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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・三部 高みを目指して
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変身

 光っているカザネの周りを、風の魔力が包んでいく。黒い髪、幼い見た目。鋭い目つきは、光を宿し。その内に、宿るものを表していた。顔立ちは和風美少女だが、来ている服は、全身真っ黒で、おへそが見えるほど短いシャツと、上着。短パンに、黒い靴。そして、足と手首に、ブレスレットのような、飾りをつけていた。


「ふむ、人化はちゃんと出来てる…。後は…」


 カザネは、腰のベルトにぶら下がっている、小さなものに手を触れ、軽く、その物体に付いている緑の宝石を押す。すると、その物体から、風属性の魔力が吹き出し、再び、カザネを包んだ!!


「まぁ、こんな感じかな…」


 カザネを包んでいた、風属性の魔力が消えると、そこには全身を鎧で包んだ、戦士が立っていた。瞳は、緑に輝き、漆黒の装甲で覆われた羽を、背中につけている。まさに今のカザネは、変身ヒーローと呼ぶにふさわしい姿になっていた。どうなっているのか、変身中に、電子音のような音楽もなっていたし…。しかし、格好いいなぁ。男心をくすぐるデザインをしている。全体的に黒いのに、身体に入っている緑色の線が、蛍光色に光っているのも、強い雰囲気が出てて、素晴らしい。


「さて、試させて貰おうか…」


 カザネは、警戒して固まっていたボスに向かって構える。…いやいや!!!!無理だから!!!いくら強くなったと言っても、さすがに相手にならないだろう…。


「ちょ!!!流石に、1人では無理ですよ、カザネ!!!戻って来なさい!!!」

「ミルク姉さん。こういうのは、始めが肝心なんです…。敵わなくても、いいところを見せる機会。そういうのが、なければいけません…」


 いや、確かに、俺の話した話の中には、そういう事もあったけど、これは現実だ。そんなに、うまくいく訳はないだろう…。


「でも、無理ですって!!戻ってきなさ…!!」


 その時、俺達の目の前から、カザネが消えた…。


「………、は?」


 いや、消えたわけじゃない。一体化した俺達でさえ、捉えることができないほどの速度で、動いているのだ。…なんだこれ、予想外すぎる…。


「ふむ…」


 ボスの横から、カザネの拳が、ボス目掛けて当たった!!あまりの速度に、ボスもカザネの速度を見切れていないのか、ガードする前に、もろに本体に攻撃を食らう!!…す、すごいぞ、カザネ!!


「次は、これで…」


 カザネの腕に、錫杖のような武器が出現した。先端が高速回転し、まるでドリルようにボスを襲う。今度は、全体をあますところなく、覆い尽くしたボスの根にガードされたが、それでも、3本ほど根を切断した。…結構、威力もあるみたいだな、あれ。


「さて、こんなものでしょうか…。主人、では決着をつけるとしましょう」

「お、おう!!来い、カザネ!!」


 背中から、カザネが俺達目掛け突撃し、そのまま背中から一体化する。俺達の背中に、漆黒の装甲の羽が出現し、足の装甲の爪が、鋭くなった。


「移動速度制御はおまかせを…。では主人、行きましょう」

「ああ!!」


 背中の黒い羽の装甲が開き、噴射口が出現する。その噴射口から、勢い良く、風の魔力が吹き出し、俺達は、急発進した!!


「な、なんだ!!この速さは…!!!」


 思わず、声に出してしまうほど速い!!!なんだ、ボスは。あいつ、動いているのか?止まって見える…。


「さぁ、あの厄介な根の装甲から、まずは取り去って行きましょう…」


 カザネの、声とともに、俺達は一瞬の内に何度も、ボスに激突する。さっきまで、手こずっていた敵の装甲が、面白いほど、一瞬でなくなっていく…。あっという間に、敵ボスの本体が露出した。しかも、根の再生も、追い付いていない!!


「下のイソギンチャク共は、狙いが定まらず、未だに止まっているように見えますね。遅い連中です…」


 いやいや、カザネが早くなりすぎただけだから!!!俺達でさえ、追えないって、かなりやばいぞ!!!


「さぁ、止めと行きましょう。主人!!最高速度で、振り切ります!!」

「お、おう!!」


 背中の魔石からも、全属性の魔力が放出され、一気に俺達は加速する。すでに、海の中にいるのに、水自体が切り裂かれ、海中に空間ができていた。速い!!圧倒的に速い!!!


「グガ…」


 敵のボスは、少し反応するのがやっとだったのだろう。少し、声を発した時には、俺達の全属性の魔力が乗った、剣の一撃を、身体に受けていた!!そのまま、俺達は回転し、勢いを殺すことで、その場に静止する。


「これで、おわりです…」


 カザネの声と共に、切られたボスが、俺達の魔力の破壊力に包まれ、消滅した。その体が、魔力の残滓となって、きらめき、消えていく。うーん、何と言うか…。カザネを仲間にしてよかったなぁ…。しみじみそう思った。


「後輩に進化で、先をいかれた上に、あんな強いなんて…。反則っすよ…」

「そうね…。さすがの私も、少しヘコむわ…」

「そうですね…。私もです…」


 シスラ達が凹んでいるようだが、正直これは仕方ない。シスラの言った通り、強すぎだ。…やはり、ヒーローは強いもんなんだろうか…。それとも、俺達と出会う前のカザネの生活が、それほど強烈だったということだろうか…。いずれにしても、仲間でよかった…。


「ふむ…」

「うん?どうした、ミズキ…?」

「おかしいですね…。!!殿、まだ来ます!!!」


 ミズキの声に反応して、下を見る。すると、まだ、イソギンチャク達が、俺達を狙って、攻撃を仕掛けてきていた。すぐに、移動して、攻撃を躱す!!


「な、なぜだ!!ボスを倒したはずだ。なのにまだ動くということは…」

「さっきの奴は、ボス本体では無い、ということになりますね…。燃える展開です」


 いやいや!!カザネ的には燃えるかもしれないけど、俺達からしたら、勘弁して欲しい展開だから!!なら、本体はどこにいるっていうんだ?まさか…。


「地面の下か…」

「どうやら、そのようですね…」


 地面の砂が盛り上がり、そこから更に巨大な根のバケモノが出現する。まさかこれは…。


「巨大イソギンチャクか…」

「つまり、先ほどの本体だと思っていた奴は、その先についていた、遠隔操作用の身体。つまりダミー。そして、こっちが本体ということでしょうね…」


 にしてもデカイ…。地面を殆ど、覆い尽くしている。こんなの、どうやって倒すんだよ…。よく見ると、それぞれの根の先に、先程の小さいイソギンチャクが付いている。そのイソギンチャク達が、一斉にこちらを向き、魔法による砲撃を開始した!!


「第二ラウンド、開始ですね」


 カザネの呟きとともに、2回戦の幕が上がった。



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