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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・三部 高みを目指して
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兵器

 後半の授業中の間、俺の膝の上には、あからさまに何かを包んでいるだろう、ローブが置かれていた。ニーナが気にしているように、チラチラ見ているが、まぁ、教える必要もないだろう…。結局、午後の授業がおわっても、少し研究会に顔を出しても、カラスは起きなかった。…やっぱり、ダメージ溜まってるんだろうなぁ。そんな訳で、俺達はカラスを連れて、昔懐かしの、風属性中級迷宮に来ていた。すぐに、中級回復魔法で、カラスを回復していく。


「(う、う~ん…。………カァ!!!!!!!)」


 起きたカラスが感じたものは、果たしてどんな感覚だっただろうか…。カラスは、立ち並ぶ皆を見て、徐々に、顔を青ざめさせていく…。なんだかんだで、皆もカラスに殺気を向けているもんだから、その恐怖は、どれほどか、俺では想像もできない…。


「カ、カァー……」


 カラスは、身体を地面に横たえて、精一杯の無抵抗アピールをしているようだった。なんだか、可哀想だなぁ…。


「(カ、カァ~。私が何かしたんなら、謝ります。お許し下さい。責任はそこの人間が取りますから…)」

「ああぁ?」


 ミルクが、カラスをより睨みつける。カラスは、その殺気に身をこわばらせ、若干小さくなったように感じた。


「私達のご主人様に、狼藉を働いといて、何様のつもりなんですかねぇ?」

「(ひいいいぃぃぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!!知りません!!!そんな、強そうな皆様の主人様なんて、知りません…!!!!!!)」

「眼の前にいるでしょう!!!!!バカにしてんですか!!!!!!」

「(ひぃえええ!!!……そ、そんな。こんな人間ごときが、皆様のような、強そうな方の主人様であるはずが…)」

「あぁん?」

「(ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!!すみません、すみません!!!!)」


 カラスは、すっかりミルクに恐怖してしまっている。俺は、まぁまぁ、とミルクをいさめた。


「はぁ…。いいでしょう…。あなたみたいなバカにも、ご主人様がいかにすごいかが、分かるようにしてあげます…。と、その前に、ご主人様。どこでもいいので、聖魔級迷宮に移動しましょう」

「え、なんで…?」

「このバカに、ご主人様の偉大さを見せるのは簡単なのですが、それをここでやると、迷宮一つ、滅びますからね…。さぁ、行きましょう!!」


 迷宮一つ滅ぶって…。一体、何させる気だろう…。ともかく、俺達は、火属性聖魔級迷宮に移動した。


「さて、ご主人様。ミズキの能力で、魔力量を隠蔽していますよね。それを解除して下さい」

「?そんなことで、いいのか?」

「ええ。そうすれば、そこのカラスでも、ご主人様の偉大さが、分かることでしょう…」


 …なんだろう?魔力が何か関係あるんだろうか。ともかく、俺は言われた通りに、魔力隠蔽を解除した。



 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!



 遠くのほうで、何体もの魔物が、一斉に移動したような音がする。え、何?しかも、皆も、片膝を付いて、俺に頭を下げている。まるで、忠実な従者みたいだ。一体なんだろう。魔力隠蔽を解除しただけなんだけど…。


「……、やはり、ご主人様はすごいですね。少し遠くにいた、聖魔級魔物でさえ、この反応…。それに、そこのカラスを見て下さい…」


 俺がカラスを見ると、カラスは尿を垂れ流し、泡を吹いて、倒れていた。……やばくないか、これ?俺は、すぐに魔力隠蔽を元に戻した。


「あ。本気垂れ流しモードは、もうおわりですか…。あの、状態のご主人様も、緊張感があって素敵なんですけど…」

「いや、それより、どういうことだミルク。何故、こんなことになっている?」


 俺は、カラスに再び、回復魔法をかけながら、ミルクに尋ねる。


「ご主人様。神魔級ボスは、普通の人間では、恐怖を感じて、近寄れないほど強い、と言うのは以前、シデンの反応でお分かりになったと思います」

「ああ」

「そんな、神魔級ボスを倒したご主人様が、魔力を隠蔽せず、そのままにしたら、どうなるか…。それが、今の現象の答えです…」

「…つまり?」

「ご主人様が、魔力隠蔽をなされていない状態ですと。普通の人間は、回りにいるだけで気絶し、弱いものなら、命を落とすまで有り得ます」

「……ほ、本当に?」

「本当です…」


 ………うううううううううううううううわあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!俺!!!!いつの間にか、人間兵器に、なってしまっていたのかぁああああああ!!!!!!!!


「……何と言うか。それはショックだな…」

「安心して下さい。ご主人様には、魔力隠蔽を出来る、ミズキの能力が有りますからね。ご主人様が、魔力隠蔽を外そうとしない限り、こんなことにはなりません。あっ、でも、学校で一時的に外して、女生徒のおもらしを見るという手も…」


 いやいや、そんなことに使わないから!!!それに、恐怖顔でおもらしされてても、逆に同情しちゃうから…!!!


「えー、おほん。ともかく、これで、このカラスも分かったことでしょう。ご主人様が、いかに偉大であるか…」

「こん!!やはりご主人様は、素晴らしいです!!!!シデンも、もっと、ご主人様のお役に立てるように、頑張ります!!!!」

「べ、ベイさん…。すごい…」

「身体が、勝手にかしこまってしまったっす…。これが、今のベイさんの実力・・・・」

「私達。すごい人の所に、来てしまったんですね…」

「ええ。そのようですね…。味方であるはずの我々も、思わずその力に、頭を下げざる負えなかった…。ベイさんが、仲間で、本当に良かったです…」

「主様…。素敵…」

「殿の偉大さを、肌で感じられて、嬉しいですね…」

「ミズキ!!肌で感じるなんて!!!なんてエロい!!!…むむっ!!私も興奮してきましたよ!!!今夜はハッスルですね!!!」

「主の剣として、もっと優れた力を身につけなければ…。頑張ります!!」

「マスター、共に、さらに上に行きましょう!!!」


 うーん、人間兵器になっていたのはショックだが、皆がやる気を出したようなので、それはよしとするか…。にしても、このカラス。さっきから回復しているのに、全然、意識が戻る気配がしないんだが。…もしかして、死んだ?うーん…、心臓は動いてるっぽいなぁ…。時間の問題か…?ともかく待ってみよう。俺は、気長に回復魔法をかけ続けた…。


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