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第42話 キャラバン、屋台に輝く その2



 帰路の途中、マイアがみんなを労う。



マ「みんな、今日はおつかれさま。

 今回は飲食の接客が中心になって、なかなか神経も使ったね。


 でもおかげで売り上げはかなりのものになったよ。

 時間効率も良くなって前回より早く切り上げられている。いいことが多いね。」



セ「私は売り上げより早く帰れるのが嬉しいですわね。


 前の帰宅時間じゃちょっと無理しないと続けられないですもの。睡眠不足は美容の敵ですわ。」



 そこへコルックが質問をする。



コ「と、ところで鍛冶場開設についてはどうでしょうか?

 最近のクエストも合わせてかなりお金も貯まったんじゃないかと思います。へへっ。」



リ「そうだな。そのことに関しては帰ってから俺とマイアで持ち金を集計して、一度みんなにアナウンスしようと思う。


 鍛冶場だけですっからかんになるわけにはいかないが、懐具合もずいぶんと現実味を帯びてきてはいる。だから期待してな。」



 そろそろなのね、とメメが嬉しそうにつぶやく。



 その夜、せっせとお金を勘定する2人の姿があった。



 次の朝、ミルーの市場で投げ売りプチキャラバンの後、ミーティングが開かれた。



マ「みんな、おつかれ様。初めて屋台に挑戦してみたけど成果は上々だったね。


 保存食を求めるお客さんにも実食してもらえる機会が取れて良かった。

 キャラバンについて何か意見などあるかな?」



 セシリアが意見を言う。



セ「お客さんが多くて、うまく商品を捌けないことがありましたわね。

 机と椅子が増設できれば何よりかしら。


 あとドリンク類は、これからの時期もう少し増やしても見返りがありそうですわね。」



 コルックも続く。



コ「お、美味しいものなのに注文が少なかった品がいくつかあります。はい。

 こ、これらは客寄せを兼ねて試食をしてもらうのもよいのではと思いました。」



 その他改善案がいくつか出て、マイアはそれをノートに(したた)めていく。



マ「今度もより良いキャラバンにできそうだね。

 それでは次は鍛冶場について話しておこうかな。」



 マイアは改まってみんなを見渡す。



マ「まず、鍛冶場とは別に、はなまるパーティに何かあった時のお金は必要だ。


 ヒールで直せないような厄介な状態異常にかかった時の治療代や屋台が壊れた時の修理費。

 帰還チャームなど高価なアイテムの購入もそうだね。キャラバンの運転資金もいる。


 長期にかかる支出にも備えて、これらの費用として常時5万ジルクは持っておきたい。」



 いきなりの高額の提示に、はへー、とため息の出る一行。



マ「次に鍛冶場のほうの相場だけれど、メメの方に話してもらおうかな。」



 メメがその場で立ち上がる。



メ「鍛冶場のお金についての話よ。まず炉について。

 鍛冶場って本来、炉に一度火を入れたらそのまま暫く、というかかなり長く使い続けるものなの。


 高熱を維持するのは難しく、火を落としたらまた最初からやりなおすことになって、労力も資材も馬鹿にならないのね。


 私は武器を鍛えるのに集中しなければならないから、本当はこの火の維持をリオンかコルックにお願いしようかと思っていたの。

 もちろん私ともども夜を徹しての作業になる見込みだった。」



 過去形にリオンが食いつく。



リ「というと、いい手がみつかったのか?」



 そうよ、とメメは答える。



メ「鍛冶屋街でマナを媒介に超高熱の排出可能な魔道具の掘り出し物が見つかったわ。


 王族御用達のものだったらしく、マナの結晶で動力に替えていたものだそうだけど、そんなの金持ちの道楽でしかお呼びがかからないわよね?


 案の定価格は崩れて投げ売り当然。しかしはなまるパーティには…」



ミ「ミカがいるっスよ!」



メ「ありがとう。


 以前加熱器でミカにどれほどの火力が出るか試してもらったけど、武器を鍛えるなんてとてもとても。

 ちょっとやわい金属を加工しようとしたら、先に加熱器が壊れるところだったわ。


 でも今回は鍛冶専用の『超』加熱器。

 十分使用可能でしょう。」



 メメは前に出ると件の超加熱器をどん、と机の上に置いた。



メ「ミカの力なら一度、いえ何度火を落としても再加熱可能でしょう。

 私も寝ずの仕事をせずに済むし、一度にまとまった数をこなす必要もなくなったわ。」



マ「そしてこれが一番大きいかな。


 それは炉にくべる燃料代。

 これが要らなくなったんだね。


 鍛冶は高熱を長時間維持する必要があるだけにこれはかなり大きい。

 鍛冶道具を揃え、ミカとメメさえ元気なら、必要な材料費のみで鍛冶は始められる。」



 す、すごいです、とコルック。



メ「あとは場所なのよね。

 ここに炉を作るわけにはいかないから、マイアとミルーの廃工房をいくつか視察してきたわ。


 アクセス、セキュリティ、そして価格。

 それぞれを勘案して叩き出した所が、頭金5000ジルクと借り賃4ヶ月分先払いで4000ジルクの所ね。


 鍛冶用の道具と素材費と含めると合計2万5000ジルク程度は持っておかないと安心できないわね。」



 再びため息の出るはなまるパーティ。



マ「でも昨日私たちの所持金を計算したら、かなりいい線まで行っているんだよ。


 このままの調子なら、あと2、3週間クエストとキャラバンを続ければ到達できそうなところなんだ。」



リ「確かにいい武器防具が手に入れば、レアモンスターとも戦いやすくなる。

 今の段階だと戦うだけでひやひやもんだしな。」



ミ「ミカのレアスキルが真の意味で輝くときがくるんスね!」



 まだ手にしていない武器を前にどよめくみんな。



マ「はいはい!みんな静かに!

 今日の鍛冶場の件についてはこんなところだよ。


 これで今日のミーティングは終わりにするよ。

 おつかれさまー。」



 おつかれさま!と返すはなまるパーティのみんなであった。


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