第52話 閑話休題 9 メメだって女の子
ローズを引き連れた一同がスピニアに帰ってくると、そこにはリオンとプレオスが待っていた。
リ「おう、そいつが親玉か。
首尾よく行ったようだな。」
ミ「なんてことはなかったっスよ。
プレオスさん、はいどうぞ。
彼はローズと言うっス。」
プ「こんなにも簡単に…。
頼んだ甲斐がありました。ありがとうございます。
首尾は斥候から話を聞いていて、もう街議会を開く準備が整っています。
さっそく方針を諮ってきますね。それでは。」
プレオスが若い衆に囲まれながら、ローズを縛った紐を引いていく。
リオンがこちらに向き直る。
リ「お前らのいない間にここの住民に色々雑用を頼まれてな。
戸の立て付けや蛇口の付け替えなど、できそうなことはやってみたぜ。
お金を払うというが今回は断った。
そのかわりお土産をたんまり持たされたから、当初の目的も果たせたな。」
ミ「そういやリオンは今回お土産調達係だったっスね…。」
リ「なんでも屋は需要があるぜ。
キャラバンの方でぜひやってくれとの声が多数あった。
こなすのが難しい依頼は次週までに調べるかして、それでもダメならごめんなさいだ。
無理はしないし受けるのはできることだけだ。それで了承してもらう。」
マ「何でも屋とは面白いアイデアだね。
次回のキャラバンからできるかどうか積極的に検討しようか。」
するとリオンが面々を見渡す。
リ「しかしお前らやたらめかし込んだな…。
馬子にも衣装というか、たまにはそういう風に化粧したり着飾るのも良いんじゃないか…」
周囲を見渡していたリオンの目がメメで止まる。
リ「ブフッ、メメ、それマジか?
あのいつも無骨なメメが紅を引いてフリフリの衣装に…?
くくっ、リオンは嬉しいぞ。
お前はお洒落に興味がないのかなんていつも…ブフげひゃひゃ!」
地面に拳を打ちつけ、笑い続けるリオン。
それを見て軽く頷くメメ。
荷車に隠されていたモーニングスターをひしと持ち出す。
メ「殺すわ。」
慌てて止めに入るミカ。
ミ「メメ、あんなデリカシーゼロのおっさんでも大事なパーティの仲間っス!
コロス、ヨクナイ!」
ダ「説得の仕方が未開の民族に対するそれだねー」
悟ったように優しい眼のメメがミカに語りかける。
メ「ミカ、よく聞いて。リオンが存在する穢れた陰惨な世界と、リオンがいない華やかで清浄な世界。
どちらの世界が人々にとって良くて?」
ミ「恣意的過ぎる脚色!」
コ「み、ミカさん!
リオンさんの素敵なところを話して思い出してもらいましょう。
た、たくさんありますし、それで殺意は消えるはずです。はい。」
ミ「そうっスね、ナイスっスよ、コルック君!えーとリオンはいつも…」
〜回想〜
リ『ミカ!どアホ!』
リ『ミカが馬鹿だからバカのハカだな。こりゃ傑作。』
リ『ミカのバカ!』
〜〜
ミ「あれ?素敵なところがない…。」
マ「リオンの良いところなんか探してたら、時間がいくらあっても足りないよ!
危機は今迫ってるんだから!」
セ「時間がないのはわかるけどあんまりな言い様ね。」
その後、尚も笑い転げるリオンをメメ以外のメンバーで丁寧にボコボコに処した。
それをみてなんとか溜飲を下げることができたメメなのであった。
その日の夜、宿に帰ってのこと。
メ「ふんふーん、ふふーん。」
部屋で姿見を前に、自分の姿を楽しそうに眺めるメメ。
ミ「さっき、メメの部屋の前を通ったら鼻唄が聞こえたっスよ。」
マ「へぇ、何かいいことがあったのかもしれないね。」
女心は素敵な衣装に映えるものです。




