2話 家族/大切な人
「ただいまぁ。」
「あら、おかえり二人とも。」
ツガルの家に戻ると、お母様が戻っていた。
「お邪魔します、お義母さん。」
「ただいまでいいのよ〜」
優しく微笑む。ツガルは特に何も言わず、自身の荷物を整頓する。寝床の方に目を向けると、一人の男性が転がっている。
「あんれ、親父帰ってきてたの?」
「お〜ぉう、たーでいまぁ我が息子〜」
「戻って早々お酒飲んでね〜。」
「ヒック.....トコちゃんもいらっしゃい〜、一緒に飲むかぁ?」
「いえ、ツガルが飲むまでは我慢するって決めてるので。」
「お〜、そっかぁ〜」
顔を真っ赤にして、瓢箪のお酒をグビグビ飲むお義父さん。しばらく前までは、狩りのために遠方まで出向いていたのだ。
「そろそろコイツの嫁入りすんの〜?」
「黙れ酔っ払い。つか寝酒やめろ病気んなんぞ。」
「ええそれは勿論、いつでも。」
お義父さんは酒を飲みながら、お義母さんにもたれかかるようにバックハグをする。肩に頭を乗せて、笑みを浮かべながら伴侶に甘える。
「母さん〜」
「もう、あなたったら....ふふ。」
「おい、なんでデート帰りにおっさんとおばさんのイチャつき見なきゃなんねんだ。」
「ボクらもする?」
「今はいい。」
そう言いつつも彼はボクの隣に座り、ぽすんと頭を肩に添えた。
★★★★★
小高く盛られた土と、それを囲うように置かれたそれなりの大きさの石。その前に屈み、両手を合わせて黙祷を捧げる。
「........」
「........」
しばらくした後、トコロが「よし」と言って合掌を解いた。
「そういや、この前積んだ花.....死者に手向ける花でもあるらしい。」
「おや、そうなんだ。」
「花言葉もそっち方面の意味合いだし、魔除けの意味もあるって。今度供えるか。」
「うん。」
オレらは立ち上がり、体についた土や砂を軽く払う。トコロは地に置いた刀を腰に携えて、反対側でオレと腕を組む。
「毎回思うけど、腕組みにくくないの?」
「すっごい辛い。」
「やめりゃあいいのに。」
背丈がそれなりに違うので、腕が若干組みづらい。ま、腕を組んでいると言うより、オレの脇にトコロが腕を通しているような状態なのだが。
「おや、いいけど寂しくないのかい?」
「すんごい寂しい。」
「言わなきゃいいのに。」
しかし、スキンシップが減るとオレは辛い。かといって、オレからトコロの腕に組みにいくと、なんか親にくっつく子どもみたいだからな。
(めっちゃ飯食って背ぇ伸ばそう。)
とか思いつつ、またこの前の林に行こうかとか、まずは昼飯取ろうかとか、ぎこちない腕組みのまま歩いて会話をする。
せっかくそんな心地好い時間でいたというのに、先日のアイツがまた現れた。
「こんにちはゴサクラ様、カザハリ様。」
「別ルートで帰ろうぜ。」
「うん。」
なので、綺麗に曲がって進行方向を変える。
が、この野郎はもう一度声をかけてきた。先日とは違い、今回は.....
「カザハリ様。お話が......」
「はぁ?」
オレ相手にだ。
表情は変わらず無気力でありつつも、どこか雰囲気が違うような気もする。
(なんだってんだよ...........)