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第63話 トール、その実力っ! その3



――第3班の様子――



 時計に目を落とし、メメが呟く。



メ「時間ね。行きましょう。」



 3班の3人は荷物を背負い、洞窟に入っていく。



ゼ「しかしメメ君。

 君には魔物を感知する能力があるそうだね。」



メ「ええ、そうよ。マナの極端に薄い個体や無機物でない限り動くものは大体近づく前に気づけるわ。」



ゼ「…素晴らしいな。

 うちのライネもヌマルルも敵感知の能力を持っている。

 それで今回はせっかくだから、それぞれの班に感知スキルの能力持ちを分けさせてもらったよ。」



 そう、役に立つわね、とメメ。



ゼ「感知スキルだが、以前から俺はどうやっても身につけられなくてね。


 マナ関係のスキルで体得出来なかったものは少ないから、どうにも悔しい思いもあるのさ。」



 コルックが少し驚く。



コ「か、感知スキルは才能とか天性のものに近いから努力しても後天的な体得は難しいんでしょう?


 ゼ、ゼレさんには違う役割があるのでそれで十分じゃないんですか。」



 そうだな、とゼレ。何か考えながら歩みを進めている。そして口を開く。



ゼ「ただ俺は今までも自分に必要だと思ったことは都度取り入れてきた。


 中には感知スキルのように努力が無駄に終わったことも多くあった。

 だけど自分の中で沸々と湧き出る向上心の積み重ねが俺をここまで強くさせたんだ。


 俺の今の強さに理由があるなら、それは無謀にも思えるひたむきさと、何よりそれが必要とされる仲間の存在が答えになる。


 ライネとヌマルルはそれだけで頼りにもなるが、俺が俺であるための大切な仲間でもあるんだな。」



 ふぅん、とメメが相槌を打つ。



メ「茶化すのは変ね。

 …あなたにはそう思わせる良い仲間がついているのね。」



ゼ「…何が言いたいのかまとめられていなかったな。


 つまりどのパーティのどのメンバーも同じなんだ。

 かけがえのない仲間がいて、できることに邁進している。それぞれ事情もある。


 これからはなまるパーティのみんなにも他のパーティと繋がりあえるような日々が来ればいいなと俺は感じているんだ。」



 言葉の意味を汲み取る2人。



コ「ぼ、僕たちだけでは決められないです…。」



メ「事情ってのがメンバーの安全に直結しているからね。

 聞き流す訳じゃないけど色良い返事ができるとも限らないわ。」



ゼ「…そうか、そうだな。

 分かっていたつもりだが、少し熱くなってしまったかもしれない。お節介だったかな。」



 少しの間沈黙が訪れる。



 そこへ、はっと顔を上げるメメ。



メ「敵よ!4足型5体。内1体は他のより一回り大型ね。」



ゼ「先刻の通り俺が前に出よう!つまらない空気にした分取り返させてもらうよ。」



 魔物たちがこちらに駆け出してくる。



コ「あ、あれはバーナブーです。リーダー種1体、通常のが4体になります。はい。」



 するとゼレが意識を集中し始める。それに従いせり出した青い水晶がゼレを取り囲み始めた。



メ「これは圧巻ね…。」



 ゼレの頭部と胴体を覆い尽くした水晶はその鎧となって、洞窟の一角に鎮座していた。

 身の丈はゆうに4mはある。見上げたコルックは首に違和感を感じるほどだった。



ゼ「少し遊んでもらおうかな。」


 大きさに見合わない速度で瞬時にバーナブーの群れの前に躍り出たゼレ。そのまま動きを止める。



コ「き、危険です、ゼレさん!

 それほど強くない魔物ですが吐き出す炎は強烈ですよ。群れでかかられたら…。」



 話し終える間もなくバーナブーの吐き出す火炎が四方八方からゼレの鎧を包み込む。

 轟々と滾る炎はたっぷりと数秒間ゼレを覆い尽くした。



コ「ゼレさん!」



 炎が引くとゼレの姿は変わらずそこにあった。

 炎を受ける前とは違い、全身が細かく煌めき、幽玄な美しさを湛えている。



メ「熱が内部まで到達していないわね。炎の熱をマナに変えて吸収したのかしら。」



ゼ「ご明察。俺の鎧は単純な打撃斬撃もそうは通さない。

 しかしこと魔法などマナから成るものに関しては超威力のものでもない限り全く受け付けないのさ。


 半端な攻撃は俺にマナを与えるだけの呼び水にすぎない。さて頂いたマナお返しするとしようか。」



 ゼレはマナを練り上げ、等身に似合わぬほどの長剣を作り出した。

 そしてそれをふっと一凪ぎすると、もうすでに魔物たちは絶命していた。



コ「ま、マナを操る技術も一流ですね。お見事でした。」



ゼ「道中の魔物は私に任せてくれたまえ。ここの魔物相手ならマナが尽きることもなさそうだ。」



 かくして3班も合流地点に向かい、歩みを進めていく。



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