第4話 ようこそ、リオン その2
リ「難易度Dだと!?」
ミ「Dっスか!?」
同じ内容の驚きの声をあげる2人。ただ1人はこれに納得がいかず受付嬢にくってかかり、1人は喜びにあえいでいる。
リ「どういうことだ!俺よりいい動きができるやつが、この界隈にそんなにいるのかよ。身体検査は節穴か?」
ミ「やったっスー! これでお宝に出会える確率がぐんと上がったっスよー。」
リ「てめぇは黙ってろ!」
受「リオンさん、あなた単体の能力は悪くないんです。
まぁ優秀と言ってもいいでしょう。
ただお連れの方とパーティを組むということですよね?」
リ「そうだが。何か文句あるのか?」
受「だとしたら初めはここらが限度です。
魔物は等級が上がると戦闘能力も高くなりますが、何より知能が付きます。
彼女たち、あなたより先に狙われちゃいますよ。」
ミ「ダンジョンに生きる女、ミカ。多少の危険は承知の上です!」
受「首をポッキリやられても同じことが言えますかね。」
ミ「リオン、Dから始めよう。」
リ「どアホ!」
受「ちなみにC級以上は敵も戦略的なパーティを組んでいることがしばしば。
リオンさん単体でも攻略は困難でしょうね。
甘くないんですよ?ダンジョン。」
ぐぐぐと言葉をつまらせるリオン。
受「ただ後ろのお2人には以前より難しいダンジョンなので、きっと経験を積むのも早いでしょう。
今の難易度で実績を重ねて、それなりに戦える3人パーティとなればこちらも斟酌いたしますよ。
…まぁすぐにCとはいきませんがね。」
マ「筋は通ってる、仕方ないよリオン。私たちが早く経験を積んで、早く君のふさわしいステージへ行けるよう努力するよ。」
リ「…マイアがそこまでいうなら仕方ねぇな。
精進しろよ、てめぇら。」
そうして一行はクエストとなる場所、リネア邸という廃墟に向かった。
ここには異世界とつながる穴はなかった。
湿気と日差しをもとに虫が繁殖し、それを餌に小動物が集まる。
さらにはそれを目当てに小中様々な魔物がはびこる場所だったのだ。
それで終われば放置しておけば問題ない。
だが魔物が一定数増えると次の餌場を求めて群れで移動し始め、他で被害が出かねないのだ。
危険な場所だが、国が保護条例や金銭面で建物に手を出せないこのような場合、しばしば冒険者にお鉢が回ってくるのだった。
マ「いわゆる『クリーニング』だね。定期的に魔物を減らすお仕事だよ。」
ミ「『ゴミ掃除』と同じような名前で紛らわしいっス。それにしてもリオンは働き者っスねぇ。」
魔物を殲滅してリオンが戻ってくる。
リ「てめぇら、ずっと座ってるだけかよ!ちったあ手伝わねぇか。」
ミ「だってミカはマナの補給だけだし…。」
マ「私は最初に出会った魔物に魔法をぶつけてもほとんど効いてなかったし…。」
リ「あーあ、1人パーティの方が気が楽だったかもな。」
マ「あ、でも傷ついたら回復できるよ。頼りになるね。」
リ「あいにく今のところ無傷だわ。」
と話している間に、次の魔物があらわれた。
リ「あんた他にも色々魔法が使えるんだろ。属性の相性が悪いんじゃねぇのか?別のを撃ってみろよ。」
マ「じゃあ試しに風属性にしてみようか。ミカ、手を貸して。…エアロ!」
瞬間、凄まじい風が空間を巻き上げ、みるみるうちに巨大な緑の球が浮かび上がった。
その球体は弾き出されるように敵に向かっていき、直撃した者を激しく切りつけた上、周りの数体を近場の壁に叩きつけ、倒しきった。
ミ「マイア、すごいっス!」
リ「ほんとすげーな。相性…なのか?」
マ「どうみても違うでしょ。
これはここ十数回、今まで会ったことのない魔物を、たくさんリオンが倒してくれたおかげだ。
私は急激に成長したんだと思う。」
マイアは自分の掌を見つめていう。
マ「それもどうやら私は素の強さが上がったという感じじゃないな。
どこかマナを受ける器のようなものが大きく深くなった気がする。」
マイアは今度はミカの補助なしでエアロを発生させる。出来上がった球体は拳大といったところだった。
ミ「ちっちゃいっスね…。」
マ「そうだね。わたしの魔法の威力はミカの力あって強靭なものになるようだ。リオン、これからは君の役にも立てそうだよ。」
それからマイアはミカに向き直り微笑んでいった。
マ「私たちは今までよりずっといいパートナーになれそうだね。改めてよろしくね、ミカ。」




