第87話 閑話休題 16 オクトー・アンサー
いつもの宿のリビング。
耳を澄ますと、何やら色々と質問が飛び交い、活発な会話が交わされているのが聞こえてくる。
楽しそうな話し声がするのにつられて、ミカもそこへやってきた。
ミ「おー、コルック君。なにやら会話が弾んでいるっスね!何を話してるんスか?
…ぎょっ!いや、ちょっと待って。その前にお話の相手らしきものは何なんスか;」
コルックはミカの方を見やると満面の笑みで答える。
コ「き、気づきましたね。これはアームを外した、頭部だけのオクトーなんですよ。ヘヘっ。
え、AIが様々な質問に答えてくれるから遊んでみては、とアロさんが用意してくれたんです。移動出来ないので暴走の心配もないですよ。はい。」
ミ゙「なんだそうだったんスか、びっくりしたっスよ。紫の座布団の上に恭しく安置されているものだから、てっきり木魚だと思ったっス。」
コ「そ、それはちょっと驚くかもしれませんね。あまり見ないし、なんか不吉ですもんね。」
ミカは左右に首を振る。
ミ゙「いや、1人で木魚に延々と話しかけてるコルック君を目撃してしまったと思い、我ながら戦慄したっスよ。
問題児だらけのはなまるパーティ最後の良心であるコルック君の精神が、とうとうお釈迦になってしまったんじゃないかと…ものが木魚だけに。」
コ「ち、ちょっと上手いこと言おうしないで下さい。僕は変な人じゃないですよ。はい。」
ミ゙「見てはいけない場面に出くわしたけど、気づいたときには声をかけた後だったっスよ。
自分でも意外だったんスけど、本当にやばいときは『ぎょっ!』なんて声が出てくるもんなんスねぇ。しみじみ。」
コ「ぼ、僕のあずかり知らない一瞬の知らない間に、そんな葛藤があったんですね…。」
ミ「ではそろそろオクト―の話を聞かせてほしいっス。」
コ「み、ミカさんの切り替えの早いところ、僕好きですよ。
じ、実はこのオクト―、何か有名な物や人を思い浮かべると、はいかいいえだけの質問で見事に当ててしまうんです。その名も『オクト―・アンサー』」
ミ「へー本当!?やってみたいやってみたい!」
コ「ゆ、有名どころの人やキャラクターだと、質問数が十回もいかないうちにあてることもしばしばあります。ささ、どうぞ。
ぼ、僕もミカさんの思い浮かべたものが何かあてるべく、オクト―と勝負してみますね。」
ミ「わーい、最初は誰にしようかなー?」
オ「ハリキッテドウゾー」
――― 20分後 ―――
ミ「すごいっス…。本当にみんな知ってるようなキャラだと、数回で質問に『こいつ絞り込みに来やがった』感が出てくるっスね。」
オ「オクト―ニオマカセー」
コ「ち、ちょっとマイナーなキャラをきちんとあててくるときも、いつ特定されたかわからない時があって驚きですよね。彼と勝負するなんてとんでもないです。はい。」
ア「これは質問の繰り返しから得られる多量のデータベースから、自動的にAIが答えを取捨選択して導き出してるんですよね。
だからみんながよくプレイするキャラは自然、精度も上がっていくんです。2人とも楽しめましたか?」
ミ「あ、アロさんお帰りっス。面白かったっスよ。オクト―の推理力、並みじゃないっスね!」
コ「ぼ、僕も楽しく過ごせました。」
ア「実は僕、おもちゃ会社に技術協力を求められているんです。こんな感じのおもちゃができればいいなと思っていて、それで今日お2人に協力してもらったのもあるんですよ。」
ミ「へー。じゃあとうとうアロさん、タッグを組む企業さんが見つかりそうなんスね!」
ア「そうなんです。機械を扱う大がかりな施設が使えるようになればオクト―の進化や戦闘補助用のマシンの作成なんかが捗るかもしれません。
僕もなにがしか、はなまるパーティのためにお役に立ちたいですからね。ははは。」
コ「あ、アロさん、奉仕精神が高くて素敵です。僕も見習うようにします!」
その後、しばらくの間オクト―・アンサーに興じたミカとコルックなのであった。




