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異世界スイートテイル 〜狐の嫁入りは誰にも見られてはいけない掟なのです(肉球マーク)。  作者: 2番目のインク
第一部:狐嫁と光の祭り・災の神編

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初対面の再会@海山楽市③ ――緑髪の少女は懐かしさをまとう

パパタローと少女の視線が重なった瞬間、

ひとすじの熱が胸の奥に奔った。

けれど、それが何なのか、パパタローには分からなかった。


「なんだろ……この感覚……」


少女は微笑みを浮かべ、ゆっくりと頭を下げる。


「こちらではルミエルと呼ばれておる。よろしくな、パパタロー殿」


その笑顔が胸をかすめる。

どこかで見たような──そんな既視感だけが残る。

しかし記憶は曖昧で、形になる前に霧散した。


カテリーナが身を乗り出す。


「なになに? 二人は知り合いなの?」


カリンも不思議そうに二人を交互に見る。


「う、ううん。初めて会った、はず……だよな?」

パパタローは首をかしげる。


「ふふ……そうじゃな。今日が、初めての“再会”じゃ」


その言葉は、彼女が“そう言うように教えられた”口ぶりだった。

自身の感情ではなく、設定された台詞のように。

だが、その違和感に気づける者はまだいなかった。


「再会? やっぱり知り合いなんじゃないの?」

カリンが首をひねる。


「むしろ、運命の相手だったのかもねぇ~」

カテリーナがニヤリ。


パパタローは真っ赤になった。


「ちょ、ちょっと待ってよ!? 何その空気!?」


ルミエルはふわりと前へ出てスカートを揺らす。


「パパタロー殿の目……よい光を宿しておる。

 ……うむ、間違いない、らしい」


“らしい”という言葉は、彼女が“そう教えられた確信”であり、

思い出した形跡は微塵もなかった。


その瞳の奥だけが、説明のつかない微かな揺らぎを見せる。


「な、なにが……?」


「なんでもないぞ」

ルミエルはいたずらっぽくウィンクする。

その仕草もまた、“記憶を持つ者の真似”に過ぎなかった。


そしてパパタローだけが気づかぬうちに、

彼の右目の“狐の印”が淡く光っていた。



「パパタロー、ロリコンだっけ?」と、またもやからかう声が続いた。


「ちゃうわ!」パパタローは顔を真っ赤にして叫ぶ。


そんなやりとりに、場の緊張はふっと和らいだ。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 


「旅人のうた」《メーア・ウント・ベルゲン王国 民謡》


Lost on the ancient roads,

O traveler of the windswept wilderness,

In the shadow of ruined castle remains,

You cradle a weary heart, wandering.

Buried in ancient tales,

Our journey knows no end,

Where do their paths lead?

Footprints etched in sand,

Prove their solitude,

The hearts of travelers do not yield.

Sometimes storms block their way,

Sometimes darkness envelops them,

Yet, travelers do not lose hope,

Guided by the light of the stars.

Aiming for the distant horizon,

Their footsteps mark the wilderness,

And their songs,

Echo eternally on the wind.

The journey of travelers is endless,

Their steps continue forever.

Oh, those who wander onto ancient roads,

Aim for the endless end of the journey,

That is the fate of travelers.


<翻訳>

古の街道に迷い込みし、

風に揺れる荒野の旅人よ、

荒れ果てた城跡の影に、

さまよい疲れた心を抱く。

古の物語には彼らの姿が埋もれている。

われらが旅は果てしない、

彼らの行く先はどこなのか。

砂に描かれた足跡が彼らの孤独を証明している。

旅人たちの心は屈せぬ。

時には嵐が彼らの前に立ちふさがり、

時には闇が彼らを包み込む。

旅人たちは希望を失わず、

星の光を頼りに進む。

遥かなる地平線を目指し、

彼らの足跡は荒野に刻まれる。

そして彼らの歌声は、

風に乗って永遠に響き渡る。

旅人たちの旅は果てしなく、

その歩みは永遠に続く。

古の街道に迷い込んだ者よ、

果てしない旅の果てを目指す 

それが旅人たちの運命


「旅人の詩」は、メーア・ウント・ベルゲン王国の民謡として親しまれています。

荒野を彷徨う旅人の孤独や、希望を失わずに進む姿が、力強く描かれています。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

【蛇足】

「ヴィクターさん、ただいま戻りました。ヴィクターさん?」

「留守かな。まぁ、屋敷は広いし、どこかにいるかもね。」

パパタロー達は町で調達した食材を、キッチンテーブルの上に置き周りを見渡したとき、

「おかえりにゃ。目新しい物あったかにゃ?」

「ムニン。ただいま。目新しい物っていってもな、見るもの全て目新しいですわ。」

「しかし、すごいですね。ミストハイツ農場の品物が結構ありましたよ。」


「保冷庫に入れておきますね」

「ありがとう。」


キッチンの横には保管庫があり、入るとひんやりとしている。

コンセントがないので、動力源を聞いたところ、動力源には霊的なエネルギーや生命力を鉱石に凝縮しているというのだ。

太陽光で貯めた電気をバッテリーに蓄電するというイメージだろうか。

と、勝手にイメージした。

この世界の動力源はこの魔鉱石(蓄電?)によって動いている。

蓄電(?)レベルによって魔鉱石の色が違うそうだ。



「今日は何をお作りになるのですか。」

「あ~、酢豚にしようかと。えっと、異世界こっちに似たような食材があったので。」

「酢豚がどんなものかわかりませんが、楽しみです。

お邪魔でなけば、手伝わさせていただいてよろしいですか。」

「もちろんです。」

カテリーナさんが、幸せな表情を見せた。


そのやり取りを見ていたカリンが咳払いを一つ。

カテリーナさんが、顔を赤らめたのが見えた。


パパタローめ。胃袋掴んだな…。

パパタローの向こうでムニンが伸びをしているのがぼやけてみえた。


まだ時間があるしその前に…

「魔力の使い方の訓練するか。」


「じゃぁ、私は剣技の鍛錬しよう。基礎鍛錬は怠らないようにしないと。

カテリーナさん、クラウスさんは。いつものとこですか?」と、カリンが剣を振る仕草をしてカテリーナに聞いた。


「きっと、そうですね。」


と、ほのぼのとした会話に

声を荒立てて一人の男が入ってきた。

「まだいるのか!

 さっさと、出ていけ!

 災いを持ち込むな!」


「ちょっと、テリアス!

その事は、旦那様がお決めになったことですし、決着したことでしょう。」

カテリーナは冷ややかに言った。

「旦那様のお考えに背くのですか!!!」

最後は強く口調になった


テリアスは黙って、その場から去った。

テリアスは、風格ある40歳の執事である。伝統的な執事の服装を身に纏い、その格調高い衣装は彼の責任感と職務に対する真摯な姿勢を象徴し、決して妥協を許さず、常に安全を最優先に考える彼の行動や言動は、職務に誇りを持ち、義務を果たしている。

顔には、経験と厳しさが刻まれており、いつも鋭い視線で周囲を見渡している。

ヴィクターへの忠誠心は絶対的であり、彼の行動や考え方の根底に主人の利益と安全を常に第一に考え、命令には絶対的な従順を示している。

しかし、

よそ者に対しては、警戒心が備わり、その存在や動機を慎重に検証している。

得体の知れない私達を受け入れよと言われても、本心では「はいそうですか」と済む話ではないのだろうとパパタローは理解はしていた。

テリアスはパパタローが狐の呪いにかかっているということが怖くて仕方がないのだという。

「仕方がないですよ。テリアスさんに安心していただけるように努力しますよ」とパパタローが言った。


パパタロー達が来てから5年がたつ。その間、ゴブリンの被害は皆無だ。

ここまで恐れているのには何か理由があるのだろうか。


・後日談

ヴィクター邸にて

パパタローはカラーコンタクトを取るのに必死だった。

取り方わからーーん!!

目が充血していた。


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