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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第ニ章・二部 入学と新たな挑戦
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全力

「・・・あれだけやって、まだ本気じゃなかったとでも言うのか・・・」


 それとも、俺達がある程度回復を抑制したから、遊んでいられないと思ったのだろうか・・・。確かに、先ほどの形態変化は、多くの魔力を使ったように感じる。戦闘が、さっきまでのように運んでいたなら、時間をかければ敵が勝利していた確率は高い。だが、俺達が一体化した今となっては、その可能性は少なからず薄れてきていた。その状況を見て、本気を出してきたと見るのが妥当か・・・・。


「・・・・・・・グオ」


 巨人が短いつぶやきを発する・・・。それは攻撃の合図だった。巨人の身体から土魔法で出来た狼が、何匹も発生し、地面に着地した。その数は数秒ごとに増え、すでに巨人の周りを埋め尽くしている。


「・・・・・魔法で攻撃するぞ!!!」


 俺の合図で、全員が魔法での攻撃で狼の数を減らしにかかる。魔法を一斉に放ったことによって、何十匹かの狼を破壊することは出来た。だが俺達の攻撃とともに、狼も攻撃を避け、分散する。数が多すぎるということもあって、ジリジリと俺達は狼達に距離を詰められていった。しかも、まだ巨人からは際限なく狼が湧いてくる・・・・。


「ちっ・・・・!!!!!」


 距離が詰まってきたので、近距離戦をしながら魔法を乱射する。もう打てば当たるという狼の多さになっていた。だが何度敵を切っても、その隙間を縫って狼達は攻撃しようと俺達に飛びかかってくる。またこれでは、先程と同じように消耗戦になってしまう・・・・。


「・・・・ここは、全員で一体化するべきか・・・・」


 だが、はっきり言うと全員での一体化はこちらの切り札になるため、使うなら確実に勝負を決めるつもりで使わなくてはならない。・・・・だが、今の巨人は自分から動くこともなく、魔力を使って俺達を追い詰めている。まだ何かを隠し持っている気がするなぁ・・・・。


「いや、だからと言ってこれ以上長引かせる訳にもいかない・・・。ミズキとの訓練で、皆、複数戦の戦い方は身についているが、このままでは時間の問題だ・・・・」

「そうっすね。多少のリスクを恐れている場合じゃないと思うっすよ」

「やりましょう!!ベイさん!!!」


 ミエルとシスラの言葉で、方針を確定させる。俺は、全員に念話で意志を伝えてから、全員の召喚を解除した。


「一気に勝負をつける!!!!!」


 再度一体化を行う。レムの鎧を中心に、足に火の力が宿り、脚部の強化が、背中に風の力が宿り、噴射口が形成された。腕に土の力が宿り、ミルクのガントレットのようにゴツく、一回り大きく変化する。腰に雷の力が宿り、2本の鎖を射出する射出武器が追加された。頭に水の力が宿り、水の魔力で形成された長髪が生える。胸に、聖属性の魔力が宿り装甲が厚くなった。背中に8枚の白い羽が生え、最後に、それらに合わせ闇属性の魔力が全体を変化させ、デザインを合わせた。


「グオオオオオオオオ・・・・・」


 流石に、巨人も今の俺達を見てたじろいだようだ。全員での一体化は初めてになるが、ものすごいパワーを感じる。


「うひょおおおおおおおお!!!!!!!!これなら、どんな敵でもどんと来いって感じですね!!!」

「確かに、凄まじい力だ・・・。これなら行ける・・・!!!」


 ミルクと、レムが腕を握ったり開いたりしながら、そう呟く。確かに、そう感じるだけのパワーは有るだろう・・・。だが目の前のやつを前にして、そう思えない自分がいるのが気がかりだった・・・・・。


「・・・・だが、そういつまでも悩んでいられないか・・・。さぁ、こっちは本気を見せたぞ!!!!次はお前の本気を見せてみろ・・・・・!!!!!」


 俺達は、一気に加速すると巨人目掛けて拳を叩きつける!!!!巨人もそれに反応し、俺達の拳に合わせて拳を叩きつけてきた!!!!


 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォオォォォォォォォォオォォオオオオオオンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!


 2つの拳がぶつかっただけだというのに、まるで巨大な爆発でも起こったかのような音が辺りに響いた!!!!!周囲に空気を介して衝撃が伝わり、先程から出てきていた狼達は、全て粉微塵に粉砕された。


「・・・・・・・・」


 だというのに、目の前の巨人は一片も傷ついてはいない・・・・。今の俺達なら、先ほどの回復魔法も相殺できるだろうが、それすらこの攻撃ではさせられないようだ・・・・。


「なら・・・・・!!!!」


 俺達は、剣と盾を形成する。剣に魔力を込め、気合とともに巨人目掛けて振りぬいた!!!!!!


「グガオ!!!!!!!」


 高密度の魔力の斬撃が、巨人を襲う。巨人は腕の装甲を魔力で補強し、厚くする事によって、俺達の攻撃を防いだ。だが、俺達も巨人に隙を与えないように、今度は接近して近距離からの斬撃を入れる!!!!!


「!!!!!!!」


 俺達は巨人の顔を狙い、一撃で決めるつもりで剣を振り下ろしたが、巨人は素早く大きくのけぞると、間に腕をいれて攻撃を防いでた。そのまま腕をふるい、俺達に距離を取らせる・・・。


「・・・・・グガアアアアアアアアアア!!!!!!!!」


 巨人も余裕が無いとわかったのか、俺達目掛けすぐに拳で攻撃を行ってきた。8本の腕が、俺達が避けずらく、また反撃しづらいように攻撃をしてくる。俺達はそれをいなし、斬撃を加え巨人に少しでもダメージを通そうとするが、攻撃がなかなか通らない・・・・。


「これだけ力があっても、まだ互角だというのですか・・・!!!!」

「焦るなミルク!!!物理攻撃で互角なら、今度は魔法で行く・・・・!!!!!」


 ミズキが水の糸を形成し、巨人の腕の動きを封じる。だが、封じていられる時間はそう長くは無さそうだ。


「今だ!!!でやああああああああああああ!!!!!」


 俺は、がら空きになった巨人の顔目掛けて剣を振り下ろした!!!!魔力の斬撃が、真っ直ぐに巨人の顔を捉え、迫る!!!!!!!!!


「グオオアアアアアアア!!!!!!!!」


 巨人の面の周りに土の魔力が集まり、大きな狼の顔を形成した!!!狼の顔はそのまま俺達の魔力の斬撃に向かって、牙で噛むように受け止める!!!!


 ズドオオオオオオオオオオオオオオオォォォッォォォォォンンンン!!!!!!!!!


 2つの魔力の塊がぶつかったことで、巨人は致命傷を逃れたが、その面には軽くヒビが入っていた。


「ちっ!!!!!惜しいですね・・・・!!!!!」

「次は仕留める!!!!」


 もう一度、魔法で拘束しようと思った俺達だが、巨人は地面に腕をつき、地面からそのまま飛び出してきた!!!


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 でかい!!!!!とてつもなくでかい!!!!!その全長ははるかに高く、足も石で包まれていた。そのまま、巨人は俺達目掛けて拳を振り下ろす!!!!


「え・・・・・!!!!!」


 俺達は、慌ててその拳を盾で受け止めた!!!!!!周囲に再び轟音が巻き起こる!!!!!


「なんだ・・・!!!!!さっきより速いし、重い!!!!!」

「ご主人様、また来ますよ・・・・!!!!」


 続けざまに、拳が振り下ろされる。俺達はそれを防ぎ、いなし、躱すが、休みなく巨人の攻撃は続いた。


「こいつ・・・!!どんどん威力もスピードも上がって・・・・!!!」

「ご主人様!!!正面です!!!!」

「くっ・・・・!!!!!!」


 盾でその拳を受け止めたが、俺達はその拳の一撃によって大きく後ろに吹き飛ばされた!!!!後ろの魔力の壁に、体ごと叩きつけられる!!!!!


「ぐはああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「あいつ、全魔力を身体強化に使ってるんじゃあ・・・・」

「・・・・なるほど、神魔級身体強化・・・・。それがあいつの奥の手か・・・・!!!」


 畳み掛けるように、巨人は俺達目掛けて拳を叩きつけてくる。俺達も聖魔級強化で身体を最大限まで強化して、その一撃をなんとか躱した!!!


「どうやら・・・!!!その!!!!ようですね・・・!!!!」

「ぐっ・・・・・!!!!攻撃をいなすのがやっとだ・・・・!!!!!」


 休みなく続く巨人の攻撃を、なんとかくぐり抜けていく・・・!!!だが、このままでは時期に押し負けてしまうだろう・・・。


「こん!!!!!!!」


 シデンが鎖を飛ばし、巨人の腕に絡みつかせる。巨人の腕を引く力によって、俺達は引っ張られ、なんとか壁際から脱出することが出来た。


「この・・・!!!!!」


 魔法の総攻撃を巨人の後ろから行う。だが、巨人はその見た目からは想像もできない速さで、拳を振るい。俺達の魔法を尽く、破壊していく!!!


「ちっ!!!!打つ手が少なくなっていくな・・・!!!!」

「こうなったら、全力の一撃を放つしか・・・・!!!」

「ちょっと待って・・・・」


 後ろの噴射口が消え、フィーが一体化から解除された。解除されたことによって、フィーは召喚された状態で俺達の前に出てくる・・・。


「ちょ!!!フィー!!!危ない!!!!」


 剣に魔力を込め、巨人の攻撃を牽制し、フィーを抱えて後ろに下がる。魔法を打ちながら足止めをするが、いつまで持つか分からない・・・・!!!


「どうしたんだフィー!!!なんでいきなり・・・!!!」

「マスター、この戦いが・・・、私へのいい刺激になったみたいです・・・・」

「え・・・?」

「一体化したままで、進化を行うわけには行きません・・・。皆を変な形で巻き込んでしまうかもしれないから・・・・」

「フィーが・・・、進化を・・・・」

「・・・・・・、ミズキの能力で私の魔石の熱量の変化を直してください。恐らく、熱いと思います・・・」


 フィーは、俺達から少し距離をあける・・・・。


「・・・・・・・うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 瞬間!!フィーの絶叫と共に、フィーの身体は光りに包まれた・・・・。




今日でまた一つ年を取りました。連載が長く続いてる証拠ですね・・・。

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