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第38話 レベルの鑑定、再び その2



コ「い、いよいよですね。イッテキマス…。」



 別室に向かうコルック。手と足が揃って同時に出ている。



リ「あんまり緊張すんなよ。いつも通りやれば大丈夫だから。」



 コルックは軽く手を振り返し、部屋に入っていった。

 その黒目には光がなかった。



ミ「コルック君大丈夫なんスか…?」



リ「ま、まぁいけるだろう。知らんけどな。」



 数刻してコルックが出てくる。

 知らずか笑顔が浮かんでいる。



コ「し、神官の方が気軽に話しかけてくださって、無事いつもの力を出せました。はい。よかったです。」



リ「それは何よりだ。…どんな相手にも本気を出してもらうのも神官の実力なのかねぇ。」



ミ「案外そうなんかもしれないっス。」



 神官が出てくる。



神「おつかれさま。コルックさんのレベルは37です。


 攻撃魔法フォトンにバフのエンパワー、ヘイスト、聖属性のエンチャント。

 対衝撃対魔法に優れたシールドの展開に回復魔法。

 おまけに目玉スキルのログの享受、と並みの魔法職2、3人がこなす種類のことを1人でやってらっしゃいますね。素晴らしいですな。」



コ「あ、ありがとうございます!」



 褒められてなぜか慌てるコルック。



神「ただ色々こなす一方で器用貧乏になっている節があるんですな。


 攻撃魔法フォトンは弱点以外の敵にあまり効いていない、またシールドは少し強力な敵の攻撃を受けるとすぐ瓦解するというのも聞きました。


 バフも鍛えればもう少し伸びるのかもしれませんね。」



 ふむ、と一呼吸置く神官。



神「このパーティならマイアさんもいるので回復魔法は現状で切って、何か2、3の技能に絞った方が将来有望ですな。


 他に魔法職の方が仲間になれば補い合う形で長所を伸ばせられれば良いですな。


 鍛えるスキルはとことん使い続けること。

 継続が力になりますゆえ。」



 こくこくとうなづいているコルック。

 マイアもメモにペンを走らせる。

 続いてログテイカーとしての技能に神官が触れる。



神「さて、ログの享受に関する能力ですがこれは驚きでしたね。

 指定の魔方陣で吸収しきれないほどのバフをかけられたのは久しぶりです。

 今度の機会があればより許容力のある魔法陣で力量を見ますね。


 秘めている威力は十分。こちらも使い続けると時間や効果に関する能力が上がっていくはずです。」



コ「は、はい。」



神「お聞きしたところによると、弱い敵相手には使用を控えているということでした。

 しかしこれはいささかもったいない気がしますね。


 強敵用に少し温存する程度で、もっと普段からログを使っていって、自分の限界を引き出していくことが大切だと思います。


 温存の判断も難しいですがそれにも慣れが必要です。

 出し惜しみしないでくださいね。」



 コルックの鑑定も無事終わりを告げた。



リ「ようやく俺の番か。メンバーが増えると待ち時間が長くて困るぜ。」



マ「巌裂きについて何か聞けるといいね。」



 リオンは部屋に入っていくと、しばらくして帰ってきた。



リ「案の定、全快状態でも巌裂きは出せないな。

 神官のおっさんには伝えておいたから、何か解説あるかもだ。」



 部屋から出た神官が資料を片手にこちらに向かってくる。



神「おまたせしました、リオンさん。まず全体的な総括から。


 レベルは前回の38からレベルを3つも上げて、レベル41になってますよ。良かったですね。


 身体能力も着々と進展しています。

 パーティにタンクが入ったおかげで自分の役割が遂行しやすくなっていますな。


 攻撃こそ最大の防御。

 あなたの働きでパーティはずいぶん負担が軽くなっていますね。

 素早く動いて敵を叩く。今の調子で行ってください。」



 思わぬ高評価にふふん、と自慢げなリオン。



神「ちなみにこれは提案の1つと思ってもらえばいいのですが、あなたの負担が許すなら両手剣を帯刀してそのスキルを伸ばすのも良いかもしれません。」



 神官は説明を続ける。



神「すばしっこい敵には今まで通りの対応を。

 少し決定力が必要な時は両手剣に抜き変えてそちらで、とフレキシブルな対応が可能になります。


 ただパーティには強力なアタッカーであるメメさんもいます。

 両手剣を採用するかは想定する敵次第、ということになるでしょうな。」



 なるほどね、とマイアはメモに書き綴る。

 神官がゴホンと咳払いをした。



神「さて、リオンさん本題の巌裂きについてですね。

 あれは珍しいものですが、前例がいくつかある窮鼠スキルと呼ばれている技の1つです。

 追い詰められてピンチになると出せる大技のようなものですかね。


 内部的には体力やマナが大きく減ったり、状態異常になる、あるいはそれが継続するなどでゲージが溜まり、ゲージが一定になることで技を出すことができると言われています。」



セ「言われている、ということは詳しく分かっていないのね。」



神「その通り。再現性も高くなく、常用している人は更に数が絞られていましたね。


 ただ共通して言えることは、使い手がピンチなことと高レベルであること、潤沢なマナがあることが通例でした。


 今まで窮鼠スキルはレベルは60以上の方でしか前例がありません。

 しかし今回のリオンさんはレベル41。これである仮説を立てました。」



 神官はまた軽く咳払いをする。



神「窮鼠スキルの習得自体はレベル40前後にはすでになされている。


 あとは困難さ、いわゆるピンチゲージの到達と豊潤なマナを以て、そのスキルを発動できる。

 と今のところはこんなところですかね。


 今までの窮鼠スキルの発動者に低レベルの方がいなかったのは、単にその人のマナ容量がスキル発動要件に到達していなかったからだと思います。


 このパーティではミカさんがその枷を外す役割をしていたんですな。」



ミ「不可能を可能にする少女、ミカ…素敵な通り名がついたっスね。」



 他のメンバーは聞いていない。



神「申し上げた通り窮鼠スキルを使いこなす猛者も過去にはいました。

 何が自分のスキルのトリガーになるかしっかり見極めて、進んで使いこなして行くと自分のものになるかもしれません。


 とはいえ反動はご承知の通り。

 体力に余裕があるときに試行錯誤してみるのが良いでしょうな。」



 リオンは神官に礼を言う。



 次はマイアが魔法陣のある部屋に入っていった。


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