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異世界スイートテイル 〜狐の嫁入りは誰にも見られてはいけない掟なのです(肉球マーク)。  作者: 2番目のインク
第一部:狐嫁と光の祭り・災の神編

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17/84

霧の高地の食卓で、ちいさな幸せを噛みしめる

おごそかな雰囲気な廊下が続く。この建物にはクラッシック音楽が合いそうだ。

二人は絨毯じゅうたんを踏む度に返ってくる、厚みのある反動に慣れないで歩いていた。

ここまでに来るまでにいくつもの似たような重厚な扉があり、日本の狭小住宅で育ってきた者からすると、うらやましいを通り過ぎて、扱いにくそうで、庶民には優雅な生活が想像ができないでいた。

カテリーナを始めとするメイドさんが複数人いるお陰で、この建物は掃除が行き届いており、ホコリやシミといったものがどこにもない。

この世界のメイドは名称独占の資格を持ち、それなりの待遇を受けている。

これぞプロフェッショナルな仕事だ。


広間に到着したが、スタート地点に戻れと言われたら、戻れる気がしなかった。

床には濃緋色こきあけいろ絨毯じゅうたんが敷かれており、

奥の壁には中央に暖炉、両隣には年代物と推察できる大きな肖像画が配置されていた。(中略)そこから始まるように、両隣から肖像画が何枚も続いていた。ご先祖様だろうか。特に、ヴィクターの斜め後ろに飾られた、金髪碧眼の少年と少女の肖像画は、パパタローとカリンの面影を強く感じさせる。


ヴィクターは、食事中に幾度となく、パパタローたちと、肖像画の二人とを静かに見比べていた。その瞳の奥には、深い悲しみと、かすかな希望の光が交互に揺らめいていた。


部屋の中央にはカタカナの”コ”の閉じられていない方を長~くした形の

テーブルが配置されている。

一体、何人用なのかとつっこみたくなる気持ちも忘れて、ありのままを受け入れていた。


カリンはパパタローに小声で聞いてきた。

「テーブルマナーは大丈夫なの?」

パパタローは親指を立てて一言いった。

「見た目は子供だから大丈夫。」


なに?その理屈…。

「ずぅずぅしい脳は30なのに…。」

「へぇ30ですが何か!?」とパパタローが5歳のおっさんを醸し出した。

(正確には28ですけどねー。)


「こちらに」とカテリーナはパパタローを座席に乗せ、カリンはその隣に自分で席に座った。

椅子の座面がふわっと座りやすい。

「ムニンはカリンさんの隣にどうぞ。」

「え?僕まで良いのにゃ?」

「旦那さまから、獣人化したお祝いにということですよ。」

「ありがとうにゃ。」

ムニンは体で喜びを表した。

「よかったな」

「おめでとう~!」



「旦那様がお見えになりました。」


ヴィクターは斜向かいに座った。少し後方にカテリーナが立っている。


※配置図


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       カテリーナ   

             ヴィクター

            ■▢▢■

            ■  ■

            ■  ■

            ■  ■

 パパタロー(5歳)→  ▢  ■

 カリン  (10歳)→ ▢  ■

 ムニン  (17歳)→ ▢  ■

            ■  ■

            ■  ■

            ■  ■


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「私はミストハイツ地域の領主をしております。ヴィクター・シルバーハートと申します。」

「昨夜は我が領地内で、魔物が発生してしまい、申し訳ありませんでした。」

ヴィクターが立ち上がり、深々と頭を下げた。


「頭をお上げください。」


パパタローは席から立ち上がろうとしたが、椅子の高さからもたついた。

やっとのことで、椅子から降りると、深々と頭を下げ、自己紹介を始めた。

それを見たカリンも立ち上がり、礼をした。

「私は白洲花しらすか太郎です。このりんです。

ゴブリンに襲われているところを、助けていただき、ありがとうございます。なんとお礼を言って良いのかわかりません。」


パパタローの真剣な表情に、聞き入っていた。

普段はふざけてばかりの彼が、今回は心からの感謝を伝えるために真剣な態度で話している。

その言葉に、カリンも微笑みながら、頭を下げました。彼女もパパタローの言葉に感謝の意を表していた。


「昨夜よりお姿が変化した…成長したように感じるのですが。」

「私はさほどの変化はないのですが、カリンが大きくなりました。もともと私は30歳、彼女は16歳でしたので、見ての通りで体が子どものままなのですが…。」

「そうでしたか。不思議なことですね。」

「この出会いに何かの意味があるかもしれません。昨日の事などは後でお聞きしましょう。」


「ムニンもおめでとう。」

「これも、パパタローのお陰にゃ。パパタローから漏れ出している魔力を吸収したら、獣人に進化したにゃ。これから夢術系統の魔術を磨いていくのにゃ。」

「そうか、頼もしいな」


「あなた達と出会って、小さな変化がみられます。この出会いに何かの意味があるのでしょう。まずは食事としましょう。我ミストハイツ領内で採れた自慢の品々です。」


「頼む。」

かしこまりました。」

ヴィクターが合図をすると、カテリーナ所属のメイド隊のエレノアとマリアが料理を運んできた。

フルートの音が聞こえてきた。メイドのクララとのことだ。金髪、緑色の目、柔らかな表情をしている。ペールピンクのメイド服だ。


エレノアは茶髪で、青い目を持つ女性。スリムな体型をしており、その俊敏さは任務の際に特に際立つ。彼女の眼差しは鋭く、常に目標を見逃さないという決意が感じられる。

マリアは鮮やかな赤髪と青い目を持つ女性。健康的な体型で、活発でエネルギッシュな雰囲気を醸し出している。彼女の瞳には常に好奇心が宿り、常に新しい挑戦を求める姿勢が見られる。


勝手ながらであるが、説明の都合上、仮の名称として「ミストハイツ《霧の高地》の畜産グルメコース」とでも名付けておこう。

前菜: ミストハイツ《霧の高地》の風味豊かなハーブと蜂蜜を使った羊《らしき家畜》のチーズとハーブの盛り合わせ

主菜: 霧の高地で育てられた肉牛のステーキと羊《らしき家畜》のロースト、添えられた野菜は霧の高地野菜の焼き野菜

デザート: 霧の高地のハーブで香りづけされたハチミツケーキとブルーベリークリームのせ


料理担当のマリアが説明した。

霧の高地茶: 湿度の高い霧の高地では茶葉が育ちやすく、風味豊かで高品質なお茶が生産される

霧の高地野菜: 湿度が高いため、霧の高地特有の野菜・根菜や葉菜が栽培されます

霧の高地の果物: 霧の高地では、独特の気候条件が果物の成長に適しており、ブルーベリーやいちじくなどが栽培されています。

霧の高地のハーブ: 霧の高地の湿度と標高の高さがハーブの栽培に適しているので、ローズマリーやタイムなどのハーブが生産されます。

霧の高地の蜂蜜: 霧の多い地域では植物の生育が盛んであり、それによって蜜源が豊富になるため、高品質の蜂蜜が生産されています。


畜産は肉牛や羊などの家畜が飼育されています。霧の高地の気候や地形によっては、肉牛や羊の飼育に適した広大な草原や山岳地帯が存在し、これらの地域で畜産業が発展しました。

また、霧の高地で育てられる家畜は、自然豊かな環境で健康的に育てられることが多いため、肉の品質が高く、風味豊かな特徴があります。霧の高地の地域性や豊かな自然環境が肉製品の品質や価値を向上させる一因となっています。


乳製品も生産している。


ヴィクター・シルバーハートはメーア・ウント・ベルゲン国王から西側に位置しているミストハイツ領地を拝命し領民のために尽力している。

領地内では農業と牧畜を主要な産業としており、豊かな自然環境を活かした地域の食料供給と経済活動で地域を支えている。また、ヴィクター・ドグラナール商会を有しており、王国の経済の一翼を担っていた。

地域の発展と住民の幸福を願い、誠実な統治と持続可能な開発に尽力している。


絶滅危惧種の保護も行っている。

ミストハイツ地方では「ヒッポグリフ」は、馬の体と鷲の翼を持つ生物で、大空を駆ける姿は非常に迫力があるのだが、食肉としても有能だったため乱獲され希少となってしまった。メーア・ウント・ベルゲン王国の絶滅危惧種として大切に育てられている。体格は中型で、力強く、頑丈な体つきをしています。主に農作業や運搬などに使われてきましたが、軍事転用にも想定されていた。


神よ、この食卓に集った者たちの幸福と安全を祈ります。今日の食事が私たちに栄養を与え、心身を癒し、絆を深めるものとなりますように。感謝いたします。


パパタローとカリンは祈りの言葉を待って食事を始めた。

手を合わせ「いただきます。」と言う、二人を不思議そうに見ていた。

お国の食事の挨拶ですか?

"いただきます"は、食事を始める前に神に感謝を捧げる日本の習慣です。それは食べ物をいただくことができることへの謙虚な感謝の表現・命をいただくという感謝の気持ちです。



「命と、そして恵みへの感謝……。興味深い信仰の形ですな。」


ヴィクターは深く頷き、静かに応じた。 「では、我々も……『いただきます』」


彼の声に続き、カテリーナや他のメイドたちも、小さな声でその言葉を繰り返した。


「うまいです!」

パパタローとカリンが前菜を口にすると、霧の高地で育った羊のチーズとハーブの組み合わせが口の中に広がりました。チーズの濃厚な味わいとハーブの香りが絶妙にマッチし、食欲をそそる一皿でした。主菜の肉牛のステーキと羊のローストもまた、霧の高地の素材を堪能できる贅沢な料理でした。ステーキはジューシーで柔らかく、肉の旨みが口いっぱいに広がります。一方、羊のローストはほのかな香りと深い味わいが特徴で、まさに霧の高地の風味が凝縮されていました。デザートのハチミツケーキとブルーベリークリームは、食後の締めくくりにぴったり。ハチミツの甘さとハーブの風味が絶妙に溶け合い、口の中で贅沢な味わいを楽しませてくれました。ブルーベリークリームの爽やかな酸味が、デザートをさらに引き立てます。パパタローとカリンは、霧の高地の食材を使ったこの素晴らしいコース料理を心から楽しんでいました。


(この時間が、ずっと続けばいいのに。

……昼飯の心配をしなくていい世界って、最高だな)


「お酒が飲みたい…。しゅわしゅわ~。」

「今は子供でしょ。」

「自重します。」

「おさかにゃ~。」

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