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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・四部 闘技大会
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即断即決

 外に着いた俺とアリーは、ヒイラが出て来るのを待っている。その間…。


「う~ん…?」

「どうしたの、アリー?」


 アリーは、体を大きく後ろに反らして、まるでブリッジでもするかのような体勢で考え込んでいる。その反らしが徐々に大きくなっていき、髪が地面につきそうになった所で、俺が髪と、アリーの頭を支えた。


「いや、…なんか思い出せそうな気がするのよねぇ…。そう、さっきヒイラの顔を見た時に、スッと思いだしたような…」

「ヒイラの顔?あの、仕えるだか、そういう話の?」

「そうそう、それ…。それで…、何だったかしら。確か、魔王みたいな、うーん…?詳しく出てこないわね。もう、だいぶ前だったから仕方ないけど…」

「魔王?…つまり魔法が強くて、多くの部下を従えてて、人類に敵対しているような人ってことかな?」

「うーん、近いけど違ったような…。確か、色々な魔法が…。あっ!!そうよ、思い出した!!召喚魔法も、回復魔法も使えて、聖属性も、闇属性も使える人だったわね、確か」

「へー、それはすごい高い条件だね。普通の人でそこまで出来る人なんて、なかなかいな…」


 うん?いや、待てよ。ひょっとして、俺、当てはまってるんじゃないか?…うん、確かに全部使えるな。でも、これらが使えることをバラすことも出来ないし、当てはまってても意味無いか。今は、条件が変わってることもあるだろうし…。


「くふふ…。お待たせ…」

「ヒイラ!!あなたが仕えるべき主人が決まったわ!!ベイよ!!」


 ビッ!!と決めポーズを決めて、やって来たヒイラを、指差すアリー。…えっと、アリーさん。そこは話しては、イケないところなのでは?


「!!…えっと、何を藪から棒に言ってるのかな、アリーちゃん?言っておくけど、私の理想は、高いからね…」

「召喚魔法も、回復魔法も使えて、聖属性も、闇属性も使える人でしょう?ベイなら使えるから、完璧ね!!」


 アリィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイ!!!!!!まさかの、あっさりとしたネタばらし!!いやいや、今ならまだ冗談で通じる!!ここは、上手い言い訳を…。


「う、嘘でしょう!?その年齢で、そこまでの魔法を扱えるなんて、普通じゃなさすぎる…!!」

「あなたも実際に、体感したでしょう?常識以上のあなたの魔力量を、易々と超える保有魔力量。それでいて、ぶれのない魔法操作の精密さ。私の夫ベイ・アルフェルトこそ、あなたが仕えるに、まさに最適な人材!!」

「う、う~ん…。アリーちゃんが嘘をついてるとは、考えづらいけど。聖属性と、闇属性はどうやって覚えたの?まさか、ベイ君って何処かの王族だったりする?それとも、古文書を持ってるとか?」

「そこは色々と、魔法使いには簡単に話せないとこなのよねぇ…。まぁ、使えるところを見せるぐらいなら出来るから、それで我慢してね!!ね、ベイ!!」


 ね(とてもかわいい笑顔)、って言われてもなぁ…。はぁ、どれだけ強くなっても、俺はアリーには甘い。むしろ大好き。まぁ、アリーも色々考えてバラすことにしたんだろう…。そうだといいなぁ…。なら俺は、アリーを信じて付き合うだけだ。もう聖属性魔法でも、闇属性魔法でも、何でも見せましょう!!!半ば、やけになっている俺の手のひらに、闇属性の玉が出現する。これでいいでしょうか、アリーさん…。


「!?…うわぁ、嘘!!本物!!ま、魔石とか使ってるわけじゃないよね!!」

「ふふ~ん、勿論よ。正真正銘、ベイは使えるのよ。闇属性魔法がね…!!」

「う、うわぁ~…。闇属性魔法が使える人間なんて、過去に数人いるぐらいだったのに。その1人が今、目の前に…。あわわわわわわ!!!!!!!」


 まるで恐れ多いとでも言わんばかりに、ヒイラは後ろに下がって足を取られ、尻餅をつく。その時、顔を覆うフードが取れ、そのなんとも言えないような、驚きの表情が確認できた。


「どう?これで、決心は付いたかしら?」

「あわわわわわわ…!!…い、いや。ま、まだだよ!!召喚魔法と、聖属性魔法。そっ、そっちも見せて貰わないとね…。特に召喚魔法は、並みのじゃ駄目だよ。普通なんて、面白く無いからね。そ、そうだなぁ…。せ、せめて聖魔級魔物くらい持ってないと…」

「なら、OKね。よし、これで話は決まり!!」

「…!?」


 ヒイラが、信じられない者を見るような目で俺を見ている。というか俺は、そんな視線をアリーに向けたい。バラしすぎですよ、アリーさん…。


「き、聞き間違えたのかな?せ、聖魔級だよ?上級じゃないよ?アリーちゃんの家に神魔級魔物がいるのは知ってるけど、今使えないと駄目だよ?未来に使えるね、じゃ、駄目だよ?」

「ああ~、そっちは使えないわ。ベイは、バルトシュルツになるんじゃなくて、私がアルフェルトになるの。だから、その神魔級魔物は兄さんの物。それとは、関係ないわね」

「ええー!!!アリーちゃん、バルトシュルツ家を継がないの!!!!…きょ、今日は驚くことが多い日だなぁ…。あんなにも、すべての魔法をこの手に!!って言ってた、アリーちゃんの発言とは、思えないよ…」

「…もう私、どんな魔法よりも大切な人を見つけてしまったから…。それに、バルトシュルツ家当主にならなくても、魔法は極められるしね!!むしろ、ベイの隣にいるほうが、もっとすごい魔法が開発できそう…!!」


 ゆっくりと、俺の手を握ってくるアリー。…俺も同じ気持だ。ゆっくりと、手を握り返す。この出会いが、どんな魔法よりも奇跡に近い…。たまにヒヤヒヤすることもあるけれど、それも楽しいものだ。アリーに出会えて良かった。それだけは、確実に言える。


「…お、お熱いねぇ…。そんな中に、私が入ってもいいんだろうか?」

「別に問題ないわ。ベイには他にも婚約者がいるし、そこはそんなに気にしなくても大丈夫よ。それにもう1つ、あなたを釣る為の餌があるの…」

「え、餌?」

「…私達、今ね。神魔級回復魔法の研究をしているの…」

「…ほほぅ…。それはまた、面白そうな…。でも神魔級回復魔法は、図書館にその唱え方があったでしょう?それを何故、研究する必要が?」

「あれは、大規模詠唱呪文。私達がやっているのは、それの1人用呪文を作ること」

「1人用…?」


 まぁ、意味が分からないだろうな。大勢で集まって唱えるような呪文を、わざわざ1人用にするなんて。普通なら、唱えた時点で魔力枯渇でミイラ化、死亡だ。唱える奴が、普通ならだけど…。


「見てみたくない、神魔級回復魔法?」

「それは見てみたいけど…。何で1人用…?1人では無理なんじゃあ…」


 アリーは俺を、真っ直ぐ見つめる。それで、ヒイラも察しがついたようだ…。


「まさか、それほどとは…。私がベイ君に勝つなんて、無謀だったみたいだね…」

「で、どうする…?ベイに決める?」

「う、う~ん…」


 立て続けのアリーの攻めに、もうヒイラは陥落寸前だ。だがギリギリの所で、理性が判断を躊躇している。まぁ、それが普通なんだろうけど…。


「……仕方ないわね。これだけは使いたくなかったのだけど…」


 そう言うと、アリーはヒイラに近づいて行く。うん?何をするんだ…。


「ここを、こうして…」

「ちょ!!ちょっと、アリーちゃん…!!」


 てきぱきとアリーは、ヒイラを四つん這いにしていった。????何をやってるんだ、さっぱり分からない。


「よし、準備OK。…さぁベイ!!ヒイラの上に乗るのよ!!」

「…うん?」


 よく分からないが、何故か自信ありげな顔で、アリーはそう言った。



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