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久遠の重力  作者: めざしと豚汁


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16.観念の檻

ベアトリーチェはまた奥の部屋に行きフルーツタルトを持ち帰ってきた。


「疲れたよね?つまり六花ちゃんは今、甘いものがさらに美味しくなる状態だ。さあ食べて」

「ありがとう…」

「さっき暗に差別してるなんて言ったけど、私はどっちかと言えば反対なんだよねー」


心を読まれた気がしてボクは無意識に制服の胸の辺りを握りしめていた。翼神はなんでわざわざこんな分断を残したのか。世界がギクシャクするだけじゃないか。

タルト………甘い。


「ボクも納得できない。でも翼神のやり方が強引すぎるというか…」


「未来」


「?」


「未来だよ、六花ちゃん。輪廻転生の先には人が差別をなくした世界がある。私たちはより良い世界を夢見て、歴史を紡いで未来の自分にプレゼントする。そういう考えに至った人たちがこの愛の都を創った」


衝撃的だった。輪廻転生が約束された新世界では、未来人は歴史を紐解く度に過去の自分まで愛せるんだ。地球はどうだったっけ…名画や古代建築に感動はするけどボクはただの観測者だ。ここでは記憶がなくても自分自身が伝統の当事者になれる。だからより良い未来を築こうとする…。


「六花ちゃん、愛の都って聞いてあちこちでイチャイチャしてるのを想像したでしょ?いやーん、それも素敵かもー!」


ボクは顔から火が出た。


「ち、ち、違うよ!もっと芸術的な…」

「六花ちゃんはやっぱり同じ人間だね。ネオンだったら「それも人間の野生です」とつまんない返事しかしない」


同じってなんだろう。新世界は肉体の構造や死生観がそもそも違うから人類の観念が全く変わるのは必然だ。だけどベアトリーチェはその観念の檻の鍵をボクに差し出している。ボクがここで外に出たら元の世界はいよいよ無価値に感じるんじゃないだろうか。---------考え込むのは後にしよう。


「そうさ、ボクらは同じ人間だよ」


ボクは迷いながらも檻を出た。











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