第六話 授業開始(下)
「それじゃあ札を作ってみようか!用意するのは専用の紙と筆、墨と霊力を込めた水だよ!」
机の上には今挙げられた物がある。
「陰陽師にとって札は大切なもの。使う材料をケチったりすると余り質の良く無い…効果の薄い札になってしまう。」
その通りだ。勿論作る人の技量も求められるが、良い物はまず質が良い。きちんとこだわって作った物はやはり違う。
まぁ…練習をする時はそこまで気にしなくても良いが…
材料費も馬鹿にならないし…
「先ずは父さんが札を作ってみるから見ていてね!」
いつも朗らかにニコニコしている父の表情が机に向かい筆を手に取った瞬間、顔つきや雰囲気が真剣なものに変わる。背筋を正し美しい姿勢で紙に一文字一文字丁寧に書き力を宿していく。
最後の文字を書き終えたら紙に力が宿り札となった
…凄く良い札だ…字も丁寧で均等。十分力を発揮するだろう。
「こんな感じで書くんだよ!燿蓮は文字は覚えてるから大丈夫だけど、字を書く時にキチンと力を込めて丁寧に書いてね!」
「分かった!」
俺の番になった。
久しく札なんて書いていなかったから不安だ…
筆を取り紙に向かって真剣になり集中する…筆から墨へ霊力を流し文字を作っていく。
体が3歳児なので字は少々不格好だが一応完成した。札を父に渡し見てもらう。
「どれどれ……!えっ!すごっ!一発で出来ちゃうなんて!?しかも僕が書いた札より霊力が宿っている…!これ…札専門の職人でも作れるか分からないくらい出来が良い!もしかして…」
まずい!中身がいい年したオッサンだとバレたか!?いや字は3歳児相当だ…多分!!
内心ヒヤヒヤしながら父を見る。
「もしかして…もしかしなくても燿蓮は天才だったね!!いや本当に才能の塊だよ!」
父さん!親バカが過ぎるよ!!
「あ、有難う!父さんの教え方が上手かっただけだよ!」
「よ、燿蓮〜〜!かっわいい〜〜!」
おっ…ぐ、苦じい…よ…!強く抱きしめ過ぎだ!
これ骨平気か?…うぐっ…頬擦りをそんな力でグリグリしないで…!もう…誰か〜〜!
暫くしてようやく解放された俺は、げっそりしてしまった…疲労困憊だ…。
「燿蓮!これから毎日最低でも一枚は札を作る事を日課にしてね!もう十分な出来だけど練習は大切だからね!」
継続するということは凄く大切だ。
「分かったよ!父さん!これから毎日札を作るね!頑張る!」
これで更に霊力を消費できるようになった。
力を消費しまくって総量をあげるぞ〜!おー!!
意気込み過ぎた俺は札を作り過ぎて父さんに頑張り過ぎたよと言われる日はそう遠く無い未来だ。
また更新いたします!
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