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第57話 閑話休題 10 勘違いシスターズ



 アロが仲間になったその夜、リオンの部屋に男三人が集まっていた。


 部屋には酒瓶にジュース類、つまみやお菓子などが置かれている。



リ「今日からよろしくな、アロ。

 晩酌でもしようぜ。酒は飲める口か?」



ア「普段は嗜みませんが、せっかくなのでいただきます。

 リオンさんはお酒が好きで?」



リ「ああ。俺はこれがないとやってられないな。

 コルック、お前も飲める年になったら一緒にやろうな。」



コ「ぼ、僕は匂いが苦手で今はお酒が飲めるようになるとは思えないです。はい。


 で、でもリオンさんのためならきっと好きになってみせます。へへっ。」



リ「ほんとお前はかわいいやつだな。

 楽しみにしてるぜ。


 そういやアロ、お前、趣味とかは何かあるのか?」



 あります、とアロ。



ア「僕は将棋が好きなんですね。


 将棋は一時期AIの研究が盛んだったんです。

 AIを研究していた僕は、より強いプログラムを組むために将棋自体に少しはまっていた時期があったんですね。


 もっとも多少強くなったとしても、おいそれと実力者を倒せるプログラムが組めるとは限らないんですけど。」



リ「へー、奇遇だな。


 俺とコルックもたまに指すくらいには将棋が好きなんだよ。


 でも俺たちのはヘボ将棋。

 アロには敵いそうにないかな。


 よし、コルック、せっかくだし一番勝負と行こうじゃないか。

 アロに見てもらって指導してもらおうぜ。


 さっそく盤と駒を出してくるわ。」



 こうして、リオンとコルックが将棋を指し始めた。



 しばらくして一階リビング。



マ「あ、そういえばアロさんに、身の回りの品で何か必要な物がないか聞いていなかったな。


 私は今ミカの勉強を見てて手が離せないからセシリア、ちょっと行って聞いてきてくれないか?」



ミ「ミカは別にマイアが行っても構わないっスよ?」



マ「だーめ。君はその間さぼるでしょ。


 悪い、セシリア。

 メモと鉛筆持っていって、アロさんに聞いてきて。」



セ「それくらいお安い御用よ。

 すぐ帰ってくるわ。」



 アロのいるというリオンの部屋へ向かって階段を上っていくセシリア。

 すると部屋の中から声が聞こえてくる。



ア「…だからそこはですね。」



セ(何か熱の入った指導みたい。入っていいのかしら?)



 思わず部屋の前で足を止めるセシリア。



ア「ここは少し強引にでも攻めて…そうすれば受けにも…。」



セ(え?『強引な攻め』に『受け』??

 リオンの部屋で何が行われているの?)



 いてもいられなくなったセシリア。

 気がつけばメメの元に駆けつけていた。



セ「同志!」



メ「その呼び方は私たちの趣味を分かち合うときの…!


 どうしたの?」



セ「実はかくかくしかじかで。」



メ「何と!それは大変ね…すぐ行きましょう!」



 リオンの部屋の前に辿り着き、息をひそめる二人。

 そこではドア越しにははっきりとは聞き取れなかったが、確かに『攻め』やら『受け』の言葉が頻繁に出てくる。



メ「これは間違いないわ。

 主に話しているのはアロさんね。


 …彼はとんだダークホースだった。

 自らは指導に回って、まだ所作のあどけない二人の様子を『見』に徹する…。


 その外見からは推し量れないほどの上級者ね。

 私なんかの貧弱な妄想の遥か上をいかれたわ…!」



セ「私もまだ気持ちの整理がつかないわ。

 このままだと3人とも取り返しのつかないことにならないかしら?!」



メ「シッ!みんなが出てくるわ。声を潜めて。」



 部屋のドアが開き、2人はドアと壁の隙間に身を隠す。



リ「いやー、いい経験になったぜ。楽しかった。」



コ「ぼ、僕もアロさんに手取り足取り教えてもらってよかったです。

 つ、次はもっと工夫してやれそうです。」



ア「教えていて私も楽しかったですね。

 また時間をみつけて定期的にやりましょうね。」



リ・コ「異議なーし!」



 笑いながら階段を下りていく3人。



メ「同志。」



セ「はい。」



メ「彼らの動向、しっかりと見守っていきましょう…。」



セ「ええ、ええ…。」



 惚けた様子でリビングに戻ったセシリア。



マ「ありがとう、セシリア。メモをくれないか。」



セ「あ…。うっかり、アロさんに要る物を聞くのをすっかり忘れていましたわ。」



ミ「いやいや、あんた一体何しに行ったんスか…。」



 以後も物思いに耽ることが多くなったメメとセシリア。


 乙女心は複雑である。


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