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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・四部 闘技大会
156/632

信用出来ない

「ああ、ベイ君!!さっきは、ありがとうね!!」


 レラは、すぐに見つかった。しかし、しっかりバレてるな…。さっき俺がやったこと。


「な、何のことかな…?」

「もう、とぼけなくってもいいよ。私、攻撃を見切るために、目だけは人より鍛えてるからね。あんな一瞬でも、魔法の使用者の位置を見るぐらい、どうってこと無いって」


 いやいや、その次の瞬間には、レラは吹っ飛ばされていたはずなんだけど。よく、そんな短い間で俺だって分かったな。さっきのサラサの攻撃が、確実にレラを殺しかねない一撃だったから、思わず聖魔級強化をレラにかけてしまった。と言っても、一瞬だけど…。あの闘技場内では、死なないとはいえ、痛いだろうからな…。そう思うと、かけざるおえなかった。


「ほら、証拠に私の武器。あんな攻撃を受けたのに、傷一つ入ってない。何か魔法でもかけて貰わないと、こうはならないよ」

「…いや、レラがサラサの攻撃をいなした結果じゃないか?」

「あっ、そこ分かってた。いやぁ、でも完全にいなせずに、吹っ飛んじゃたからねぇ…。あんなに吹っ飛ばされてたら、全身の骨が折れてるよ、普通…」


 そう。なんだかんだで、レラは、サラサの攻撃をいなしていた。お陰で、その攻撃の威力の殆どは、真上の空に向かって飛んでいった。だが、僅かにいなせなかった余波だけで、レラは闘技場の壁に叩きつけられ、気絶。結果、負けることになった。本当、あり得ない強さしてるな、サラサ…。


「それに、あんなのを剣で受けたとはいえ、腕が無事で済むはず無いもんね…。ベイ君のおかげだよ、うん」


 あー、確かにそれはあるかも知れない。死なないとはいえ、腕が使い物にならなくなっていた可能性はあったか。そう考えると、かけて良かったな。


「あー、そのことは、周りには秘密に…」

「分かってるって。サラサちゃんと戦うまで、温存しておきたいんでしょう?私に任せといて、そこは誰にも言わないから!!」


 いや、出来れば、そんな実力があることを隠しておきたいんだけど。と言っても、あのサラサが相手か…。使わないといけないだろうなぁ…、聖魔級強化。はぁ…、じゃあそういうことにしておこう。


「うーん、でもまだちょっと身体が痛いんだよねぇ…。ベイ君の魔法でも完全無傷とは行かなかったかな?」

「え、本当…?」


 とすると、サラサの攻撃の威力は、かなりの物ということになる。…やばい、負けるかもしれない。


「うん。…そこで、ベイ君に回復魔法をかけて欲しいんだけど?」

「!!!!!????????」


 か、回復魔法だと…。お、俺の回復魔法…。い、いかん、落ち着くんだ!!使えないことにしよう、そうしよう!!


「回復魔法は、悪いけどツカエナインダァ…」

「えー、アリーちゃんが言ってたよ。ベイ君は、回復魔法が超上手いって、特技だって」


 アリー、いつの間にそんなことを…。に、逃げ道が無くなった…。


「ほらほら、身体痛いなぁ~。回復魔法がないと辛いなぁ~」

「…」


 何だか、すごく元気に見えるんだけど、気のせいだろうか?まぁ、痛みに慣れてるってことかもしれないし、かけてあげるべきかな…。でもいいのか?俺の回復魔法だよ?もう、自分でも信じられないくらい、訳の分からない意味での威力を持った回復魔法だよ?…上級ぐらいにしておこう。それなら大丈夫だろう。うん、そうしよう。俺は、諦めてレラに回復魔法を使った。



*10分後


「…レラ先輩、ベイ君はもうすぐ試合がありますから…」

「いやぁ!!離れたくない!!一緒に居たい!!」

「せ、先輩ってこう言うこと、言う人でしたっけ?」


 今レラは、俺におぶさるように、俺を抱きしめている。凄い力だ、引き剥がせない…。あああああああ、もう!!!俺の回復魔法のバカ!!おバカ!!!で、負けたレラを元気づけるため、レラが出てくるのを待っていたレノンとサラが様子を見に来たわけなんだけど、結果この状況である。どうしよう…。人一人おぶっての出場とか大丈夫なんだろうか?正直、周りに何言われるか分からないから、俺はやりたくない。頼む、試合が始まるまでに何とかなってくれ!!


「れ、レラ。す、少しでいいから…。試合の間でいいから」

「む~!!」

「うぎぃぃぃー!!!!…ダメだ。先輩、ビクともしない。と言うか羨ましい…!!私も、ベイ君を抱きしめたい!!」

「ふんぬぅぅぅううううー!!!はぁ、はぁ、レノンまで何言ってるの。もう、次の試合だよ。長引いてるからいいものの、何時終わってもおかしくないんだから…」

「そ、そうね。今は、先輩を離すことを何とかしないと…!!」

「ほ、ほら、レラ。いい子だから、な…」

「うう…」


 いや、本当、駄々っ子の相手をしているかのようだ。アリーみたいに、キスしまくってないだけましか…。いや、そうも言っていられない!!何か手は…。そ、そうだ!!!


「俺が試合に出れないと、レラの仇をサラサから取れないだろ?だから、な?」

「…」


 お、効いてる。これは、行けるんじゃないか!!


「そうですよ、先輩!!ベイ君が出場出来なくて不戦勝なんて、サラサちゃんも悲しみますよ!!」

「そうです。その為にも、今はベイ君から離れましょう。そうしましょう」

「ううぅぅ…」


 ゆっくりとレラは、俺から降りる。…ほっ。これで一安心だな。ああ~、良かった。そう思って、気を抜いた瞬間…。


「んっ…」


 レラに、頬にキスされた。


「あぁ~!!!」

「うわぁ…。先輩、大胆…」

「…待ってるからね…、ベイ君…」


 そう言うと、レラは2人を引っ張って観客席に向かって行った。


「ずるいですよ、先輩!!私も!!あっ、ちょっと引っ張らないで、先輩!!」

「先輩、自分で歩けますから!!歩けますから!!」


 2人は、レラにものすごい力で引きずられていく。うーん、まぁ、何とかなったからいいか。2人には悪いけど…。さて、そろそろ次の試合か。俺の対戦相手は…。


「ベイ・アルフェルト…」

「うん?」

「俺を覚えているか?」


 そう言って、俺に近づいてきた人間には見覚えがあった。確か、新人試合の時、俺と戦った対戦相手の…。


「カゼル・ミラハルト?」

「覚えていてくれたか。嬉しいよ、お前に覚えて貰えてて…。俺が、次のお前の対戦相手だ。今度は、リベンジさせて貰うぞ」

「えっ、ああ…。その、お互い頑張ろう…」

「ふっ、俺が対戦相手で拍子抜けしたか?まぁ、そう思われても仕方ない。以前の俺だったならな。だが、親切心から忠告しておくぞ、ベイ・アルフェルト。前の俺とは、格段に違う。対戦すれば分かることだがな…」


 カゼルは、俺の横を通り過ぎ闘技場に向かう。


「そろそろ、俺達の試合だ。送れるなよ、ベイ・アルフェルト…」


 その背中からは、しっかりとした自信が感じ取れた。うーん、これはなめてかかれないかもしれないなぁ。気をつけよう…。


「さぁ、続いては、本日の一回戦を勝ち上がってきた選手たちの、激突だぁ!!!!!!!!!!!」

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああーーーー!!!!!!!」」」」」


 解説と、観客の声が聞こえる。どうやら時間みたいだな…。俺は、いつものローブを正し、気合を入れる。そして、闘技場リングに向かって、歩き始めた。



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