抽選
「さあ!!開会の挨拶も終わり、続いて、予選の抽選会に移りたいと思います!!今回参加した生徒数は、なんと834名!!!全校生徒の、ほぼ半分が出場しております!!いずれも、腕に覚えのある生徒ばかり!!しかーし!!!この人数は、3日間で戦い合うには多すぎる!!!そういうことで、先ずは、多人数戦形式の試合となります!!」
俺達の目の前に、魔法で映しだされた大きな映像が、上空に映った。そこには、簡単な絵で、試合の説明が書かれている。
「ルールは、簡単!!闘技場内リング上から、相手を地面に落とすだけ!!これを30名ほどのグループで行って頂きます!!なお、残っていられる人数は、2名のみ!!ただし!!唯1人を除いて、全員落ちてしまった場合は、その1名のみが、予選勝ち抜けとなります!!皆さん、落とされないように、気をつけてくださいね!!」
なるほど。シンプルなルールだな。それを、今日は28回ほど行うわけか…。時間足りるのかな?
「ではでは、時間も押しておりますので、順序良く進めていきましょう!!今回、争うことになるグループ分けは、こちらだー!!!!」
上空の映像が切り替わる。細かい、30のマスに、順々に名前が現れていき、それらが埋まると、また次の新たなマスが現れ、名前が埋まっていった。うーん、流石に、人数が多いせいか、かなり見にくいな。自分の名前を見つけるので精一杯だ。お?サラサとは、別のグループか。良かったような、悪かったような…。
「はい!!これで全員です!!かなり見難いでしょうが、時間が押しておりますので、ご理解ください!!試合中は、この画面で出場者の名前をお出ししますので、それを見て、選手を応援してくださいね!!さて、今抽選された順で、試合を進めてまいります!!見づらかった方も居ると思うので、最初の試合の選手だけは、私が読み上げますが、他の自分の順番が確認できなかった選手の方は、入場者通路に組み合わせ表を張り出しております!!ご確認の上、試合に遅れないように出てきて下さい!!」
なるほど、何時、前の試合がおわるか分からないし、自分の試合が近いなら、遅れないように気を配ってないといけないのか…。…後で、もう1回確認しておこう…。
「さぁ、先ずは第1試合の選手を読み上げます。呼ばれた選手は、そのまま闘技場に残り、残りの方は、控室にお戻り下さい」
一応、呼ばれる名前を最後まで聞いてから、俺は参加者の皆と、来た通路を戻って帰ってきた。途中の、張り紙を確認し、自分の順番を、再確認する。
「俺は、8試合目かぁ…」
早くもあり、ちょっと遅いような微妙な位置だ。まぁ、後ろすぎるよりは、いいだろう。俺は、この後、どうやって時間まで暇をつぶすか、棒立ちしたまま、考えていた。
「ぐふふふ…」
「…」
な、なんだ。横にいる、黒いローブを深くかぶった女性が、いきなり変な笑い声を上げる。顔の角度的に、俺を見て、笑っているのか?
「今まで見たことない生徒。その中で、相当、鍛えてそうな体つき。隙が、有りそうで無い佇まい。あなたが、ベイ・アルフェルトぉぉぉおお?」
ローブを、顔深くかぶっているから、表情は分からないが、しゃべる度に、俺の顔に近づくように、自分の顔を、寄せてくる!!いや、近い!!近い!!近いから!!なんで、そんなに、いじり寄ってくるんだよ!!と言うか、怖い!!にじり寄り方が、怖いよ!!俺は、慌てて、一步飛び退く。
「そ、そうです、けど…」
「ぐふふ、やっぱり。私、冴えてる…。にしても…」
どうも、舐め回すように、俺を見ているようだ。何だろう、寒気が走る…。
「あの子には、勿体無いかもねぇぇ。まぁ、いいけどぉぉ」
「…?」
アリーのことか。ということは、この人は、アリーを知っている?
「あなたには悪いけどぉお、私、あの子にはちょっと、いい印象を持ってないのよねぇ…。だからぁ、全力で相手しちゃうけど、怒らないでね?あの子が悪いのよ、あの子が…。ふふふ…」
それだけ言うと、彼女は通路を通って、控室に足を運んで行った。な、何だったんだろう一体…。
「ベイ」
「ああ、サラサか。最初は違うグループだな」
「そうだな。楽しみは、後で、ということらしい…。私は、11番目だ。ベイは、8番目だったか?」
「ああ、そうだ。お互い、頑張ろう」
「そうだな。出来れば、決勝で当たりたいものだ…」
俺とサラサは、軽く握手して、その場を別れた。
*
「なぁ、あんた…」
「うん?俺か…」
「ああ、そうだ。あんただろ?ロデ・マルシアって…」
控室通路で、二人の生徒が喋っていた。ロデと呼ばれた男は、小さな鞄を3つほど身につけており、他の生徒に比べて、少し変わった空気を放っている。話しかけた生徒は、杖を持っている辺り、魔術科の生徒のようだった。
「そうだが…。何か用なのか?初対面のはずだが…」
「ああ、初対面だ…。だが、話を聞いて欲しい。とある噂で、あんたが探している薬を持っているという話を聞いた。あったら、譲ってくれないだろうか?」
「ほう…。どんな薬だ?」
「それは…」
生徒が、ロデに耳打ちをする。周りに聞かれたくないのだろう。それは、とても小さな声だった。
「おいおい、それがいるって言うと、もしかして…。悪いが、俺も大会に出ている身なんでな、相手を強くする可能性がある話は、お断りだ」
「待ってくれ!!あんたには使わない!!それを約束しよう!!その上で、譲ってくれ!!」
「…本当か?って、言っても、譲るっていうのは、ちょっと無理があるな。あれでも、結構な値段がするんでね」
「なら、買おう。それでどうだ!!」
「…、よっぽど、あれが欲しいらしいな。まぁ、いいだろう。で、何本欲しい?1本、市場価格、そのままでいいぜ」
生徒は、考えるように腕を組む。少しして…。
「4本、貰えるか…」
そう言った。
「4本もか?結構な値段になるが、大丈夫なんだろうな?」
「金なら、品物をくれれば、その場で渡す。それでいいだろう?」
「まぁ、いいけどよ。よし、品物を持ってくる、またここで落ち合うとしよう…」
「ああ、分かった。こちらはもう準備出来ている。早めに頼むぞ」
「へいへい…」
そう言って、ロデは、自分の部屋に、足早に戻っていった。
「……、ふふふ。これで、奴に勝てるだろう。あいつの為に、切り札も用意した。あの薬も手に入る…。もう、俺の優勝は、決まったようなもんだな…」
その生徒は、拳を握りしめ。近くの壁を殴った。
「待っていろよ、ベイ・アルフェルト…。今度は、俺が勝つ」
その生徒は、ロデが戻ってくる間、ひたすらベイとの、戦い方を考えるのだった。
140回目の更新になります。遂に、大会編まで来ましたね。ゆっくりとではありますが、話が進んでいます。楽しんで頂けてたら、嬉しいです。というか、もう150が見えてきましたね…。200は、恐らく行くことになるでしょう…。頑張って、更新していきたいものです…。頑張って更新しようと思うので、これかも、召喚魔法で異世界踏破を、どうぞよろしくお願いします。