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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・四部 闘技大会
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本戦一回戦

「それでは、試合開始と行きましょう!!!!!3・2・1!!!試合開始!!」


 大きな太鼓の音が鳴り、俺達2人の試合が始まる。試合開始の合図と同時に、ヒイラの周りを風の魔力が渦巻いていった。


「…ストーム!!」


 魔力の渦が形を成し、大きな竜巻を形成する。すかさず俺も竜巻を形成し、ぶつけ合って相殺した。


「くふふ…。これで、この前の続きからだね」


 消えていく風の魔力が、ヒイラのローブを吹き抜ける。深く顔が見えないほどかぶっていたフードが脱げ、その顔が完全に出る形となった。長く、癖のある緑色の髪。ジトッとした目。その目は、どこかギラついており。楽しそうに、その表情はニヤついていた。


「さぁ!!楽しもう、ベイ・アルフェルト…!!」


 その言葉と共にヒイラが、俺に向かって魔力を放つ。しかも、1系統の魔力ではなく、2系統の魔力を同時に放ってきた。火と土の魔力の融合魔法。その魔法は、俺の目の前にマグマの津波を生み出し、俺を飲み込もうと迫ってきていた!!


「…ああ!!」


 俺はマグマの津波に対抗するように、水魔法で津波を作ってみせる。お互いの津波がぶつかり、ヒイラのマグマは冷えて固まって、その動きを止めた。


「まだまだだよ!!」


 冷えて動くことが出来なくなったマグマの壁から、無数の小さな槍が射出される。最初から、冷やされて固められることは、計算のうちだったわけか…。ちょっと、厄介だな。俺は、風魔法で風の弾を作り出した。その流れる風の力で、迫る槍の軌道を変え、押し返す。そして、壁目掛け撃つことで、固まっていたマグマの壁を強引に破壊した。


「くふふ、いいよ、いいよ~!!楽しいよ~!!」

「今度は、こっちから行くぞ…!!」

「…うん?」


 ヒイラの、体の動きが止まる。何かに縛り付けられたように、ヒイラはもがき始めた。


「…なるほど、細い水の糸ねぇ…。これは、私もやったことがないなぁ…」


 冷静に、俺の魔法の正体を看破るヒイラ。ミズキが使っているこの魔法は、そんじょそこらの魔法では、破ることは出来ない。さぁ、どうする…。


「くふふ、見たこと無い魔法まで使うなんて…。面白い、面白すぎる!!」

「…!!」


 一瞬、空中に出現した炎の巨大な腕が、俺の水の糸を蒸発させ、引きちぎった。…何だ、ヒイラの奥の手だろうか?にしても、ものすごい魔力の保有量だな。間違いなく、今までの戦いにヒイラが使った魔力量は、平均的な学生の持つ魔力量ではない。それだというのに、ヒイラ自体は、まだ魔力に余裕がありそうに見える。…準優勝は、伊達ではないというところだろうか…。


「土の檻」


 ヒイラの攻撃が、再開された。俺の周りを、ぐるっと大きく土の壁が包み込んでいく。完全に俺を閉じ込めると、ゆっくりとその壁は小さくなり、俺を押し潰そうとしていた。


「くふふ、まだまだ…!!」


 さらに、土壁内に大量の水が発生する。…拷問みたいな魔法だなこれ…。俺は、風魔法で竜巻を起こし、土壁ごと水を舞い上げ、空に放った。


「…」


 ヒイラが、腕を握る動作をする。すると、空中に巻き上げられた土が、巨大な岩の塊となり、燃えながら俺目掛け降ってきた!!


「くっ…」


 土の壁を張り、落下した岩から身を守る。俺の張った土の壁に衝突した岩は、粉々に砕けドロっとしたマグマを周りに撒き散らし、広範囲に渡ってリングを火の海にした…。


「…いいねぇ…。一步も動かずに魔法で対抗してくれる、その姿勢。私、好きだなぁ~。楽しいなぁ~」

「それなら、良かった…」

「ベイ君、剣を持ってるんだから接近戦のほうが得意だと思ってたけど、流石、アリーちゃんの夫。魔法の方も、素晴らしい実力だねぇ」

「その通り!!!流石、ベイ!!私の夫!!!」

「…こんな楽しい子に、先に出会ってたのが、アリーちゃんっていうのが癪だけど。まぁ、それはいいとして…。ベイ君には、本気を出しても良さそうだね。その実力なら、弱い者いじめとか、言われ無さそうで安心するよ」


 ヒイラから、かなりの量の魔力が放出される。ヒイラの後ろの空気が歪み、巨大な炎の腕が、胴体が、顔が、姿を現した…。なんだこれは…。一見、魔物のようにも見えるが、実際はただの魔力の塊だ。だが、まるで生きているかのように、その姿は猛々しい。


「これが、スペリオ家に伝わる神魔級魔法…。魔神創造…。さぁ、遊ぼうかベイ君!!」


 巨大な炎の腕が、俺を押しつぶそうと迫る…。神魔級魔法だと…。一般生徒が使っていい魔法じゃないだろ!!だが、神魔級というには少し威力が物足りないような…。もしかして、その威力は使い手の魔力依存とかなのかな?でもこれ、聖魔級ぐらいは確実にありそうな魔力密度だ。どっちにしろ、一般生徒の平均を大きく上回る実力には違いない…。


「魔神ねぇ…。なら…」


 俺が押しつぶされそうになった、まさにその瞬間、巨大な炎の腕が動きを止める。ヒイラが止めたわけではない。巨大な土で出来た腕が、炎の魔神の腕を掴んで止めていた。


「ほぅ…」

「な、な、なんと!!ヒイラ選手の使った魔法、魔神創造と同じような魔法を、ベイ選手が使用しております!!その腕が、胴体が、顔が今組みあがり…!!…な、なんとー!!う、牛です!!ベイ選手の魔神は、顔が牛の魔神だぁーーー!!!!!!!!!!」

「(ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!ご主人様!!私の姿を!!!!!愛してるーーー!!!!!!!!でも、この姿は色々とトラウマが…)」


 そう、俺の創りだした魔神は、昔のミルクそっくりだ。ヒイラの創りだした、炎の魔神にも負けない迫力がある。ミルクが少し、精神にダメージを受けているが…、まぁ、我慢して貰おう…。


「驚いたなぁ…。私と同じような魔法が使えるなんて…。しかも、土の魔神かぁ…。面白い」

「さてこれで、条件は同じだな…。さぁ、続きと行こう…」

「いいねぇ~、ぞくぞくするよ…。私の全力で相手してあげる…。くふふふ…」


 2体の魔神が、互いに構え、咆哮を上げる。咆哮による、空気の振動が会場を包み、2体の迫力を際立たせていた。





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