第48話 怒濤の自習計画 その2
セ「すると召喚具をこの位置に保持した場合、それまでのマナの流れはこちらに動くの?」
ダ「うんうん、概ね正解だぁね。ただ例外のときも色々あって今度はそこを詰めていきますかー。」
セシリアへの召喚術講義は順調なようだった。
土台となる知識の基礎固めの講師として、やんわりしたダフダフの説明がセシリアによく合っているようである。
あとは理論と実践の間にはまた違った難しさがあるはずで、それを克服できるかが課題だろう。
一方ミカとマイアの方は、
マ「魔法放出の基礎型、先端凝縮法をしっかり体現して!
体のマナの温かい流れを杖の先に巡らせていくんだよ。」
ミ「いや、全く魔法になる気配がないっスよ。
マナは巡るんだけど、これっぽっちの魔法も出ないっス。」
マ「諦めちゃだめだよ。
とりあえず10分、10分だけ意識して続けてみようか。集中!」
ミ「ひーん。」
意外と熱血漢の講師、マイアのもとでスパルタ指導が続けられていた。
ミカの魔法具現化について古今東西、様々な方法を試してみたが、1つとして惜しい域にすら届かずじまいでいる。
もちろんマイアも諦めるつもりはなかった。
しかし何を試しても梨の礫では次第に焦りを隠せなくなっていた。
リ「おっ、やってんな。どうだ、マイア。
成果は上々か?」
リオンたちが休憩がてら宿屋に戻ってくる。
はっと根を詰めていた自分に気づき、落ち着きを取り戻すと答えるマイア。
マ「そうすぐに結果は出ないね。
まずは忍耐力をつけてもらうために、各種方法を基礎練習として続けさせようと思っているんだ。
ほら、このミカの顔を見て。すごい集中力だろ?」
額に皺を寄せ、何事か念じているミカ。
コ「こ、これは。すごいんです、か…?」
メ「いつものミカがマイアの手にかかればこうなるなんて、まさに見世物ね。
すごいに違いないわ。」
リ「まぁ昨日今日でどうにかなるってことはないだろう。
何事にも継続が大事ってことだな。」
マイアもそれに頷く。
マ「教科書に体系立てて分かりやすく書いてあったから、案外魔法の習得も早いかと思っていた。
だけどやっぱり腰を据えてじっくり取り組まないとね。
一度成果があれば化けるかもしれないだけに、期待する気持ちも焦る気持ちも正直大きいね。」
リ「その気持ちは分かる。
これはミカがダメって訳じゃなくて、何にしても物を体得するのには時間がかかるんだよな。
忍耐と努力、それが一番の近道だと思うぜ。
そしてそれらが無意味に空回ってないか時々しっかり省みる。
ミカは自分と向き合う時間を作る癖をつけないとな。」
今度はマイアがリオンに話を振る。
マ「ところでそちらは順調かい?
コルックのバフに君たちの基礎練。うまく行っているかい?」
リ「あー…、コルックはちょっとがんばりすぎなんじゃないかな。
どうだ?お前は真面目だからガスの抜き方が上手くない。
俺たちの方で声掛けしてやらないと、いくらでもバフを掛け続けるぞ。」
困ったように恥ずかしそうに汗をかき、黙り込むコルック。
メ「誰かさんとは対象的ね。
でも自分の限界を知るにはいい機会なのかしら。
何日かしたら、ダンジョンの道中でも気軽にログが利用できるようになりそうかもね。」
リ「ちなみに俺とメメはバフをかけてもらった状態で、徒手での手合わせをしていた。
一度試したら身体能力を底上げするのに思いの外向いていたんだな。」
メ「私はヘイスト、リオンはエンパワーを中心にかけてもらえば、まぁいい感じに手合わせができたのよね。
近しい実力の者が近くにいれば修行も捗るわね。しばらく続けさせて頂戴な。」
そう言っている間にダフダフが講義を切り上げてこちらにやってきた。
ダ「こちらかなり長時間勉強をしてますですねー。
ミカさんもいいところで切り上げて、1度休憩にしてはいかがでしょー?」
マ「そうだね。
ミカ、もう10分だし1度休憩にしようか。頭も使ったし甘いものでも用意しよう。」
ミ「やったー…。こんなに嬉しいことはないっス…。」
以降試行錯誤しながら数日間、特盛の修練を続けるはなまるパーティなのであった。




