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第93話 晴れ渡る空 その1


 クロのネガティブなつぶやきに待ったをかけた声の主。それはアロだった。


ダ「どうしたのー。発言を許可するよー。」


ア「それでは。

 私が言及したいのはクロさんの嵌めている首輪の件なんですね。

 話によるとそれは、致死量の火薬を搭載し、外そうとすると爆発、クロさんが亡くなれば自然に爆発をやめる、という高性能なもの。

 しかし、私は話を伺って少し眉唾に感じました。それだけの性能をこの小さな首輪に詰め込めるのは果たして可能なのかとね。

 十分な火薬、生命探知センサー、対衝センサーなどを詰め込まなければならず、それでいて多少の戦闘の衝撃で誤爆するようなものではいけません。」


コ「そ、そうアロさんに言われてみると少し不自然な気もしてきます。はい。」


 アロは腕組みをする。


ア「私のいた世界は、機械の技術ではこの世界より進んでいるものだと思っています。その技術を持ってしてもこのような代物を完璧に作り上げるには骨がかかると言えるでしょう。」


ク「首輪が偽物だった…?」


 その場にへたり込むクロ。


ア「ああっ、ぬか喜びさせることになっては申し訳が立ちません。あくまで可能性の話です。

 研究所が科学に秀でていることは当然考えられることですから『本物』の可能性は十分にあります。どうでしょう、一度私たちと来て頂いて首輪の調査を行って真贋を見極めようじゃありませんか。」


 リオンがめんどくさそうな顔で言う。


リ「アロ。なんで早く言わなかったんだ。話している間、クロのやつ辛そうだったじゃねぇか。」


ア「いや、言おうとしたんですが話の流れから入りづらくって…。」


 思わぬ話に思い出したように、はっ、とするクロ。


ク「3日。期限は今日を入れてあと3日なの。それ以上は充電がいつ切れて爆発を起こすか保証できない。

 …私はもとより死ぬつもりだった。この3日をあなたたちに託すわ!

 お願い、私に光を見せて!」


ミ「ありゃりゃ、重責を担ってしまったっスねぇ。これは突貫工事になるかもしれないっス。アロさん、つつがなく調査の方できそうっスかね?」


ア「調査の結果、必要になるものなどあるかもしれません、手早くかかりましょう。みなさん、荷物をまとめて撤収です!

 ヌマルルさんは洞窟入り口キャンプの指揮を執って後から帰ってください。クロの身柄は一時はなまるパーティが貰い受けます。」


マ「ヌマルルさん、クロさんのこと気になりますよね?はなまるパーティの宿の所在地わかりますか。」


ヌ「うーん、わからにゃいにゃ。いざというときにクロの傍にいてやれないのはもどかしい限りにゃ。」


マ「それなら、ミルーのギルドに定期的に伝令を送ります。ヌマルルさんは事が済んだらギルドで待機していてください。後ほど合流しましょう。」


ヌ「了解にゃ。助かるにゃ。」


ク「みんな、私のためにありがとう…。ありがとう。」


メ「泣いてる場合じゃないわよ。一刻を争うんだから。

 それと洞窟の入り口でシトロ…あなたが手ひどく傷つけた人に謝っておくのね。彼、優しいから厳しく怒ったりはしないでしょうけど、逆に言うとあなたはそんな人を自分よがりの理由で傷つけたのよ。自覚しなさい。」


 わかった、とクロは言う。


 そしてヌマルルとはなまるパーティは撤収を始めた。

 帰り際クロはシトロに頭を下げていた。長い、長い陳謝であった。

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