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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・一部 召喚魔法使い ベイ・アルフェルト
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風属性中級迷宮

 魔石、武器、地図、非常用の食料の準備も出来た。少し不安なので朝早くフィーと軽く模擬戦をして戦闘時の立ち回りを考える。基本的に、フィーを召喚して2人で戦闘を行う。敵の攻撃が予想より速く・強い場合は、フィーの召喚を解除し俺の防御を優先してもらう。その後離脱・攻撃を続行するかを、その場の判断で行うという作戦だ。基本的には、命を大事に。初めての探索であるのだし、慎重すぎてもいいだろう。


「よし……、行くか」


 カエラに頼んで、作って貰った弁当を鞄に入れ出発する。


「母さん、では、練習に行ってきます」

「行ってらっしゃい、ベイ。あまり、危ないことしちゃダメよ」


 カエラには、アリーが帰ってくるまでに魔法をうまくなってびっくりさせたいんだ。という、言い訳をしておいた。やる気を汲んで、弁当まで用意してくれたのは嬉しい。探索の時間が、より多く取れる。


「分かった。行って来ます」


 何事も無く出発出来た。最初は、歩いて家を離れ練習場に向かう。練習場についた辺りで地図を確認し、森を抜け迂回して道に出た。あとは、風魔法で迷宮まで最高速度で飛ばして進む。フィーが俺の中にいる状態だと、俺とフィーの2人で風魔法の制御が出来るのでいつもより速度をだせる。なのでこの方が早く着くだろう。空中を移動し、障害も無く迷宮前に到着した。


「ここが、風属性中級迷宮」


 外から見ると、一見普通の森だ。周りも木々が多いので、その一部に見えなくもない。だが、その区画だけ魔力のドームで覆われている。この魔力の内側が、迷宮になっているわけだ。圧縮された空間で、外からの見た目より広大な空間になっているらしい。俺は、武器のショートソードを抜きフィーを召喚した。


「行くぞ、フィー」

「はい、マスター!!」


 そして、俺達は迷宮に初めて足を踏み入れた。


(……広いな)


 迷宮の中は、森だった。ただ先ほど見た魔力のドームの見た目が、かなり大きくなっている。それだけ、この空間が広いということだろう。出るときは、このドーム端を目指して戻ればいい。だいぶ先の方に、緑色の魔力が柱のように突き出ている場所がある。あれが、ボスエリアだろうか? 今回は、近づく予定はないが、風魔法で飛んでいけばすぐ着くかもしれない距離だな。まぁ、今回は迷宮に慣れるために来たのだ。あえて深く進み、危険な状況になる必要はないだろう。それに……。


「鳥か」


 遠いところを、鳥が飛んでいる。恐らく、魔物だろう。うかつにここで空中を飛べば、大量の鳥型魔物が一気にこっちを襲ってくる可能性もある。地上を進むのが安全そうだ。


「よし、フィー。俺の後ろに付いて来て援護してくれ。周囲の索敵も頼む」

「了解、マスター」


 フィーは、風属性の魔物だからか、周囲の風の状況や魔力で俺より広範囲を把握することが出来るようだ。周りが分かることで、不意打ちを避けられるのはありがたい。俺たちは、注意しながら移動を開始した。


 今回の探索目標は、ここにいる魔物で仲間に出来そうな魔物を探すことだ。後、俺達がどの程度迷宮で通用するかを見ることも大事になってくる。仲間に出来そうな魔物の選別方法は、フィーの念話による会話だ。ハイ・シルフとなったフィーだが、シルフのときは一切話すことが出来なかった。つまり、話す以外に仲間の種族との会話手段を持っていた、ということになる。それが念話だ。これでフィーに、魔物の意識に直接語りかけてもらう。意思疎通の出来る相手なら、交渉して仲間になってもらうことも出来るだろう。弱らせた魔物を、捕まえて調教する手段もあるが。長期間魔物を確保しておく場所も無いため、こちらは却下となった。契約しないと、魔石も使えないからなぁ……。


「とりあえず、近場にいる数の少ない魔物から当たろう。フィー、どっちにいるか分かるか?」

「はい、このまま真っ直ぐ行った所に2匹いるみたいです」

「よし、慎重に行くぞ」


 物音をたてないように移動し、対象に近づいていく。草むらの影に隠れ辺りを見回すと、巨大な蜘蛛を発見した。木と木の間を塞ぐように、巨大な巣をはっている。巣には、大きめのペットボトルのような大きさの芋虫が括りつけられていた。……う~ん、なかなか気持ち悪い。


「フィー、念話で会話してみてくれ」

「はい、マスター」


 フィーが、念話による会話を始めた。蜘蛛が移動し、巣から降りてくる。すると、こちらに気づいたのか俺たちの方向に向かって糸を飛ばしてきた。すかさず風魔法でシールドを張って、糸の接近を防ぐ。


「やはりダメか」

「う~ん、意識というか、本能で動いているみたいです」


 話し合いが通じる相手では無いようだ。もしかしたらと思ったが、そう簡単にはいかないらしい。すかさず蜘蛛が接近してこようとするので、フィーがウインドブラストを放った。強烈な風の弾丸が、蜘蛛に命中してよろけさせる。


(……固いなぁ)


 フィーのウインドブラストは、普通の木程度なら穴を開けるほどの威力がある。それが直撃でもよろける程度ということは、結構な耐久力があるのだろう。風属性に対しての抵抗が高い可能性もあるが……。


「取り敢えず、攻撃だ」


 俺はそのよろけの隙を突き、風魔法で一気に距離を詰めると蜘蛛の前足めがけて切りかかった。ギャリッ、っという音と共に浅い傷がつく。やはり固い。フィーのウインドブラストがまた蜘蛛めがけて放たれたが、蜘蛛は後ろに飛びこれを避けた。着地後、俺めがけて糸を飛ばしてきたので火属性中級魔法・ファイアブラストを放つ。炎の弾丸が飛んでくる糸ごと蜘蛛を焼き、少しよろめいた後蜘蛛は息絶えた。


「とりあえず、なんとかなったか。フィー、そっちの芋虫にも念話してみてくれ」

「はい。……う~ん、駄目みたいです」

「そうか……。じゃあ、次に行こう」


 風魔法で、芋虫を捕まえている巣の糸に切れこみをいれておく。運が良ければ、脱出出来るだろう。その後も、新しい魔物と戦闘・説得を繰り返した。芋虫が成長したと思われる、巨大蛾。頭の毛が白く、体毛が茶色い鳥。頬に溜め込んだ木の実を投げつけてくる犬ほどの大きさのリス。地中からの攻撃をしてくる巨大もぐらなどなど……。一番驚いたのは、巨大もぐらだった。近づき、攻撃される直前まで存在が分からなかった。なんとか回避出来たが、その後の移動がさらに慎重になった。


 こんな感じで、ドームの外周近くを移動し調査は進んでいった。時間も経ち、昼近くになったので一度休憩をする場所を確保しようと移動することにする。


「フィー。何処かに開けた場所がないか分からないか?」

「……この先に、丘があります。そこなら、大丈夫そうです」

「よし、じゃあそこに行こう。敵を避けて案内してくれ」


 10分ほど歩くと、丘に着いた。木が少なく、周りがよく見渡せる。周囲に敵もいないようだ。安全を確保し、ここで休憩を取ろう。と、思った瞬間……。


 ズドオォン!!!! という、巨大な音が、あたりに響いた。 


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