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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・三部 高みを目指して
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二回目の練習

 移動して、研究会の活動場所に来た。俺は、いつ、この2人に離してもらえるんだろうか…。柔らかい…。いやいや、そろそろ人目につくんだけども…。


「うん?あれ、ベイ君。どうしたの、二人に連れられて?」

「いやぁ、俺に練習相手をして欲しいって言われて…」


 新人に、訓練をつけていたレラが、俺に気づいた。まだ、放課後になって間もないのに、少し汗をかいている。頑張って、練習をしているようだ。


「レラさんが勧誘したいって言ってたんで、連れてきました!!」

「さらに、見学者も一緒です!!」


 2人が、ニーナを前に出す。


「は、初めまして!!ニーナ・シュテルンです!!見学させていただきます…!!」

「ああ、どうも!レラ・サルバノです。ゆっくり見てってね~。…ふむ、シュテルンかぁ…」

「ああ…。その、シュテルンで合ってるよ」

「やっぱり~?…ベイ君って、こっちの繋がりの知り合い多いね。まぁ、繋がりのある家同士ってことで、改めてよろしくー!」

「は、はい!よろしくお願いします…!!」


 2人は、軽く握手した。うん、この2人は、問題なく仲良くなれそうだな。良かった、良かった…。で、なんでこの両脇の2人は、その光景そっちのけで俺を見ているんだ…。俺の腕を、何も言わないのをいいことに、太ももに挟んでるんだけど…。これいいの?ちょっと、ヤバイんじゃないですかね?しかも、少しずつ息が荒くなっているような…。


「ねぇ、ベイ君?」

「その、…私達と向こうで練習を…」

「あ、そうだ!!ベイ君も、練習付き合ってくれるんだよね!!丁度いいから、新人の子達と、また実戦訓練しててくれないかなぁ。私が、ニーナちゃんに案内している間だけでいいから」

「え、…ああ、分かりました」

「…むー」

「…」


 横の2人が、なにか不機嫌そうだが、言われたんだからしょうがない。俺は、新人の子達と、訓練をすることにした…。が、まだ横の2人が、離れてくれない…。


「…うん?2人共。いつまで、ベイ君を掴んでるの?というか、2人共、顔が赤いような…」

「あ、あああ…!!!いやいや、ベイ君が逃げないように、って思いまして…!!」

「そうそう…!!!なんか、乗り気じゃないみたいだし…!!」


 そう言いながら、やっと2人が離れた。…うーん、ちょっと名残惜しい。


「(もう、この2人は落ちかけですね…。流石、ご主人様!!お見事です!!!!)」


 えっ…。俺、本当、に何もしてないんだけど?どういうこと…?全く訳が分からない…。


「じゃ、じゃあね、ベイ君。また後で…!!」

「また後で…!!」


 そう言うと、2人は離れていった。


「(また後で、ですって!!!自分から落ちに来るとは、欲しがりな子たちですねぇ…!!まぁ、相手がご主人様では、仕方ありませんが…)」


 本当に、そうなんだろうか?だって、今回は、本当に何もしてないよ?どこに、そんな要素があったんだろう…。…俺には、分からない…。


「おーい!!ベイ君!!こっち、こっち!!」

「今日も、よろしくお願いします」


 新人の子達が、手招きして呼んでいる。…まぁ、分からないことは、しょうがない。気持ちを切り替えて、練習でもしよう。俺は、置いてあった練習用の木剣を手にとって、新人3人に向かって歩いて行った…。



「いやぁ…。なんで、あんなことしちゃったんだろう…」

「そうだね…。ちょっとした、色仕掛けのつもりだったのに…」

「そ、そのさぁ…。彼の腕が、太ももに触れてた時、その…」

「ああ、言わなくてもいいから…!!その、私もそんな感じだったし…」


 2人は、顔を赤らめて、お互いにもじもじしている。


「上手くすれば、ベイ君は、私達の後輩になるかもしれないんだよね…」

「うん。しかも、その後輩の子と、あんな…」

「ああああ!!言わないで!!!今更、恥ずかしくなってきた!!!!!!」

「私も…。でも、これでもし、ベイ君が入会してきたらどうする?…止まれるかな、私達?」

「と、止まれ…るわよ…。多分…」


 そう言っている彼女の顔は、赤くなっていて、説得力がない。


「…うーん、ベイ君って、すでに何人も婚約者がいるって話だったでしょう?そのせいで、知らぬ間にすごいテクニックが身についてて、それで私達もやられちゃったとか?」

「でも、腕を挟んでただけだし…。あ、暖かかったのはあるけど…!!それ以外、特に何も…」

「うーん、でも、その、何と言うか…。抱いてて、頼れる感じがしたというか…。居心地が良かったというか…」

「あ、それ分かるかも…!!…その、身を任せたくなるというか…」

「み!!身を任せるって…!!!」

「ああ、ち、違う!!そ、そう言う意味じゃなくて…!!!」

「二人共、何してるの…?」

「「うわああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」」


 練習を中断した、仲間に声をかけられて、2人は驚いた。


「え、驚かせちゃた?次、2人が練習する番だよ」

「ああ、ありがとう…。そうだね。練習する?」

「うん。なにか、そのほうがいい気がしてきた…」


 2人は、武器を取って、空いたスペースに歩いて行く。


「そう言えば…、二人共、ベイ君に抱きついてたね。どうだった、彼の鍛え具合は?」


 その言葉に、ビクッと、2人は立ち止まる。そのまま、後ろから見て分かるほど、耳まで赤くなった。


「「す、すごかったよ…」」


 2人は、声を合わせてそう言った。



「えいっ…!って、あわわわわ…!!」

「よっと!!」

「あ、ありがとう…」


 練習をしていると、俺に攻撃をしようとした新人の子が、バランスを崩したので、すぐに抱きとめた。ちょっと大ぶりになりすぎてるから、そこをアドバイスしたほうがいいな…。…それにしても、レラ達は遅い。もう、1人・3回ずつぐらい試合をしている。どこだろう?と、辺りを見回すと、どうやら魔法の練習をしているようだ。なるほど、ニーナのためにやってるのか。それならしょうがない。俺はもうちょっと、この3人と訓練しているか…。


「あ、あの…、ベイ君?」

「え…、ああ!!!ごめんごめん!!!!すぐ離れるよ!!!」


 つい、抱きとめたままにしていた…。うーん、いかんな。よし集中しよう!!俺は、女の子が立ち直ったのを見てから、もう一度、剣を構えた。


「じー…」

「どうしたの…?」

「あの2人。ちょっと、いい雰囲気になってなかったかなぁ…?」

「それほどでもないと思うけど…。気にし過ぎじゃない…?」

「そうかなぁ…」

「…もしくは、ちょっと良いと思ってる男子が、他の子と一緒にいるのが気に食わないとか…」

「うぇえ…!!いやいや、そんなこと…!!…あるかも知れないけど…」


 彼女は、顔を赤らめて、しぶしぶ肯定した。


「…まぁ、彼は強いですからね。私も、少なからず好感を持っていますし。その気持ちが分からなくもないです…」

「で、でしょう…!?憧れるよね、ベイ君の強さ…!!」

「ええ、私達とは別次元過ぎますね…。同い年に教えて貰うなんて、最初はどうかと思っていたのですが、彼なら納得です」


 休憩している新人2人は、ベイの動きを見ながら、そう思っていた。そして、その目が、動き以外を見ていることもあったが、ベイは、それには気づいていない。


「おっ待たせー!!一通り、案内してきたよー!!で、どう、いい練習になってる?」


 帰ってきたレラが、二人に声をかけた。


「研究長!!彼を入会させましょう!!」

「私も、それがいいと思います…。男性ですが、ここは特例という感じで…」

「うーん、やっぱり?…でも、アリーさんがなぁ…」


 レラは、1人空を見上げて、頭をひねった…。だが、会員がそう言ってるんだから、研究長である自分が動かない訳にはいかない…。


「よし、いっちょ頑張って、ベイ君を口説いてみますか…!!!」

「頑張ってください!!!研究長!!!!」

「ファイトです…」

「あはは!任せときなさい…!!」


 まさか、自分が狙われることになっているなど、練習中のベイは、少しも気づくことが出来なかった…。



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