第50話 広域救援隊 その2
ミ「やってきたっス、スピニア!
今日はいつもの売り子モードとは違う、冒険者モードで気持ちを切り替えてきたっスよ。」
楽しそうに振りかえり様にウインクするミカ。テンションもいつもより高そうだ。
セ「あなた、冒険者モードでもマナの回復しかしないでしょうが…。」
ミ「ノンノン。縁の下の力持ちというお言葉をご存じかな?」
リ「なんでもいいぜ。
早くスピニアのギルドに向かおうぜ。」
ミ「またそうやって蔑ろにするー!」
今度は反対側からマイアが急かす。
マ「滞在費は出るけど、簡単な依頼だったら早いうちに片付けて帰りたいし急ごう。
広域救援隊の依頼はまだありそうだし、できるならてきぱきこなしていくよ。」
ジルク命!と珍しく目でなく口で訴えるマイア。
近場の住人に道を聞きながら、スピニアのギルドに流れ着いた。
マ「こんにちわ。
広域救援隊の依頼を受けて派遣されたはなまるパーティというものですが、受付はどちらになりますか?」
それを聞いて、眼鏡をかけた若い青年が立ち上がる。
プ「ああ、こんにちわ。
スピニアギルド相談役のプレオスといいます。
はなまるパーティさんですね、お話は聞いています。
ご存じかと思いますが、うちは橋が落ちて修理中でして、キャラバンの方でも助けていただいていてありがたい限りです。」
マ「そんなこと。うちも商売でして、貰うものは貰っているので気にしないでください。」
キャラバンの礼と謙遜の話が数巡し、話は本題に移る。
プ「それで今回の依頼の話なんですが、こちらも橋の崩落に端を発しているんですね。
今までなら大きな橋を渡って安全に交通ができていたのですが、現在は獣道のようなところを住民が通るようになっているのがスピニアの状況なんです。
それに野性の魔物が目を付けて、時折荷車が襲撃されては貨物を奪われています。
しかもリーダーが少々頭の切れるやつみたいでして。
貨物が多くても警備の者が多いと手を出してこないんですね。
狙われるのは専ら女子どもがメインでして、荷物を根こそぎやられます。
物資も馬鹿にならないし、怪我人は出ていないんですが、それもいつまでのことかと皆不安になっています。
これをはなまるパーティさんに何とかしていただきたくて依頼を出しました。」
マ「スピニアのギルドでは対応が難しかったのですか?」
プ「うちの精鋭は男性が多く、彼らの護衛時には憎らしいほど手を出してこないんですね。
そこでうちも一計を案じました。
他ギルドの女性陣に護衛について頂いて、襲来した敵を討伐していただこうと考えた次第で。」
マ「なるほど、うちは女性が多いですからね。
お鉢が回ってきたのも理解できます。
では早速準備をしてから、魔物がよく出る獣道へ向かいましょう。」
リ「おい、コルックは子どもだからいいとして俺はどうすんだ…?」
ダ「体格的にもムリムリー。
残念だけどお留守番だぁねー。お土産でも見繕っといてー。」
リ「くぅーん。」
数刻後、スピニアのとある民家にはなまるパーティはいた。
それぞれ可愛らしい衣装に身を包んでいる。
ミ「わー、こんな素敵な洋服、ついぞ着たことがないっスよ!嬉しいっス。」
メ「…おしゃれ、なのかしら。私は暗い色が好みだからちょっと合わないわね。」
セ「そんなことないわ。
メメ、すごく素敵よ。普段からそんな服も着たらいいのに。」
メ「合わないのは趣味よ。なんでこんな格好をさせられなきゃいけないのかしら。」
ダ「ダフダフはミカと同じで嬉しいかもー。
フリルのスカートとかなかなか自分では買わないしー。」
マ「女将さん。ここまで準備が必要ですか?」
女将さんと呼ばれた女性が答える。このクエストのために気合が入っている様子だ。
女「そらもちろんさね。
あなた方が強いパーティとバレたら全てが水の泡。
しっかり『女の子』を演じておくれよ。
ちなみにこのお古は私のものでもういらないから、クエスト成功の暁にはあんたたちにプレゼントするよ。がんばりな!」
可愛い服を着込み、お化粧までしてすっかりめかしこんだ一同は件の獣道へと向かっていくのであった。




