13.愛の都
ボクは馬車を降りて巨大な城壁と正門に圧倒されながら都に入った。街は人でごった返していたがレイヤー相違のおかげで歩くのに不自由はしなかった。やがて人混みを抜けると石畳の広場を囲む中世のきらびやかな街並みが姿を現しボクは興奮を隠しきれなかった。
「ネオン、ここの雰囲気凄くいいよ。今までで一番ユートピアっぽい」
「ぽいはどうか分かんないけど、多分ここは文化的創造を極めたい人たちの都だからかな」
「何もかもがきれいだ。見てよあの噴水!あ、あの美術館にも入ってみたい」
「六花、手をつなごう。迷子になっちゃう」
「いいよ、でもエスコートはボクだからね」
そこからボクは様々な美術品を愛で博物館で工作に驚いたりした。盗まれたりしないか心配になってネオンに聞いたら公共の破壊は即輪廻転生の対象、つまり死刑になると言われブルッとした。そして今はスケートリンクでグルグルと回る人たちを眺めている。
「即死刑ってボクたちの感覚じゃ信じられないな」
「人類は処罰したい人と赦したい人に分かれるからね」
「翼神は迷わないの?」
「迷わない。輪廻転生が保証されてるからここの人たちも色々考えない」
「転生したら記憶をリセットだっけ。それって同じ自分じゃなくなるから死と同じじゃないの?」
「翼神はほんの少しだけ記憶を残す。たまに夢に見る程度に。人間は輪廻転生前の人生の欠片と理解して連続性に満足してるよ」
「どうせ次があるからと乱暴に生きたりしないの?」
「たいてい人間は次が約束されていても積み上げたものが惜しくて手放せないからね」
「赦しを叫ぶ人はいないの?家族とか」
「いるけど新世界では物理法則の一種なんだよ。六花の世界で不治の病を嘆いてもどうにもならないようなものだよ」
「翼神は恨まれたりするよね」
「たまに反対運動とか起きるけど、翼神は野生と結論を出してるから一切応えない。翼神は『そういうもの』なんだよ」
「独裁主義…でもないか。相対性のどちらも肯定しているだけ………」
「私が君の価値観を見せるツアーだと言ってからより深く思考するようになったね。良いことだけど少し詰め過ぎだな」
「帰るまでにできるだけ納得したいもん」
「目標があるなら止めない。ただこの次は私向けじゃないから助っ人を用意した。キリがいいところで会いにいこうよ」
「前に言ってた双子の同僚?」
「いいや、歌姫ベアトリーチェだ」
---




