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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・三部 高みを目指して
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職人との遭遇

「ふむ…。そんな面白いことになっているのか……。ならば、私も行くぞ…!!!」


 お昼に、サラサに昨日の話をしたら、そう言われた。


「ベイとの訓練。とても胸が踊る話だな…!!」


 サラサは、子供のように目を輝かせている。……、ときめくかなぁ、訓練って…。いや、俺と、ってところは嬉しいけども。


「あ、あの!!また、私も行っても良いですか…?」

「え、ああ、勿論、全然いいよ!!ニーナも、入会を考えだしたってことかな?」

「そ、そうですね。昨日、レラさんに分かりやすく教えて貰えましたし、ちょっと気になってます…」


 なるほど。ということは、今日は3人で、押しかける訳だ…。俺に会いたいって人が、誰かは知らないけど、面倒なことにならないといいなぁ…。そう思いながら、俺は食事を進めた。



「ベイ君~!!!」


 放課後になり、校舎前で待っていると、いきなり正面から飛びつかれた。丁度、顔の前に胸がある。柔らかい…。いい匂い…。


「もう、レノン。そんな頬ずりしないの。ベイ君が、前が見えないでしょう?」

「あ、そうね…」


 するすると、俺から降りて、レノンは俺の腕を取る。相変わらず、俺の手を、太ももに挟むのは、忘れない。


「で、私はこっちっと…」


 反対側の腕に、サラが抱きつく。


「ふむ、では私は後ろにしよう…」


 そしてサラサが、後ろから俺に寄り添った。…って、いつ来たんだ!!サラサ!!!さっき、前が見えなかった時か!!!!


「え、えっと、私は……」


 あ、ニーナ。別に、無理に俺に抱きつこうとしなくていいんだよ…。空気を読んでのことだろうけど、もう前しか空いてないし。この状態で抱きつくとなると、さっきのレノンみたいにしか、ならないからね…。


「お?なら、私は、ニーナちゃんに腕を譲って、前に……」

「いや、流石に、それで研究会まで行くのは、恥ずかしいんじゃあ……」

「う、それもそうね……」


 良かった。そこに気づいてくれて、とても良かった…。でも、胸が目の前にあった状況は、名残惜しい……。帰ったら、後で、皆にして貰おう…。


「ふむ。それではニーナは、私と一緒に、ベイの背中を押そう…」

「は、はい!!」

「よし、準備出来たし!!研究会に向かってしゅっぱーつ!!」


 いや、どういう状況なんだこれ!!!…ともかく、俺は四人に連れられて、研究会活動に向かった。



「あっ、いたいた!!ミラちゃん…!!!ベイ君、連れてきたよー!!」

「うん?」


 俺は、4人に連れられて、活動場所についた。うん?ミラ、なんかいつもと、髪型違わないか?ほんの少しだから、気分の問題かな?それに、いつもは持っていない、剣でも入ってそうな、細長い袋を持っている。


「ふむふむ…、これがベイ・アルフェルトかぁ……。意外と、普通ね」

「え?」

「ミラちゃん、何言ってるの?…ベイ君のこと忘れちゃった…?」

「先輩、ミラは私です…」

「え?」


 遠くから、いつも通りのミラが駆けて来た。と言うと、こっちの子は…?


「どうも初めまして。ミラと双子の、ミオ・ストレイドと申します。今日は見学に来ました。よろしくお願いします」

「え、ああ、よろしく」

「よろしく」


 レノンと、サラは、驚きながらも挨拶をする。へー、双子だったのか。知らなかった。


「さて、今日、わざわざ見学しに来たのには、理由がありまして……」

「理由?」

「ええ。ミラから、ここに新入生最強の子が、いると聞いたものですから……」

「新入生最強……。ああ、ベイ君のことね!!」

「ええ、そう聞いています…。そんなに強いんですか…?」

「ああ、ベイは強いぞ…!!」

「なんて言ったって。毎回、闘技大会でも好成績を残す、うちの研究長が、全く歯がたたないからね!!」


 何故か、レノンと、サラサが嬉しそうに、俺が、いかに強いかを語っている…。……何か、照れるなぁ。


「………という訳で、ベイは、私が今まで見てきた実力者の中でも、抜きん出ている実力を持っていると思う…!!」

「うんうん。私達を長時間相手にして、息切れもしない体力を持ってるし。サラサちゃんの考察通りで間違いないと思うよ!!やっぱり、ベイ君はすごいんだねぇ……!!」

「なるほど……」


 ……なんだ、嫌な予感がするなぁ。ミオって子の、俺を見る目が怖い…。怖いというか、完全に殺気を感じるんだけど、これ……。ちょっと、警戒しないといけないかなぁ……。


「……」


 ミオは無言で、持っていた袋の口を開けようとする…。ミラは、そのミオの腕を、やんわりと押さえた。


「…何をする気?」

「何って、実力を見るなら、これが1番でしょう…?もともと、そのつもりだったし…」

「……やめといた方がいい」

「うーん、いつも通りの反応ね。そんなに、彼が心配?でも、強いんでしょう?」

「確かに、いつも似たようなこと言ってる…。でも、今回は、ミオがヤバイ…。だから、やめといた方がいい…」

「……まさか、私の心配をされるとは思わなかったわ……。まぁ、それならそれで面白そう」


 ミラの静止も聞かず、ミオは、袋から剣を取り出す。……何だあれ。鞘からして、禍々しいんだけど。彫り込んであるの、あれ全部呪文か…?


「さぁて、ベイ君。よかったら新入生最強と言われる、その実力。見せてもらえないかな?勿論、真剣を使っての勝負でね……」


 ゆっくりと、ミオは剣を抜き放つ。その剣の刀身にも、無数の呪文が彫り込まれ、言い知れない禍々しさを放っていた。ミオの魔力を受けて反応しているのか、彫ってある文字が、赤く輝き始める…。


「ストレイド家は、鍛冶師の家系…。丁度、私の、最高傑作の相手を出来る人材を、探していたところなの…。話を聞く限り、君なら丁度良さそうね…」


 うん?鍛冶師?何で鍛冶師が、この学校に?……実際に、武器を作るなら、使い方を覚えろ的なやつだろうか?……ともかく、ミオはやる気みたいだけど…。さて、どうしたもんか…?


「……、ずるいぞ」

「え?」

「ずるいと言っているんだ…。…私でさえ、まだベイと手合わせをしていない…!!!」


 サラサが、子供のように駄々をこねる。そうなんだよなぁ…。結構、忘れがちだけど、サラサも若いんだよなぁ…。


「ベイと、少しでも対等に戦うために、放課後は毎日、一緒に帰るのを惜しんで、私は練習しているというのに。こんな、今日会ったばかりの女が、ベイの相手を……!!!!うぐぐぐぐ…!!!」


 ……、いや、落ち着こう、サラサ。しょうがないので、背中を撫でてなだめる。


「ひっぃう…!!!な、なんだ、ベイ!!いきなり!!!お、驚くじゃないか…!!」

「まぁ、まぁ…」


 しばらく撫でていると、サラサも大人しくなってきた…。


「い、いや、そのだな…。私が、先に戦いたいというか…。頑張って、大会まで我慢しているのに、他の奴が先に、と言うのは、気に食わないというかだな……」

「うんうん…。サラサの気持ちは、良く分かった…。よし。後で、練習試合でもしてみるか…?」

「ほ、本当か…!!!!」

「ああ…。本番前でも、練習くらいならいいだろう…?お互いの実力を、もっとよく知る、いい機会にもなるし……」

「ベイを、よく知る……。うーん、いい響だなぁ……」


 そ、そうかな…?と、取り敢えず、サラサは落ち着いたようだ…。で、ミオの方はどうするかだが…。


「流石に、真剣でって言うなら、ここではちょっとさせられないのよねぇ……」


 そう言ってきてのは、レラだった。やっぱり、事故とかあるといけないだろうからなぁ…。そうだと思った。


「え、そうなんですか?他の研究会では、結構、そのままの感じで勝負できたんですけど…?」

「他の研究会…?ああ、闘技場の方の研究会なら、事故防止できるから、そのままでもいいんだけど、うちはそうじゃないから、真剣でっていうのは出来ないのよ」

「なるほど…」


 ……いや、待てよ。今の話を聞く限り、すでに他の研究会で、試し切りをした後、みたいに感じたんだけど…。


「向こうの、人たちは生ぬるかったですからねぇ…。ベイ君には、期待していたんですけど…」


 そう言って、ミオは剣の刀身を眺めている…。…性能を、完全に引き出すまで、暴れられなかった。ってことかな…?恐らくだが、普通じゃない強さだろう…。やはり注意したほうが良さそうだ…。


「うーん、そうだねぇ…。どうしても真剣で戦いたいなら、明日までに申請出しとくから、明日に許可が降りてれば、戦ってもいいよ?」

「……そうですか、なら、是非お願いします」

「うん、分かった。……所で、向こうで誰と戦ったの?」

「誰と…?そうですね。いい感じだったのは、短剣2本使ってた人とか、先が5本に分かれてる、変な杖、使ってた人とかですかね…」

「うわぁ~。レキさんと、ハインさんかぁ……。あの2人で生ぬるいなんて、求めてるハードル高すぎるよ…」


 うーん、、相手も結構、強かった感じみたいだな。どんな剣なんだ、あれ…?


「所で、ミオちゃんは、どこか研究会入ってるの?そんなに強いなら、うちなんてどう…?」

「……、そうですねぇ。ベイ君が私に勝てたら、考えさせていただきます…」

「お、約束だからね…!!よーし、そうと決まったら、今のうちに申請出して来るよ。今日は、ゆっくり見学していってね」

「はい。よろしくお願いします…」


 レラは、上着を着ると、校舎に走って行ってしまった。……、ということは、俺は明日も来ないといけない訳か…。


「ふむ、ベイ、あっちが空いている。この木剣で、相手してくれ…」

「うん?ああ、そうだな、サラサ。じゃあ、練習するか……」

「ちょっと待って下さい。剣が使えないとはいえ、ベイ君の実力が見たいのは事実…。いずれ真剣で戦うにしても、私も木剣でよろしいので、相手して頂きたいのですが…?」

「え。そうだな、じゃあ、サラサの次ってことで…」

「私も、お願いします…」

「私も!!!!」

「私も!!!」


 ……、いやいや、新人の子は分かるんだけど、何故、先輩たちまで…。


「ふむ、人気だな、ベイ…」

「あはは…。今日も、帰りが遅くなりそうだ…」


 取り敢えず、一人一人こなして行こう…。俺は、サラサと練習試合を始めることにした。



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