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刃金の翼  作者: 山彦八里
一章:出会い
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12話:帝都へ

 鋼を打ち合う高音が広場に木霊する。

 クルスとカイが互いの剣を弾いて距離を取り、すぐさま引き合うように剣閃の間合いに踏み込んでいく。

 二人の纏う殺気は限りなく実戦に近い。

 互いの剣が急所をかすり、打ち払われ、避けられる。


「オオオオオオオッ!!」

「――シッ!」


 騎士の剣は一撃重視の重い剣だ。敵の攻撃を受け止め、弾き、体勢を崩した所へ全体重を乗せた一撃を打ち込む。

 注目すべきは剣の技量以上にその防御技術だろう。

 近接戦では技術的に大きく水をあけられているカイの攻撃をかなりの精度で防いでいる。もし盾を持っていたならば正面からの攻撃は確実に防ぐだろう。

 剣技に限れば絶対的ともいえる差があることを考えれば驚異的なことだ。



 侍の剣も一撃重視の剣ではあるが、こちらは重さよりも速さと鋭さに特化している。

 相手の攻撃は極力体捌きで回避し、剣が触れる場合も打ち合うのではなく、刀身側面の鎬で受け流すことで逆に加速に利用している。

 結果、生まれるのは一撃注力でありながら反撃を交えた多数の連撃だ。

 それらが回避の難しい正中線や死角、急所へと襲い掛かり、相手の間合いを削るようにして徐々に追い詰めていく。


「ッ!? セイッ!!」


 剣戟が続く最中、騎士はその優れた直感で数手先に王手を掛けられる未来を読み、咄嗟に距離を離す為の横薙ぎを放つ。


 だが、それは悪手だ。騎士も放った瞬間にそれに気付く。

 瞬間、視界から侍の姿が消えた。


「ッ!? ――下か!!」


 慌てて視線を下げる。

 侍は膝に胸が付く程の地を這うような低姿勢で横薙ぎの一撃をかい潜り、そのまま相手の懐に飛び込むと同時に袈裟に切り上げる。

 反応は間に合わず、高速の斬撃がクルスの喉元をかすって抜けていった。

 避けたのではない。外してもらったのだ。


 今日これでクルスは四度死んだ。


「連撃、いくぞ」


 宣言と同時に侍がさらに加速する。

 放たれる剣の乱舞。上下左右からほぼ同時に迫る高速の切り返し。その一撃一撃が針の穴を通すような正確さで急所を狙ってくる。


 クルスは斜めに構えた剣で斬撃を防ぐが、捌き切れず徐々に押し込まれていく。

 どちらも振るっているのは一本の剣の筈なのに、繰り出される斬撃の数には倍以上の開きがある。

 それでも青年はギリギリのタイミングで防ぎながら相手の隙を探す。既に己の動体視力と反応速度では襲いかかって来る剣線を完全には捉えきれなくなっている。


「ア、グッ!!」


 故に見つからない。今の自分で衝ける隙が存在しない。


(そんな筈はない。目をこらせ!! 動いている以上、隙は存在する筈なのだ!!)


 集中力を限界まで高める。

 そうして見えた一点。足を止めて打ち合ってくれているからこそ存在するその隙をクルスは全力で衝く。

 胴を払いにきた一刀を巻き上げから頭上へ弾き飛ばしつつ一気に踏み込む。

 剣はそのまま突きの形へ。


(勝――)


 勝利を感じた瞬間、クルスは己の目を疑った。


 カイは弾かれた剣の勢いに逆らわずふわりと浮き上った。

 無論、それだけではクルスから離れるほどの跳躍力は得られないが、突き出された剣を足場にすることでクリアしてみせた。

 靴底と剣の間で小さく火花が散る。突き出した剣に掛かった予想外の重さに騎士の体勢が流れる。


 一瞬の攻防の中で行われた常識外の行動にクルスの反応が遅れた。

 その隙を逃すカイではない。無造作とも言える程自然に、しかし高速で刀が振り下ろされる。

 クルスが咄嗟に首を傾けようとするが、間に合わない。


 一片の容赦もなく頭を打たれた。


「――ッ!?」


 打つ瞬間に手の内で刀を半回転させて峰打ちにしたとはいえ、頭部という痛覚の集中した場所を打たれた痛みは一瞬で体中を駆け巡った。

 しかも脳天、もっとも痛みを感じやすい急所の一つを打たれている。今すぐのたうちまわってもおかしくないほどの激痛だ。

 想像以上の衝撃に痙攣する騎士の背後に軽やかに侍が着地する。


「これで五回。すぐに治癒術式を掛けろ」

「あ、りがとう、ございました」


 何とか一礼してクルスはそのままその場に倒れ込んだ。

 汗を吸った服が重い。少し湿ってひんやりとした草と土が火照った体に心地よい。

 その心地よさに痛みすら遠のき、気を失いそうになるので慌てて治癒術式を己にかける。



「……ソフィア、もういいぞ」

「はい。二人ともお疲れ様です。どうぞ」


 カイが水を向けると、離れて見学していたソフィアがタオルと水筒を持ってやって来た。


「かたじけない」

「兄さんも。お辛いようでしたら、わたしが治療しますよ」

「いや、自分でやる。……ソフィア? いつから来ていた?」

「兄さんが最初に首を打たれた辺りです」

「む……」


 気付かなかったのは集中していたからというよりも、余裕がなかったからだろう。

 それは ナイトとして、リーダーとして不覚である。

 ナイトは守りとして、リーダーは司令塔として常に周囲の状況に気を配り、的確に行動することを求められているのだ。

 そうして徐々に顔を顰めていくクルスを見てカイはため息を吐いた。


「気負い過ぎだ、クルス」

「ッ!? あ、すまない。教えを乞う側の態度ではなかったな」


 軽く頭を下げるクルスをみてカイは少し眉根を寄せる。


「周囲に気を配れるほどの余裕は与えていない」

「カイ……」


 唐突で不器用すぎる慰めに聞こえるが、本人は至って真面目に事実を述べているつもりだ。

 兄妹は思わず苦笑するが、侍が憮然とした表情になったので慌てて噛み殺した。


「そういえば、ソフィアは何しに? 集合にはまだ早い」

「いえ、特に何もありません」

「……」

「ただ、何かしようと思ってきました。カイとお話ししたり戦い方を見せていただいたりするのは勉強になります」

「ああ。それは確かにな」


 クルスも賛同する。まだまだ自分達とカイとの間には差がある。

 見れば、汗だくになって息を切らしているこちらとは対照的に、カイは薄く汗をかいただけで息一つ乱れていない。

 これで魔力を封じられていなかったらその肉体は魔力の循環で更に強化されているだろう。改めてマスタークラスの恐ろしさというのを感じる。


「そうですね。たしかにカイにはまだ余裕があります。兄さんでは相手になりませんか?」

「……」

「……」


 実の妹ながら辛辣なもの言いである。これで本人に悪気はないから尚性質が悪い。

 分かっていたことだが改めて言われると凹むクルスだった。

 カイより下であることにではない。自分でも気付かない内に驕っていた部分があったことにだ。


「俺もまだまだ未熟だな」

「言うほど差はない。一撃食らえば覆る程度の差だ。ただ段階が違うだけ、気付くか気付かないかの違いだ。その内、分かるようになる」


 それは手合わせするようになってカイが繰り返し言っている事だ。

 やっていることにそう違いはない。問題は気付くか気付かないか。剣術はあくまで手段。そこに何を見るかが肝要だと。

 クルスにはまだ理解できない領域だ。


(だが、本当にそれだけでこれ程の差が付く物なのか?)


 たしかにカイに特別な能力はない。加護は一般的ではないが優れているという程ではない。

 剣技も多くはサムライとしてはセオリーに則った基本的なもの。

 動きも速度に優れているがそれでも英雄級にはまだ届いていない。

 物理的な肉体面も無駄なく鍛え抜かれているが、魔力がない分、総合力では教官たちはおろか自分にも劣る。


 だが、それらが有機的に組み合わさった時、英雄級を相手にして向こうを張れるサムライが出来上がる。

 攻撃から防御への淀みない連携。一切の無駄のない力の伝達と足捌き。独自の意志を持つかのように自在に動く剣。未来予知の域に達した直感と読み。呼吸、気、視線に至るまで張り詰められた集中力。

 圧倒的な完成度を以ってカイはサムライのマスタークラスに座しているのだ。

 その小さくも大きい差をクルスは心に刻んだ。



「明日は赤国まで行くのだろう?」

「ん、ああ。ギルドハウスにアテが付いたからな。確認に行く予定だ」

「お昼でイリスの講義も終わりますから、それから準備になります。それまではのんびりできますよ」

「そうか」


 カイは頷き、その場に胡坐をかいた。同時に、初めて会った時の大樹のような巨大な気配が戻ってくる。


 クルスはその姿を目に焼き付ける。

 最近気付いた事だが、カイは常にある程度の瞑想状態にあり、“瞑想の完成”をする段になって気配を殺すのに使っていた気力を己に戻している。

 それは常に極度の集中を保っていることに等しい。

 その域に達するには文字通り血のにじむ様な努力が必要だっただろう。


 だが、その成果は確かに今カイの力になっている。

 レンジャーに匹敵する異常な感知能力や並はずれた直感はその恩恵だろう。

 何者も物質界に居る以上は森羅万象に影響を与えている。その繋がりを殊更に断とうとしなければ感知されるのは自明の理だ。


「……ふむ」


 自然と同化し、少し近づきがたくなったカイに何か言うべきかクルスは迷う。

 心技のこと、防衛戦争のこと、話しておくべきことは幾らでもあるが、カイの侵しがたい雰囲気につい言葉が詰まってしまう。

 遠慮しているなと心中で苦笑していると、胡坐をかいたカイの隣にそっとソフィアが腰かけた。

 互いの肩が触れるか触れないかの位置。最近のソフィアの立ち位置だ。

 そのままカイの雰囲気に呑まれるどころか、逆に落ち着き、同調さえしていく妹の姿にクルスは少しだけ羨望を覚える。

 心が読めるからとか、感応力が高いからではない。カイを信頼し、理解しようとしているからこそ、臆することなくその隣に居られるのだろう。

 自分はまだそこまで他者を受け入れられていない。



「……そういえば、カイは背中の剣を使うことはないのですか?」

「これか?」


 ふとソフィアが思いついたように問いかける。

 応答するカイもいつも通りだ。

 興味のある話であったし、いい機会だからとクルスもカイの対面に腰を下ろした。


「いつも背負っているようだが、たしかに抜いた所は見たことがないな」

「……そうだったな」


 カイは背中の一刀を鞘ごと外して二人に見えるように持つ。

 鞘の形状から見て刀身は七〇センチ程度だろう。

 見える鍔や柄は銀一色で、見える部分には装飾は一切ない。


「杖、魔法の触媒ではないようだな」

「刻印術式に加えて召喚術に近い術式構成を感じます。……かなり複雑な構成ですね。これを剣の面積に収めるのは相当な技術が必要だと思われます」


 ソフィアが魔力で目を輝かせて剣を熱心に走査している。興味が湧いたようだ。


 刻印術式はドワーフや一部他種族の鍛冶師が修める技術体系で、ウィザードの作る巻物(スクロール)と同様、術式を紋様の形に押し固めたものだ。杖や魔法陣のように術者を補助する物でなく、魔力を通すだけで誰でも術式が使えるようになる。

 刀気解放にはさすがに及ばない物の、その汎用性の高さはそれなり以上の武具防具に往々にして刻まれていることが証明している。

 現にクルスの鎧には身体強化、盾には硬化の術式が、イリスの胸当てには重量軽減の刻印が刻まれている。


「ふむ……白国の近衛騎士は叙勲の際に剣が与えられるというが、もしやこれがそうか?」


 イリスからカイが元・近衛騎士だというのは聞いている。

 そして、この剣は完全な両刃の直剣だ。形状的には切断力よりも叩き潰す威力を重視した剣だろう。

 サムライの刀気解放に耐えられる武器が希少であるとは言え、反りによって斬る刀を常用しているカイが、わざわざ別系統の武器を用意するとは思えない。

 果たしてカイは首を縦に振った。


「今となっては無用の長物だ。捨てることもできず、かといって魔力のない俺が使っても真価は望めない。自分への戒めとして装備しているが、出来れば抜かずにいたい」

「抜きたくない剣を戒めとして装備しているのか?」

「ああ、この剣は――」


 意図せず、声が途切れる。こめかみに微かな痛みが走る。

 刹那、脳裏に過去の映像が再生する。

 燃える街並み、屍の山、倒れた父親、血に染まる両腕、天を満たす曇天、心臓に刻まれる禁呪・不死――


「カイ、今のは?」

「……いや、何でもない」


 どうやら数秒ほど意識を失っていたようだ。

 いつのまに近づいたのか、抱きしめる様な距離で心配そうに見上げるソフィアに首を振って答え、呼吸を整える。

 読心していたソフィアにも断片的に情報が渡ったようだが、気にするなと告げれば静かに頷いてそれ以上問われることはなかった。

 静寂が辺りを包む。


「……ソフィア?」

「どうかしましたか?」


 何故か離れようとせず、至近距離で見上げてくるソフィアに何か言おうとして、諦めた。

 されるがままに任せる。

 背の関係でカイの胸辺りに頭が来るソフィアはカイの懐にすっぽりと収まっている。


「……む」


 何となく期待されている様な気がして、おずおずとソフィアの頭を撫でる。

 丁度腕を伸ばした高さにあるからだろうか、少女の頭は撫でやすくて少し和む。艶やかな金髪は絹のような手触りで心地よい。

 ソフィアも髪を梳かれる感触に目を細めている。


 クルスはいぶかしむ様な視線をカイに向けるが、踏み込むべきではないと判断したのだろう。何も言わず、こほんとわざとらしく咳をするにとどめた。

 ソフィアが顔を赤らめ、つつーとカイから離れる。

 だが、その距離は先程までより若干近く、互いの肩が僅かに触れ合っている。

 カイは何も言わず剣を背に戻した。


「ともかく、抜かずに済ましたいと言うのは了解した」

「ああ。現状では抜いてもただの丈夫な剣でしかない。……休憩は十分だな。再開するか?」

「頼む」

「いい機会だ。ソフィアもクルスに付いてみるか?」

「よろしいですか、兄さん?」

「構わん。現状ではハンデがあっても厳しい位だ」

「では、お願いします」


 三人は改めて訓練を開始した。


 ソフィアは先日の魔物相手にも使った『拡散制御』――魔法の威力を弱める代わりに効果範囲を大きく広げる追加術式である――を魔法を斬る技術への対策として用いたが、それでもカイに魔法を当てることはできず、クルスと二人で十分ともたなかった。

 だが、二度目の敗北すら兄妹にとっては心を震わせる一因となった。

 まだ己の知らない未知がある。その感動は二人をさらなる高みへと誘っていった。



 ◇



 ルベリア学園は立地自体は白国の北西部にあると言えるが、大陸全体で見れば白国と赤国の境界に触れるような位置だとも言える。

 出資自体は白国によって為されたが、ギルド連盟との提携の関係上、四カ国で唯一ギルド本部のある赤国からも遠くない位置が都合良かったのだろう。



 夜明け前に出発した一行は再び帝都ジグムントを目指して馬車を進ませていた。

 特に問題もなく国境を抜け、よく整備された主要街道を急ぐでもなくなぞっていく。何もなければ夕方には到着するだろう。

 赤国の輸送の要諦でもある主要街道だけあって、魔物の姿はひとつもない。国軍によって虱潰しに駆除されているのだ。

 討伐依頼も帝都よりも北、主にアルキノの周辺に集中している事からもそれが窺える。

 空は澄み渡り、草原を撫でる風は涼しくも優しい。

 穏やかな行程が続いていることもあって、馬車内では雑談に花が咲いていた。


「――当たり前っちゃ当たり前だけど、クルスも本気で手も足も出ないんだ。流石はキリエ教官に勝っただけのことはあるってこと?」

「キリエに? ……ああ、彼女がそう言っていたのか」

「違うのか?」


 クルスの声には疑問の色が濃い。キリエ教官がそんなすぐ露見する嘘を吐く人物だとは思えなかったからだ。


「正確ではないな。前に純粋な剣技のみで手合わせした時のことだろう。その時は確かに勝った。だが実戦では別だ」


 カイが問いかけるような視線を三人に向ける。


「魔法の有無ですね」


 ソフィアが代表して答えた。キリエ教官はサムライながらウィザードの“飛行魔法”を実戦で使える稀有な人物だというのは学園でも有名な話だ。


「そうだ。直接攻撃魔法だけではない。回復、移動、撹乱、強化など術式、魔法による支援の有無は戦場で勝敗を分ける重要な要素だ。現状、実戦で彼女と正面切って戦うなら勝率は5割を切るだろう」

(支援なし魔法なしで英雄の向こうを張れる時点で十分だと思うが)

(暗に闇討ちすれば勝てるって言ってない?)

(いや、それはない……と思うぞ)


 どちらにしろ、先程ソフィアと組んでも勝てなかった自分が野暮なことを言える話ではない。


「カイでも教官方の相手は辛いですか?」


 この話題はソフィアの興味を強く惹いたらしい。身を乗り出すようにしてカイと向き合う。

 ソフィアの本質は“感動”だと言っていたイリスの言葉が侍の脳裏をよぎった。


「辛いな。魔力を失う前でも勝率は高くないだろう。分けても戦場で聞いた名、“烈剣”のキリエ・ノーステン、“豪拳”のライカ・パウウェル、“中らず”のリヒャルト・グランベルト、“外さず”のウィリアム・ボウ、そのあたりは……率直に言って、命を捨てて懸らねばならないだろう」

「いやそれウチの教官内の最大戦力だから」

「各国の英雄級がこうも揃っているのは確かに異様だな」


 イリスとクルスが思わず突っ込む。

 ルベリア学園の教師陣は学長のローザがあの手この手で各国から引き抜いて来た一線級の英雄や学者集団だ。

 それは既に周辺国家にひとつの戦力として学園が認識されてしまうほどの個人戦力の集団となっている。

 あるいは、これからも依頼を受けていけばそういった存在を相手にすることもあるかもしれない。


「殺るなら奇襲か、もしくは“心技”で削らなければ厳しいだろう。そうでないなら即座に逃走すべきだ」

「死んじゃったらオシマイだからねー。カイも前はそうだったんじゃないの?」

「あいつらほど派手ではない」

「でも、いつか見てみたいですね、そんなカイも」


 無邪気に告げるソフィアに侍は小さく苦笑して、見上げてくる少女の額を軽く小突いた。

 遠く微かに、数日ぶりの帝都の威容が見えて来ていた。

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