第三話 ……天才児!?
意気込んだは良いもののどうやって訓練するか…
この体では、まだ護符を生成したり印を切って術を発動させられない…
凄く申し訳ない上に効率が悪いが……やらないよりマシだろう。
我の体から排出するものに霊力を混ぜて放出するのだ。涙や……その…糞尿に…。
この方法はちょっと汚いな…渾名がウンコマンとか付いたら嫌だし…しかも出す時とかタイミング分からないし…
こう…人形とか動かせたらな…
試しに人形に向かって霊力を伸ばしてみたら…普通にできた。だがクマのぬいぐるみは中々我の思い通りに動かない。赤子の身で初めて霊力を外に出して操っているのだ…これ中々良いな…凄く消費していく。ぬいぐるみを動かすのは思いの外楽しくて、つい熱中してしまったのだ…周りのことなんか全く見ていなかった。
「「えっ!?」」
「!!」
そう両親が部屋の中に入ってきていたのだ。
声を上げるまで全く気付かなかった…平和ボケしたか…しくじった。
彼らからしたら生後間もない赤子がいきなり霊力を操り人形で遊んでいるのだ…気味が悪いだろう。
嫌われてしまうかな…捨てられたりされるかな…。
この短い時間でも我は2人が大好きになっていたのだ。だからこの2人に嫌がられると思うと、胸が痛い…凄く悲しい…。
異端の子供として最悪殺されるかもしれない…不安が胸の中に積もっていく。
「燿蓮…お前…」
「燿蓮…」
父と母が喋り出す。きっと世の中の罪人達は判決が下されるまでこんな気持ちなのだろう。
短いはずの言葉の間が凄く長く感じる…父がまた口を動かした…その言葉は…
「天才なんだな!!」
…え?天才?ん?
「この子は天才だよ!寿美!だって0歳の時から霊力を使って遊んでいるんだよ!凄くない!!僕たちの燿蓮は!」
父は我を抱き上げて満面の笑みを向けた。
「そうですね!この子は天才です!クマのぬいぐるみが気に入ったのね!もっとぬいぐるみを買ってあげますからね!沢山の遊んで下さい!」
母も心の底から喜んでくれている。
本当に…この人達は…優しすぎるよ…。2人の目には我への嫌悪感なんか一切浮かんでいない。
寧ろ我が子の成長を喜んでいる。
嫌がらないでくれて有難う…受け入れてくれて有難う…。今この気持ちを伝えられないのがもどかしい。だから我も笑顔で2人を見る…いつまでも、いつまでも一緒にいたい。
改めてこの両親をどんな悪意からも、怪からも守り抜くと心に誓うのであった。
因みにこの日から我は霊力を使って人形遊びを活発的に始めた…やはり、少しでも霊力を使い切る速度をあげたいので…その…出来る時には糞尿に霊力を混ぜて排出する事にした。母さんごめん…本当にごめん…!早く自分でトイレに行けるようにするね!
そして我が家にどんどん可愛らしいぬいぐるみが増えるのであった。
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