勿論、私は、ベイ君を応援します!!先輩」
「私もー!!」
レノンと、サラも来てたのか。それは、有り難いけど、どっちも応援するとかでいいんだよ?そこまで、片方よりにならなくても、俺は気にしないし…。
「そうかぁ…。うーん、でも私も、ベイ君寄りかなぁ…。ベイ君のご両親に頼まれちゃったし…」
「な!!!なんですとー!!!!!」
「いつの間に、ベイ君のご両親にお会いに…!!」
「いや、ほら、そこにいるでしょ、ベイ君のご両親」
レノンとサラが、見た先には、気絶している俺の両親がいた。まだ起きないのか…。そろそろ、起きて欲しいんだが…。心配になる。
「あ、あれが、ベイ君のご両親!!」
「ね、寝てる…!!」
いや、あれ、気絶してるんですよ。分かりにくいかもしれないけど…。ほら、よく見ると、少し顔色が悪いのが分かると思います。
「う、ううん…。あれ、ベイは、どうなった?」
「おはよう、父さん。勝ったよ。これから、決勝戦」
「えっ!!ベイ、お前、あの相手に勝ったのか…!?…よし!!決勝は、最後まで、しっかり応援するからな!!頑張ってこい!!」
「ああ、頑張るよ…。おっ、母さんも起きたかな?」
「ううーん、ベイ、大丈夫なの…?」
「ああ、この通り、特に、ダメージも残ってないよ」
「そ、そう!!なら、良かった。…ふぅ…。決勝、頑張ってね…!!」
「うん、頑張るよ」
俺は、2人にそう言って、アリーとヒイラに、腕を軽く上げ、行ってきますをした。レラも、その場で俺から降りて…。
「頑張ってね、ベイ君!!」
と言ってくれる。レノンも、サラも、笑顔で送り出してくれた。さて、それじゃあ、行きますか。決戦の舞台に…。
「お待たせ致しました…。遂に多くの選手の中から、勝ち残った最強の選手、その2人による頂上決戦の時間です!!もう、語ることもありません。その目に焼き付けましょう!!さぁ、今、入場してきました。今大会最強選手の1人、サラサ・エジェリン選手!!!!!圧倒的な力と、剣技で、多くの選手を、ねじ伏せて参りました!!一瞬で勝負をつけてきた、サラサ選手ですが、決勝でも、その力で、一瞬で勝負をつけることが出来るのかー!!!!!??????」
「…それは、無理だ…。相手は、ベイだからな…」
何か、サラサがぼそっと言ってるな…。何だろう?観客の歓声で、聞こえないなぁ…。まぁ、いいか…。俺も集中しないとな…。
「そして!!その相手は、今大会最強の魔法使い!!!!剣と、魔法、2つの力でここまで勝ち上がって来ました!!!魔法剣士!!ベイ・アルフェルト!!!!!その激闘の数々は、我々に彼が只者では無いことを、たっぷりと教えてくれました!!!!決勝でも、彼のそんな熱い戦いが見れることでしょう!!!!その戦いに、期待がかかります!!!」
うおっ!!サラサもすごかったけど、俺に対しての歓声量、半端ないな…!!!ここまでやって来て、こんなに応援されてると思うと、ちょっと嬉しい。だが、俺が、1番応援をして欲しいと思っている人は、真っ直ぐに俺を見つめて、サムズアップをしてくれている。俺が勝つ理由なんて、これだけで十分だ。アリー、ありがとう。俺は、勝つぜ…!!
「さぁ!!!両選手、リング上に上がりました!!後は、開始の合図を鳴らすだけ!!!それでは、参りましょう!!!!今大会、最高の戦いを、始めようと思います!!!!」
「「「「「うわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!!」」」」」
「それでは!!!!試合、始め!!!!!!!!!!!!!!!!」
今までより、気合を入れて叩かれたであろう、試合開始の合図が響く!!俺の目の前には、サラサ。ゆっくりと剣を構えて、こちらに歩いてきている…。
(…)
俺も、ゆっくりと剣を引き抜いて、サラサ目掛けて、ゆっくりと歩いて行った。お互いに、どちらも完全に切りあえる位置で、止まる。
「…遂にこの時が来たな、ベイ。私は、嬉しい」
「…俺も、実を言うと、この戦いが楽しみだったんだ。サラサの本気が、やっと見れると思ってね」
「そんな、楽しみにされるだけのものかどうか…。期待通りになるか分からんが、今日は、全力で行かせてもらう!!受け止めてくれ、ベイ!!私の、この想いごと…!!!!」
サラサの身体に、赤色の光が纏わり付き始める!!先ずは、助走ってところだろう。サラサは、剣をゆっくりと構えた。
「ああ、来い、サラサ!!その全力を受け止めて、その上で俺が勝つ…!!!!」
俺は、自分の身体に、強化魔法をかける。そして、いつも通り、愛刀にも強化魔法をかけた。そして、ゆっくりと剣を構える…。
「…」
「…」
どちらが、そうと決めたわけでもない…。だが、俺とサラサは、全く同じタイミングで、剣を振り抜いた!!!!!
キィィィィィィイイイイイイインン!!!!!!!!!!
サラサの大剣と、俺の剣が、空気を切り裂き、刃をすり合わせるようにして、ぶつかる!!!お互いの、剣の擦れた刃から、赤い火花が散った…!!!!
(これが、俺達の戦いの始まりの合図…)
お互いに、返す刃で、切り結ぶ!!今度は、お互いをしっかり受け止め、力の込めあいになった!!
「…」
サラサは、何も喋らない。だが、その顔と、息遣いが、何処か楽しそうな感じを、思わせる。お互いに力を入れ直し、俺とサラサは、一歩ずつ、後ろに引いた…。
「…ふぅ、はぁぁああああああ!!!!!!!!!!!」
サラサの気合の声と共に、またすぐに、お互いに一步出て、切り結ぶ!!その一撃を、お互いが防ぎあった時、サラサの身体の気が、黒く変わって行った…。