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異世界スイートテイル 〜狐の嫁入りは誰にも見られてはいけない掟なのです(肉球マーク)。  作者: 2番目のインク
第一部:狐嫁と光の祭り・災の神編

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光の祭り⑤~ヴァト陛下と退役宮廷魔道士ヴィクター

「ヴァト陛下、こちらにおられましたか。」

ヴィクターが泥に片膝をつき、頭を垂れた。


「ヴィクターさん、何を!」

「パパタローさん。」カタリーナが真剣な表情でパパタローを制した。


ギョロ目が動く。「…誰かと思えば…。今日は貴公を呼んだ覚えはないぞ。しかし、久しぶりだな、ヴィクターよ。」

ギョロ目がわずかに人間らしく見えた。


「陛下、本日は何用で、このような無粋な土地にお越しになられたのですか。」


「陛下だって!?」パパタローは驚愕の声を出し、慌てて口を手で覆った。


ヴァト陛下は穏やかな笑みを浮かべ、泥と闇に覆われた景色を見渡した。「この地に隠された真実を確かめに来たのだ。昔の友がここに何か重要なものを残したと聞いてな。君がここにいるのも何かの縁だろう。」


「さようでございますか。陛下との嬉しいご縁でございますな。」

ヴィクターは微笑みながら、謙虚に頭を下げた。


「陛下、私も偶然この地に来た次第です。もし私がお手伝いできることがあれば、どうぞお申し付けください。」


その微笑みの裏には深い悲しみと複雑な感情が渦巻いていた。かつて尊敬した王が、今やギョロ目の怪物と化し、それでもなお人間らしさを感じさせることが、ヴィクターにとっては切ない光景だった。かつて仕えていた陛下を倒さねばならないという苦悩にさいなまれつつも、その運命を受け入れるしかないと感じていた。


「陛下、私はこの使命を果たすためにここに来たのです。お許しを…。」

ヴィクターの声は震えていたが、覚悟を決めていた。


「そうか、使命か。相変わらず真面目だな。」


王の姿に映る人間味を忘れることなく、彼が怪物となった理由を知ることは、決断を下す上でのけじめだった。


「何を泣いておるのだ…ぉ」

陛下の首が右45度傾き、左口角があがったかと思うと、ギョロ目に戻ってしまった。


「陛下…行ってしまわれたか。」

ヴィクターの表情が鋭くなった。


「いいですかぉ、ヴィクターよ、緑髪のエルフは貴重なんですよぉ。一滴の血も流してはなりませんぉ。いいですよねぉ。」

その言葉と共に、彼は神輿の柄を強く握りしめ、その指先からは不気味な青白い光がにじみ出た。その光は、周囲の者たちを不安にさせるほどの妖しい輝きだった。

「何故ならばぉ」ゴクリ。

神輿の男は深々と喉を鳴らし、その音はまるで地獄から響いてきたような不気味な響きを持っていた。

「いいですかぉ、私が絞って飲み干してしまうからでぇ〜すぉ。いいですよねぉ。スクイーズ!」

彼は言葉と共に、神輿の柄を握りしめ、その指先からは不気味な青白い光が滴り落ちるように流れた。その光はまるで生命そのものを吸い取るような不気味な輝きだった。

「スクイーズはいいですぉ。握って絞ってストレス発散ですぉ~。」

その言葉と共に、彼は神輿の柄を強く握りしめ、その手の力はまるで鉄のように強靭だった。周囲の者たちは、その姿を見て戦慄した。

「いいですかぉ、私の災いが1000倍に増えるのでぇ〜すぉ。何歳まで生きるのでしょうかぉ。いいですよねぉ。」

彼の言葉に、周囲の者たちは恐怖に打ち震えた。その声はまるで死神の囁きのように聞こえ、その言葉が放つ妖気はまるで墓場の寒風のようだった。

「いいですかぉ、緑髪ですぉ。いいですよねぉ。」

その言葉と共に、彼は周囲の者たちをにらみつけ、その目からは狂気の光がにじみ出ていた。彼の姿はまるで地獄の使者のようであり、周囲の者たちは恐れおののいた。


「陛下、これが最後のご奉公でございます。」


「?」


「陛下をこれ以上、汚すなっ!!」

ディヴァイン・ジャッジメント!!

ヴィクターのタクトから聖なる光が放射し、まばゆいほどの白い光が放たれまっすぐに伸び、周囲の暗闇を一瞬にして照らし、光は爆発的に広がり、陛下に神の怒りをぶつけた。


「あ”~~~~目がぁ~」


混沌の幕!

漆黒の霧が突如として湧き上がり、その中から死神が現れた。髑髏の面は無表情でありながらも深い恐怖を誘い、燃え盛る赤い炎を宿した目は凍りつくように鋭く光った。

死神は鋭利な長鎌を振り下ろし、背後に輝く光「ディヴァイン・ジャッジメント」を一刀両断した。その行為は暗黒のエネルギーを巻き起こし、それを吸収した。


静寂…。


「ごきげんよう。元宮廷七魔道士の一人、ヴィクター君。

なかなか、美味な技だ。

これからは、私奴わたしめがお相手いたそう。」


周囲の空気が歪み、死神の姿が現れると共に冷たく凍りつくような影が広がった。光は消え去り、代わりに死の影が足元から広がり始め、その姿はまるで冥界そのものから飛び出したような存在感を示した。


「お、お前…」


ヴィクターは、はっとし、周囲を見まわした。

倒れている黒装束から見られる顔は知った顔ばかりだ。


「神官長ムフトか!?」


「ムフト…?ムフト。ムフトかぁ…。

懐かしい。その名で呼ばれた日もあったよ。

私にとって、煩わしい名前だ。」


「ムフト!貴様、何をしておるのだ!!創造神に落ちたのか!?」


ヴィクターは敵の影が現れると同時に、死神のような姿が空気を凍りつかせるような影を広げるのを感じた。彼の顔色は変わらず、ただただ冷静に相手を見据えていた。


「何をするか。問うたか。

闇黒は良い。闇黒には正義・秩序がある。お前たちの薄っぺらな正義にはない。

あと耳障りな名で呼ばれるのは心外なのでな。訂正しておこう。

私の名はアビス。闇黒のアビスだ。

創造神で、この世の理を再構築するのだ!」


「アビスか…覚えておこう。それなれば、私も私の正義で応じよう。この世の理をたやすく葬りされると思うな。」


彼の手元には煌めく魔法の力が宿り、空間が引き裂かれるようなエネルギーが発散し始めた。周囲の空気が熱を帯び、光と影が激しく交錯する。


「アビス!」

ヴィクターの声が響き渡る中、彼は力強く呪文を唱え始めた。


アビスはその姿を冥界からの存在として示し、その眼光はまるで深淵からの視線のように静かにヴィクターを見つめる。


「ヴィクター君、この闇でお前の魂をえぐり出す。」


それぞれの力が衝突する瞬間、周囲は光と影の激しい踊りに包まれた。彼らの魔法の戦いは、空間を震わせながら進行していく。


ヴィクターとアビスの魔法戦は、まるで天地がひしめくような激しいエネルギーの波に包まれていた。彼らの呪文が空間を歪め、光と闇が交錯する様は、まるで神話の中から抜け出したかのようだった。


ヴィクターの手元には輝く魔力が集まり、巨大な氷柱が地面から突如として生じた。氷の刃はアビスの影に向かって飛び、その冷気が周囲の空気を凍りつかせた。


一方、アビスは冥界の暗黒から引き出し影を操り、その触れるもの全てを凍てつかせる力を示した。影の手はヴィクターの周囲を縛り、彼の動きを制限しようとしたが、ヴィクターは静かに呪文を唱え、自らの魔力でその束縛を断ち切った。


「まだまだ、これで終わるわけにはいかない。」ヴィクターの声は冷静でありながらも決然とした決意を感じさせた。


アビスの影は更に強くなり、その影響は周囲の空気を消し去り、寒さだけを残した。ヴィクターは再び魔法の力を集め、エネルギーの螺旋を巻き起こす。彼の魔法陣は光と音の旋律を奏で、アビスの影を押し戻し、その存在を圧倒しようとした。


アビスの冷たい笑みが応える。


アビスは冷徹な眼差しでヴィクターを睨みつけ、魔力を集めて一気に攻撃を仕掛けた。彼の手から放たれた闇のエネルギーは空間を貫き、ヴィクターに向かって疾風の如く襲いかかった。


「ヴィクター!」アビスの声が響き渡る中、その攻撃は瞬く間にヴィクターに迫った。ヴィクターは魔法陣を展開し、反撃に移ろうとしたが、アビスの力は彼の予想を超えていた。


闇のエネルギーがヴィクターの防御を貫き、彼の体を直撃した瞬間、強烈な衝撃が全身に走った。ヴィクターは苦痛に顔を歪め、一時的に動きを止める。その間に、アビスは冷笑を浮かべ、「私だけが勝っても意味はないのでな。また、会おう!」と影と共に姿を消した。


「今度は逃げるか、アビス!」ヴィクターの声が追いかけるが、闇の神官長は既にその場から消え去っていた。彼の存在は、ただ静寂と凍りついた空気だけが残された。


アビス(Abyss):深淵、奈落

ヴィクターのタクトは、上質な黒檀こくたん(エボニー)で作られており、自然の木目が美しく浮かび上がる。そのシンプルなデザインの中には強力な魔力が宿っており、持ち主に様々な魔法を行使させる力を与える。余計な装飾は一切なく、そのシンプルさが逆にその力強さを際立たせている。

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