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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・三部 高みを目指して
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アリーの思惑

「し、神魔級クラスの魔石ですか…!!!!!等級で言うと、極。現在確認されている魔石の中でも、最高クラスの魔石……。それを、私が扱える……!!!!!!!!!」


 ミオの目は、分かりやすい程、情熱に燃えていた。まぁ、職人肌の人が、最高の素材を、触れると成ったら、こうもなるんだろうなぁ…。


「ええ。ただし、完成品は私達にくれるなら…、だけど…」

「う、うぬぬ…」


 ミオは、苦悶の表情を浮かべている。まぁ、秘蔵の剣って感じだったし、そう簡単に他人に、渡していいもんじゃないんだろう…。しかも、最高の素材を使った、最高性能になるみたいだし…。


「……少し、勘違いをされると困るので、説明をしておきますが…」

「空気中から、魔力を吸い集めることが出来る機能を、つける事はできます…。神魔級クラスの石を使えば、その分、剣には魔力を貯蔵できるでしょう…。しかし、いい魔石を使っても、魔力を吸い集めるスピードが早くなることはありません…。上級程度ならすぐですが、聖魔級、神魔級ともなると、完全回復に時間がかかります…。そんな無制限に、連続で神魔級魔法を撃てる剣になる、という訳ではありません…」

「ふーん、なるほどねぇ……」


 腕を組んで、アリーは少し考えている…。


「まぁ、それでもいいわ。完成品をくれるなら…。で、どう…?作ってみたくは無い?」

「そ、そりゃあ、……作ってみたいですけど……。ほ、本当に、そんな魔石、用意できるんですか…?」

「ベイ」


 アリーが言うので、俺はポケットから物を取り出すフリをして、手のひらで魔石を錬成させる。


「はい、これ」

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!ほ、本物ですか!!!!!!!」

「そうよ。紛れも無い、神魔級クラスの魔石…」

「うわああああ、火の神魔級クラスの魔石…。まさか、生きている内に、見る機会があるなんてぇ…」


 …ミオはすごい感動してるけど。今、その場で俺が作ったやつなんだよなぁ…。知ったら、失神でもしそうな勢いだ…。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ、こんな高密度の魔力の輝き…。見たことないですよ……」


 すごい、うっとりした顔で、ミオは魔石を眺めている。口から、よだれまで出てるし、もう魔石に夢中みたいだ…。


「どう?こんな魔石で、剣を作ってみるのは…?きっと、楽しいと思うわよ…?」


 アリーの甘い囁きが、ミオの脳を突き抜ける。まぁ、これだけ魔石に夢中なんだ…。聞かなくても、答えは分かる…。


「是非!!!!作らさせて、頂きます!!!!!!!!!!!」


 ミオは、魔石を握りしめ、俺達に深々と、一礼をした。


「(今回は、違う意味で落ちてますね…)」


 ミルクの言う通りだな…。でも、ミオ本人も、幸せそうだから、まぁ、いいか…。それはそうと、……アリーも、薄っすら笑ってるな…。剣の他に、何か狙いでもあるんだろうか…?


「交渉成立。…取り敢えず、必要な魔石のメモをくれる…?後で、用意してくるから?」

「え、は、はい!!!!!!め、メモですね!!!!えっと……」


 ミオは、アリーが渡した、紙とペンに、必要な物を書き込んでいく。うーん、どれどれ…。やっぱり、結構な量がいるんだなぁ…。


「これぐらいですかね…。それだけあれば、今のベイ君が持っているような、大きさの剣ができると思います」

「ふーん、…じゃあ、明日、用意するわ…。また、この研究会で、受け渡しってことで…」

「あ、あのー。明日、ですか…。私、この研究会の、正式なメンバーではないんですけども…」

「そう言えば、そうだったわね…。でも、ベイが勝ったら、入会を考える約束をしてたでしょう…?もう一度見学を兼ねて、見に来るっていうのも有りなんじゃないかしらねぇ…?」

「む、なるほど…。それも、そうですね…。……分かりました。では、明日、この研究会で…」

「ええ、楽しみに待ってるといいわ…」


 そんな感じで、魔石剣の製作が決定した。



「ふふふ…。かなり面白い技術が、世の中には転がってるものね…」

「ああ、驚きだよな。魔力を自動で吸収して、回復する魔石の剣なんて…」


 練習に付き合いおわって、部屋でアリーと話す。……うーん、どうもアリーは、剣の製作が決定した辺りから楽しそうだなぁ…。ちょっと、聞いとくか…。


「……アリーは、剣の製作以外に、何か計画があるんじゃないか…?」

「うーん、分かる…?さすが、ベイね。私の事、よく見てるわ…」


 そりゃあ、俺の女神だし…。許されるなら、いつまでも眺めていたいというか…。まぁ、それは置いといて…。


「で、何を思いついてるんだ…?」

「……うーん、今、言っても良いんだけど…。後の楽しみにしていたほうが、面白そうというか…」

「む、そこを何とか…。教えてくれないかな…?」

「そうねぇ…」


 アリーは、紙に絵を書き出す…。なんだこれ?剣と、レムかな?


「前に、ベイは言ってたでしょう?レムの聖魔級進化は、特殊だったって…?」

「ああ。生命力の魔力?みたいな物が満ちている泉を見つけて。そこで、レムが魔力を吸収したんだよな…」

「そう。ゴーレムだったレムが、魔力を吸収して、美女に…。…で、ここに、魔力を吸収する剣があるとします。その剣を、その泉につけたら……?」

「……人化する?」

「可能性は、あると思うのよねぇ…。まぁ、正確には、人型魔物化でしょうけど…」

 

 つまり、アリーは、成長する剣を作ろうって訳か…。剣の製作は、その第一段階…。


「まぁ、うまくいくとは限らないけどね…。でも、成功すれば。この世で、最高の剣になると思うのよ…。是非、ベイには、そんな最高の剣を、持ってて欲しいのよねぇ…」


 ……、アリー。そこまで、俺のために考えてくれてたなんて…。嬉しい……!!!!!!…でも、そこまで上手くいくもんだろうか?レムには、元から生物としての意志があった…。だが、魔石から作ったと言っても、剣は、剣だ…。魔力を吸収するだけで、形が変わるもんだろうか?うーん、本当にやってみないと、分からないなぁ…。まぁ、駄目なら駄目で、剣自体は、いいものだから、それでいいか…。


「取り敢えず、まずは目的の剣を手に入れるために、材料の魔石を作りましょう…!!!」

「ああ、すぐ出来るよ。ほら…」


 俺は、アリーの目の前で、次々と魔石を製作していく…。その光景を、アリーは、目を点にして、眺めていた…。


「………、本当。ベイって、桁外れの実力に成ったわね…」

「うん。…自分でも、そう思う…」


 前は、何時間もかけて製作していたのが。今は嘘みたいに早く、高ランクで作成できる…。それに…、少しずつではあるけど…、何か、魔力の細かい変化や、操作というものが分かってきたような…。


「……」


 取り敢えず、強くなっているんだから、それで良しということにしておこう…。



120回めの更新になります。いつもお読みいただきありがとうございます!!最近では、また読んで頂けている方が増えたようで、とても嬉しく思います。面白い、という感想も頂けて。何とか、暑さにも負けず、執筆を続けることが出来ました。これからも、そういった感想をお待ちしております。……7月になったら、どんな気温になるんだろう…。今から、恐ろしいです。ではでは、これからも、召喚魔法で異世界踏破を、よろしくお願いします。

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