第80話 夕凪に語れば その3
来たる危機を前に、どうしたらミカの安全が守れるか。
議論はウルスと言う名の修道女の考察に入っていた。
メ「まずは彼女の目的が知りたいわね。例えばマナを使えば、なにがしかのお金や物資が手に入る方法があるけど。」
ナ「彼女もそういったものが目的だと?」
うーん、と煮えきらないメメ。
メ「それが私、そうじゃない気がするの。あくまでも勘だけどね。
かの情報能力から、彼女は私たちを凌駕する何らかの力を感じるわ。彼女が欲しがっているのは簡単に手に入る金品とかいったものじゃなくて、他の何か大きな目的のためにミカに近づいているような…。」
セ「私もメメに賛成よ、確信はないけどね。
私見かつ身なりだけの判断だけど、修道女が即物的な価値観に縛られるかしら?とも思うわ。」
そこにアロが割って入る。
ア「ウルスという方の人物像ですが、私は今の段階で色々予見するのは時期尚早なんじゃないかなと思います。
人間いろいろです。私たちはウルスさんと話し合ったわけではないですからね。」
マ「でもアロさん、危険を予期しておかないと、いざというときに困ります。ミカがいなくなっては取り返しがつかない。」
ア「そうですね。我々は当面、ミカさんの安全を第一で動く。これは間違いないです。
ただこれからウルスさんと接触があった際、協力的な関係も築きうることを忘れてはいけないです。
今ウルスさんはミカさんに話しかけただけ。彼女の目的が我々のものと相反さなければ互いに協力していくこともあり得ると思うのです。」
ダ「確かに修道女なら人助けに力を使いたいと思っても不思議じゃないねー。協力するかは目的次第だけど。」
黙っていたリオンが口を開く。
リ「正直性善説ならなんでも言える。ウルスがいいやつだったときはそれはそのときだ。
まずは当面の護衛の方針を考えようぜ。ミカの安全を守るための当面の方針をな。」
得体のしれないウルスの人となりを推論するより、確かに急がれる話題だ。もっともな議論提起に、はなまるパーティはミカの護衛について話を進める。
マ「まずはミカを1人にしないことだね。さすがに宿の中は大丈夫だろうけど、一歩外へ出たら常に誰かがついていないといけないね。」
コ「お、お手洗いなどもありますし、護衛は女性で回すことになるでしょうか。」
メ「それがいいでしょうね。私たちで話し合って交代でミカに付くようにしましょう。
それより護衛って最低1人で大丈夫かしら。ウルスが今日たまたま1人だっただけで、これからもそうだとは限らないんじゃない?」
セ「難しい問題ですわね。ミカへ複数の人数が護衛に集中するのもなかなかに負担になりますし。
リオン、元兵団長としてどう思います?」
ボリボリ頭を搔いて答えるリオン。
リ「専門じゃねえし分からねぇがよ…有事の際はがむしゃらにミカと護衛の2人が暴れるだろうから、人が連れ去られる前に増援は呼べるんじゃないか?
重すぎる負担は長く続かん。護衛は取り敢えず1人で十分だと思う。
それよりマイア、ミカに専用の帰還チャームを持たせてくれ。今となっては大した出費にならんだろ。」
そうだね、手配するよ、とマイアが答える。
熱心なみんなの話し合いに、話を見守っていたミカが思わず声を出す。
ミ「みんな、ゴメンっス。ミカのせいで大変なことになって…ミカは、ミカはっ!」
ミカの頭にポンと手を置くマイア。
マ「いいんだよ、ミカ。他のメンバーが同じ目に遭っていたら君だって動かずにいられないだろ?」
セ「そうよ、重荷に感じることはなくてよ。」
メンバーから次々に優しい言葉がかけられる。
ミ「ありがとうっス…みんな、ありがとうっス!」
その後も、実際ミカが襲撃された際について各々がどのような行動を取るかが話し合われた。
ミカを愛する、みんなの熱のこもった議論が続いたのだった。




