はじまり。
「おはようございます。朝の7時になりました。この時間からはニュースをお伝えします。」
朝の日課で聴いているニュースに耳を傾けながら、目の前にあるハムと卵がのったトーストを頬張る。
「昨日、一週間ほど前に捜索願いが出されれいました。女子高校生、小日向 沙希さん の遺体が自宅付近で発見されました。...」
最近このようなニュースが多くなってきたなと思いながら、食後のコーヒーを飲んでいると、'チリーン'と高い音が鳴る。この音は家のインターホンの音だ。
「ちょいまち」
やる気のない返事をした後、カバンを持ち玄関を開けた。
「おはよー!」
元気な声で挨拶をしてくる変態は、小学校からの友人である’神木 佳'(かみき けい)である。
「おはよ...ふわぁー」
「今日も一段とやる気のないあいさつだな」
挨拶を終えて、佳より先に歩き始める。
そういや忘れていた、僕は'山笠 優'(やまがさ すぐる)やる気のない学生だ。今まで特にやりたいことが無かったせいか、毎日フリゲやオンゲ三昧な日々を過ごしている。
「優?誰と会話してんだよ!」
「いや、画面の向こう人にな」
スマホでニュースを見ながら応える。
なぜ友人を放ったらかしでスマホを見てるかって?何故ならこの情報社会を生き残る為に、学校に着くまでにスマホで朝に無かったニュースを探しているのである。
「そういや、優よ、最近話題になっている奇妙なゲームを知ってるか?噂によると、いつの間にかスマホに謎のゲームがインストールされていてシステムが・・・」
佳のゲームの内容がここから学校着くまで続いた。
聞いた内容をまとめてみた...
・いつのまにかゲームがインストールされている。
・ゲームのジャンルは「脱出ゲーム」
・操作は場所の選択だけ。放置ゲームに近い。
「はいそうですか。って、誰がこんな話信じるんや!」
意味不明すぎる内容に、校門の前で大声を出してしまった。基本やる気のない僕だが、こればかりは突っ込まざる得ない。ゲームが勝手にインストールされているのもおかしい話だが、脱出ゲームなのに操作は、放置ゲームに近いなんて何が話題なるんだか。
興味を完全に失った’桂’は、この後すぐに違う話題に移った。
しかし、今に思えばもう少し真剣に考えておくべきだと僕は思った。