第85話 クロ・クライシス その3
ルブレン洞窟を進むヌマルルとはなまるパーティ。
湿ったぬるい空気にメンバーは汗を滲ませている。
すると先頭で足を止めたメメが話を切り出す。
メ「強力な気配はまだこの辺りにはないわね。クロとはシトロの言っていた通り、五叉路中央の通路奥でかち合うことになるのかも。
ただいつクロと戦闘になってもおかしくないわ。今のうちにクロと出会った後の手順を決めておきましょう。」
何となく、クロとヌマルルが出会えば解決すると思っていたミカ。しかし相手はシトロに手を上げ、傷を負わせている。一筋縄で行くとは限らないのだ。
ヌ゙「…クロと遭遇したら、まずヌマルルに説得をさせてほしいにゃ。同じ研究所で助け合ったよしみにゃ、クロの性格もわかっている。解決できる自信はある。」
しかし、ヌマルルの意見にアロが疑問を投げる。
ア「だけど今のクロさんの行動はヌマルルさんにも読めない部分がありますよね。説得が失敗する可能性は大いにあります。
私たちは当然彼女と拳を交える覚悟をしておかないといけないでしょう。」
ナ「クロはヌマルルに並び立つ程の手練れだ。戦闘になれば味方の配置が大切になる。
後衛は戦いに巻き込まれないように、私たち前衛で囲い込むように布陣を敷こう。」
ナギサの提言を受け、かっちりと後衛の守りを固めるはなまるパーティ。
マ「あとはヌマルルさんの言葉次第ですね。心根の通った思いならきっと彼女に届くはずです。
彼女が凶行に及んだ真意を聞き出し、更生のための力になってあげてください。」
んにゃ、と噛みしめるように返すヌマルル。
そして万全の体勢を取りながら、一行はルブレン洞窟を進んでいくのであった。
やがて洞窟の五叉路を迎える。
ヌ「話通りだにゃ。…中央の通路に大きな気配を感じる。間違いないにゃ、この奥にクロがいる。
早く行こう!クロに伝えるにゃ!」
しかし動かないはなまるパーティ。
ヌ「どうしたんにゃ。クロがそこにいるにゃ、なぜ行かないのにゃ?」
一歩ヌマルルに歩み寄るセシリア。
セ「ヌマルル、あなた自分がどんな表情をしているか、お分かり?
余裕のない前のめりな表情。そんな顔じゃあ説得なんてできっこないわ。」
マイアも言葉を繋ぐ。
マ「旧知の仲だから。
うまくいかなかったら私たちに迷惑をかけるから。
そんな『失敗できない』という思いが、今ヌマルルさんを縛りつけているんじゃないですか。
うまくいかなくたっていいじゃないですか。だって私たちは覚悟してここに来たんですから。
だからそんな余裕のない表情はやめて、あなたの全てをぶつけて、クロさんの全てを受け止めましょうよ。」
他のパーティメンバーを見渡すヌマルル。みんながうんうんとうなづいている。
ミ「人の心を繋ぐのは何より笑顔っスよ。
クロちゃんは悪いことをしちゃったけど、今は優しく迎えに行ってあげようじゃないっスか。」
そうか…、そうだね。
冷静さを取り戻したヌマルルの表情に気合が入る。
ヌ「不肖ヌマルル、クロの元に参上するにゃよ。みんなヌマルルの泥船にのっかってくれにゃ!」
再び移動を開始した一行はとうとうクロの元へ歩み出したのであった。




