戦闘民族メイダ
大地が鳴いた。
それは地震ではない。
いつものことだ。
闘技場では、毎日のようにメイダが試合を行っている。
剣と槍、盾と拳がぶつかり合い、
その衝撃が、地面を軋ませる。
無駄な動きはない。
構え、間合い、呼吸、視線――
すべてが選び取られた所作であり、
迷いは刃と同じく、振るわれる前に捨てられる。
それは神聖な行いであり、
勝者は称えられ、
敗者もまた、理に殉じた者として辱められない。
血が流れても、騒ぎにはならない。
戦は「汚れ」を祓う儀式であり、
正しく行われる限り、それは清らかなものだった。
メイダの国〈リスフェルド〉は、
白い石畳と整然と並ぶ塔の街である。
夜明け前には祈りの声が響き、
日中は箒が石畳を撫で、
夕刻には武具が丁寧に磨かれる。
誰もが祈りと清掃を日課とし、
戦さえも、秩序と修行の一部として受け入れていた。
メイダが身にまとう民族衣装は、
実用と清浄を突き詰めた戦装束だった。
動きを妨げず、
血や埃を残さず、
祈りと戦のどちらにも耐える。
外の国の者たちは、
その装いを「メイド服」と呼んだ。
常に身を低く保ち、
己を律し、
場を整える。
その姿に、
多くの国が規律と献身の美を見た。
やがて他国でも、
儀礼用の制服として、
あるいは近衛や従士の象徴として、
似た意匠が用いられるようになる。
だが、それは形に過ぎなかった。
祈りと清掃を日常とし、
戦を修行と捉え、
理に従うことを誇りとする――
その在り方まで受け継ぐ者はいなかった。
外の国々は、衣装を真似た。
メイダは、生き方を貫いていた。
彼らにとって装いとは、
見せるためのものではない。
役割を果たすための、最低限の形である。
彼らの信条はただひとつ――
理に、埃を積もらせるな。
リスフェルド国歌
誇りを抱きて歩まむ
理と礼を携え
己を律し 忠誠の道に光を照らし
清と誠 永く続かんことを




