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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・四部 闘技大会
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開会式

「急に表に出るなんて、ご主人が困惑するじゃないですか、カザネ」

「申し訳ありません、ミルク姉さん。しかし、あの方たちも主人を好きなご様子。だというのに、我々の存在が認められていないというところが、どうしても我慢できなかったのです!!」

「まぁ、それは分からんでもないですが……。あの方達も、独占欲というものがありますからね。そう思いたくない気持ち、というのがあるんでしょう。ですが、事実は、事実!!別に、我々の存在を認識するのが遅いか、早いかの違いでしかありません!!言わせておけばよかったんですよ。それより、なにより困るのは、我々が魔物から人化したと言う事実がバレること。今回は、短い接触ですんだから、そんな隙は微塵もありませんでしたが。これは、我々が守らなければならない優先事項であり。ご主人様の今後を左右しかねない、重大な情報です。次出るときは、そこら辺をよく考えて行動するんですよ」

「はい!!ミルク姉さん!!」


 と言うかカザネは、勝手に自分の意志で、召喚、召喚解除出来るのか? 自動召喚と言えば、楽そうな感じだが。いきなり出てきて、驚かされるのは困るなぁ。心臓に悪い……。


「はいはい。その件は、そのぐらいにして。明日は、遂に闘技大会当日です!!皆で頑張って、ベイを応援しましょうね!!」

「「「「「「「「「「「おー!!!!!!!!」」」」」」」」」」」


 皆の声が、部屋に響き渡る。今は、夕食時。今日の夕食は、いつもより体力がつきそうな感じのメニューだ。俺の為を思って、皆、料理してくれたんだろうなぁ。優しさが胸にしみる……。


「ところで、ベイ。明日の日程は、分かってるわよね?」

「ああ。朝から、選手入場で出席。その後、一回戦の抽選会。それから、順々に予選試合だったね」

「そう。ベイなら大丈夫だろうけど、油断は禁物よ。どんな奴が相手でも、全力で叩き潰してね!!」

「アリーさん。それは流石に、相手選手が可哀想ですよ」

「……まぁ、それもそうね。ともかく、さっさと優勝して、私と、皆と、夏をエンジョイしましょ!!」

「うん、分かった。全力で頑張るよ」


 遂に、闘技大会かぁ。この学校の、まだ知らない強者が一度に出てくる大会。うーん、ちょっと不安だなぁ。って言っても、現状で俺に勝てる奴なんて、いるとは思えないんだが。いない気しかしない。いやいや、アリーも言ってただろう。油断は禁物だ。ともかく、明日からは頑張ろう。俺は、皆の作ってくれた夕食を食べながら、必勝を誓うのだった。


*****


「さーあ、いよいよ、始まりました!!ウィルクス魔術・戦士学校、全校生徒参加可能闘技大会!!!!」

「「「「「「「「「うわぁあああああああーーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」」」


 ……会場が、歓声で振動している。すごい人気だなぁ。俺は今、選手入場待ちで、多くの参加生徒と共に入場通路に控えている。見えはしないが、この分だと会場は満席だろう。校内外からも、見に来る人がいるみたいだし、よっぽど人気なイベントなんだろうなぁ。


「司会と実況は、私!!昨年も担当させていただきました。魔術科3年、パラ・シルメリアが努めさせて頂きます!!ああ~、またこの素晴らしい大会を実況できて、光栄です!!そして、そして、なんと!!今回は解説実況役として、前回大会勝者・アリー・バルトシュルツさんに、お越しいただいております!!!!どうぞ、アリーさん!!」

「うーん、まぁ、参加者の健闘を楽しみにしています。頑張ってください」

「おおっと!!前回の勝者から、選手たちに熱い激励だー!!これは、選手の皆さんも、無様な戦いは見せられない!!皆さんの激戦、私も楽しみにしております!!」


 アリー、そこにいるのかよ!!!! いや、まぁ、特等席ではあるけども。1番、試合が見れる席ではあるけども。……うーん、なんか緊張してきた。本当に、無様な戦いは見せられない。生徒諸君、すまない。俺、結構本気出すよ。ごめんね……。


「それでは、お待ちかねの!!今回大会、選手入場です!!!!」

「「「「「「「「おおおおおーーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」」


 司会の声に従い、音楽が鳴らされ。俺達は、会場中央へと歩いて行く。険しい目つきをしている者、緊張してガチガチの者、いつも通りの表情で進んでいく者。その顔は様々だ。


「さて、アリーさん。前回大会勝者として、気になる選手などいらっしゃるでしょうか?」

「そうね。皆さんには悪いけど、もう今回の大会の優勝者は、決まっているようなものだわ」

「ほほう!!そんなすごい選手が、この会場に!!」

「ええ。ベイ・アルフェルト。彼の優勝で、今回の大会は終わるでしょうね」

「おおーっと!!前回優勝者から、これ程の言葉を貰えるベイ選手とは、一体何者なんだぁー!!!!だが、これでベイ選手は、すべての参加者の注目を集めることになるでしょう!!激闘が、予想されます!!!!」


 ……アリー、信じてくれてるのは嬉しいけど、ここまで目立たされるのは流石に予想外だよ。他の選手が、ベイって誰だ? って、俺を探し見ている。これは、俺相手だと相手は全力で来るな。本当に、気の抜けない状況になってしまった。


「ちなみに、彼は私の婚約者です。未来の夫です!!」

「な、なんとー!!ベイ選手は、アリーさんの夫だったー!!!!それなら、実力をよく知っているのも納得です!!!!しかも、それだけ信憑性が高いと言うこと!!これは、全選手にとって油断できない相手であるのは確実!!最重要、要注意選手だー!!」


 周りの殺気が、一気に濃くなった気がした。なんか、肩身が狭い。あー、早く次に移らないかなぁ。この状況から、早く脱出したい。


「さて、選手入場が終わりました!!続きまして、学校長開会挨拶です!!」


 俺達の前に立ち、準備していた学校長が一步前に進み出る。


「えー、おほん……。さて、難しいことは言わん。諸君らの実力を、私達の目に焼き付けさせて欲しい!!その力と、持てる技術の全てを使って、優勝という二文字を掴んでみせろ!!!!今ここに、闘技大会の開会を宣言する!!!!」

「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」」


 会場が、割れんばかりの観客の盛り上がりの声。その雄叫びとともに、闘技大会の戦いが、今始まろうとしていた。



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