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第90話 クロ決戦 その3

 

 繊細なライディング・バーサーカースキル(RBスキル)はミカとリオンの修練の賜物だった。二人の息をぴったり合わせる必要のある御しがたい合体技を、土壇場でここまで使いこなせたのは日々の研鑽に他ならなかった。


 メメの加入時、七支刀の存在は強力な武器としてはなまるパーティの心を躍らせた。


 レベルの1/10のダメージを与える。


 そんな普通の者には悪用しようのない微かな効果がミカに対しては7ケタを誇る、法外な威力を持つ武器と化したのである。


 ミカが使う必要はあるという制約はあるけれど、はなまるパーティはどんなタフな魔物に対しても通じる攻撃手段を得たのだった。


 ただ実物を手に入れて尚、その威力を使いこなすには制約があった。

 ミカは前衛に向かない。反撃を受けずに敵に七支刀を当てることすら困難であったためである。


 RBスキルはミカの機動力を補う苦肉の策であった。ミカの構えた刀ごと振り回す戦法はリオンに重いバフの負担をかけながらも一定の成果を得た。


 そして今、その七支刀と努力に裏打ちされたスキルが花開き、ヌマルルとはなまるパーティ全体の命運を握っている。



ク「まだまだぁぁああ!」


 片手を失ったクロはまだ戦えると嘯く。七支刀は本身の周りにもギザギザに歯が施されており、万全の状態でも捌くのが難しい武器だった。


 クロは天才的な戦闘センスと動体視力でしばらくリオンの攻めを躱していた。しかし手練れ同士が剣を交わせば躱しきれない攻撃というものが混ざる。思わず反射で、剣を捌くべくクロは手を伸ばす。


 七支刀の歯がクロに牙を剥く。


ク「―――!」


 クロは声にならない声を上げ、左腕も沈黙に落とされた。


 リオンは次の刃でクロの片足も叩き切る。クロが崩れ落ちるのを見計らったように、リオンもその場に頭から倒れ込んだ。


 すぐさまマイアとコルックからの治療を終え回復した、ヌマルルと他のはなまるメンバーがクロの周りに駆け付けた。


セ「リオンもぎりぎりだったのね、気を失ってるわ。バフの疲労にはあまり効かないでしょうけど、一応ヒールをかけてあげて。」


メ「クロの方ももう満足に動けないわね。回復すると厄介だし、念のために厳重に縛っておきましょう。」


 ヌマルルが心配そうにクロに声をかける。


ヌ「クロ…クロ!どこか痛まにゃいか?体の調子はおかしくにゃいか?」


 ヌマルルの言葉を受け自嘲気味に嗤うクロ。


ク「ふふ、あなたって本当にお人よしね。

 殺されようってときにも、まともに反撃もせずにこっちのことばかり…。

 いい?本当はね?私は、、私は…私…。」


 クロの目じりからぽろぽろと水滴が落ちていく。

 嗚咽混じりにクロは呟き続けた。


ク「私はもう、いっそあなたに殺されたいって…。そう願っていたの。

 研究所から逃れられず彷徨う私は、追うことも触れることもできず、ずっと遠巻きにあなたを見ていた…。」


 張りつめた糸が切れようにクロの涙は止まらない。


ク「けれど時間は残酷なものね。決断が迫られるその時の中でも、私にはあなたを連れて行くなんてこと、到底できなかった…。」


ヌ「クロ…。」


マ「クロさん。話すつもりがあるのなら、今のあなたの置かれている状況を話してみませんか?事情によっては悪いようにはしませんから。」


 そしてクロは自らの境遇について語り出すのであった。


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