第73話 ボクサー、ナギサ その1
今日も転生者を迎えるべく、ウリウの洞窟に向かうはなまるパーティ一同。
道中、鍛冶のときにミカがトリコワンドが使えなかったことについてアロとコルックが見解を述べる。
ア「ミカさんがワンドを使いこなせかった理由。大まかにですが仮説を立てて見ましたよ。」
思わず聞き入る他のメンバー。
コ「み、ミカさんは帰ってから他の普通の杖だったりファイアロッドなんかも試してみたんですよね?」
そうっスよー、と答えるミカ。
ミ゙「どれもこれも魔法は出せなかったっス。使えるようになったのは氷のエンチャントチャームだけっス。体を纏わせる程度に氷を出せるんスよね。」
これを受けてアロが言う。
ア「実はこれ、おそらくマナの扱いがどれだけ優れているかで、使えるアイテムが決まっているだけなんですよね。」
ふむ?と考える一同。
コ「た、例えば加熱機や保凍機なんかは、一般人でも一時的に自分のマナを投じて使えますよね。
で、でも杖を持って魔法を出せるのは冒険者のうち、魔法に秀でた者だけです。はい。」
ア「エンチャントチャームは魔法が使えなくてもある程度の冒険者であれば扱うことができます。
つまりマナの扱いやすさで見る限り、エンチャントチャームは保凍機と杖の間に位置するものなのだと考えます。」
コ「こ、これまでミカさんはエンチャントチャームを扱えませんでしたが今は違います。こ、これは冒険者として1人前になった立派な進歩の証なんですよ。ヘヘっ。」
セ「なるほどね。筋は通っているわ。ミカ、やったじゃない。喜びなさいよ。」
ミ゙「うーん、ミカは攻撃魔法が使いたいんスよねぇ〜。」
マ「嘆くことはないよ。進歩した証が得られたんだ。これからも鍛錬を怠らなければ、きっと攻撃魔法を使える日は遠くないさ。」
そうこうしているうちに洞窟の最深部に辿り着く。
岩の扉を開け、はなまるパーティはドーム状の空間に入っていく。
みんなが見守る中、ミカはいつものようにパネルを操作するのだった。
ミ゙「転生の儀!来たれ強き者よ!」
ダ「ノリノリだぁねー。」
光の柱が下がっていくと、そこには黒髪ポニーテールのスレンダーな女性がいた。服装はおへそのでたブラトップにレギンスと身軽そうな風貌である。
ナ「転生が成功したようだ。呼んだのはあなた達だな?
私はナギサ。前の世界から連れ出してくれて恩に切る。ありがとう。」
マ「よろしく、ナギサさん。ナギサさんはどんな能力を持っているの?」
ナ「私はボクサーなんだ。
距離を置いて相手を牽制するアウトボクシングもできるけど、インファイトから大きな破壊力で敵を粉砕するのが得意だぞ。」
セ「あら、格闘家仲間ね。私はセシリアよ。カポエイラで戦っているの。今後ともよしなに。」
マ「ナギサさん、行くあても決まっていないなら、しばらくうちのパーティで過ごしませんか?強力な仲間が増えるとうちも嬉しいです。」
ナ「そうか?ぜひお願いする!最初は野宿も覚悟していただけにありがたい申し出だ。」
リ「あっさりと仲間が増えたな。俺はリオン、よろしくな。」
リオンを見つめたナギサの目がなぜか訝しげなものに変わる。
ナ「リオンっていうのか…君はスケベだろ!!」
突然の指摘に、ぽかんとするはなまるパーティであった。




