第十四話 対峙
霧が晴れた先には男がいた。
葡萄酒色の直衣に黒色の指貫と袿には、金色の蛇が所々刺繍されていて美しい。
髪は腰までまっすぐ美しく伸びていて
濡れ羽色から今紫色にグラデーション掛かっている。光沢が有り、まるで上等な絹のようだ。
少し垂れ目がちで切れ長な瞳は金色に輝いている。高く通った鼻筋に薄く艶のある唇。
夜の色香を香らせるような色男だ…
確か厄除けの意味がある紅色のアイラインと
口の両端にある勾玉が細く長く伸ばされた入れ墨は更に男の魅力を底上げしている。
まるで平安貴族のような装いだ。
手足はスラリと長く均等が取れていて、背は180㎝
くらいか…?
街中で見かけたら10人中10人振り向きそうな、暴力的な美しさ…色っぽさ。
神々しさと禍々しさを感じられる。
「のう…小童。その身俺に捧げてはくれないか…?
俺は訳あって力の大半を失っている…哀れだろう…?」
美しく華やかに笑うが目は冷たい。
「小童…俺はお主の力が欲しい…心が焦がれる程に…。だからその身を供物として捧げろ…」
お願いするような…縋るような声音で此奴は喋っているが有無を言わせぬ圧を発している。
「俺は弱者を…童を甚振る趣味は無い…大人しく
言うことを聞けば楽に逝かせてやる。」
…大袈裟な野郎だな…表情や声がうざい。
「さぁ…此方にくると良い…」
きっと霊力が多い人間以外なら奴の"お願い"をすんなり聞いてしまうだろう。
此奴の声は一種の催眠…言霊だ。
声で、仕草で操ろうとしている。
だが言霊は霊力が多い者にはあまり効かない。
…まぁ奴の美貌だけでコロッといく人間もいるだろうが…
俺は野郎には全然興奮しないので、ただただキモい
キショい、ウザい、ナルシストの4連撃で不愉快。
此方に向けて両手を広げて待ってるのも嫌だな…
誰がその腕の中に飛び込みかっての…
…だから普通に
「えっ嫌だが??…断る!ネチッこそうな上にナルシストの可能性のある男は尚更無理!」
嫌悪感を隠しきれず、そのまま伝えた。
「……」
相手が俯き黙ってしまった。
髪が下に流れ落ちたのを見るだけで倒れる人もいそう…。コイツマジで殺人級の美貌だわ…
だけど悪いが死ぬつもりもないし、生贄になる事もないからね…
「…とは…くっくっく…」
ん?
「この俺が人間程度に慈悲を見せてあげた上にナルシスト呼ばわり…更にはネチッこいとは……随分と命知らずみたいだな…ッ!」
奴が顔を勢いよく上げて此方を凄みを含んだ笑みで見る。瞳孔なんか縦に割れていて開ききっている。
…ヤバっ激おこじゃん…
咄嗟に札を取り出して戦う準備をする。
「くっくっく…そうかそうか…残念だ…。
では…死ぬが良い…ッ!」
5歳にして初めて戦うのであった。
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