第36話 戦いを終えて
痛む頭をこらえ、白くなった景色が次第に色を帯びていく。
リオンが目を覚ましたのはいつもの宿だった。
リ「う、痛てて…。」
ミ「あっ、リオンがやっと気づいたっス!具合はどうっスか?」
リ「よろしくはねぇな。
最後はなにをしてたんだっけ…。」
リオンが記憶を辿る前にマイアが答えを言ってしまう。
マ「君はフロニア洞窟でワイバーンと戦っていたんだ。
ミカの力を借りて凄まじい一撃でワイバーンを倒したあと、ふらふらになって倒れてしまったんだよ。」
リ「そうか…、そうだったな。
それでダンジョンはクリアできたんだな?」
コ「そ、そうです。
ドロップ品にマナの結晶にとおみやげは大量です。
ぼ、ぼくたちもついひと時前にここに返ってきたばかりで、ギルドへの報告はリオンさんの回復を待ってからにしようかと話していたんです。はい。」
マイアがメメを指し示して言う。
マ「あと彼女に礼を言っておくんだね。
メメはバフの切れた体で、君のことをダンジョンからずっと背負ってきてくれたんだ。
君に大事ないようにと、とても丁寧に運んでいたよ。」
リ「そうか。
メメ、どうもありがとな、恩に着るぜ。」
メ「いえ?力仕事は苦にならないわ。」
顔を戻すとリオンは訝しげな顔を作った。
リ「それにしてもあのスキル、巌裂きは何だったんだろうな。
これまでもバフ切れを起こす前とかにミカの補給を受けることはよくあった。
だが、ついぞあんな技は出せた試しがなかったんだ。」
マ「あれは不思議だったよね。
制御できるなら、はなまるパーティの大きな切り札になる。
…そこでみんなで話し合ってたんだけど、ギルドでクエストの報告ついでに、そろそろもう一度みんなでレベルの鑑定を受けてみようかという話になったんだ。
君に新しいスキルが備わったのなら、その話も詳しく聞けるだろうし。」
リ「悪くねぇ話だな。善は急げだ、ギルドに向かおうぜ。」
リオンは急に立ち上がったと思うとふらふらとよろける。
メメに支えられながらベッドに腰を下ろす。
メ「馬鹿ね、ギルドは逃げやしないわ。
その様子じゃ正しいレベルも測れないでしょうに。
軽く食事でもとって一度しっかり休むことね。」
みんなで遅い昼食を取ると、おのおの簡単な休憩に入った。
その後リオンの状態はまずまず落ち着いたということで、ギルドへクエストの報告をするべく受付嬢の元に向かった。
マイアは伝えたいことがあるということで、前へ出て受付嬢と相対した。
受「わ、わ、ワイバーンですか!?
あのフロニア洞窟に?それにクリスタルフェアリーも?信じられません…。
またもや危険な目に合わせてしまったのですね、申し訳ないです!」
ミ「どう落とし前をつけるんスかねぇ?
あんな凶暴な魔物を差し向けるなんておたくはどういう方針を取ってるんスか?」
絡んでいくミカをマイアが手で制する。
マ「ミカ、茶化さないで。
言いたいことがあやふやになる。」
マイアは受付嬢に向き直る。
マ「今回のワイバーン、倒せないほどの相手かはわかりませんでした。
ただ仲間の一人が壁に叩きつけられ、そのまま数メートルも引きずられて大打撃を負ったのは事実です。」
マイアは続ける。口調はいつになく冷たい。
マ「強力な魔物が出現するのは前の件に続いてのことです。
こちらもそれなりに難しいダンジョンに挑戦したい気持ちはありますが、それとそちらの方針は別でしょう?
事前に紹介された難易度に見合うダンジョンを挑戦していただけないと、こちらも安心してクエストに挑むことができません。」
受「すみません…肝に銘じておきます。
魔道記録書をお預かりして、上層部の審査部の方に回させていただきます。
今度はこのようなことがないようダンジョンをきっちり査定させていただきます。申し訳ございませんでした。」
マ「お願いします。あと、ワイバーンを倒したこともパーティの実力として審査してくださいね。」
はなまるパーティ一同は立ち上がり席を離れた。
メ「あなた、あんなに怖い顔ができるのね。
受付嬢さんもたじたじだったわよ。」
マ「正直多少強い魔物が来ても今のところ問題ないんだけどね。
前の事があっての今回だし、対処できないほど場違いなのが出ると困るから強めに言っておいたんだよ。」
セ「あのトーンはそんな簡単な感じじゃなかったわよ。
マイアは怒らせたくないわね…。」
次に向かったのはレベル判定をしてくれる神官のもとだった。
ミ「神官のおじちゃん!久しぶりっス!」
マ「こーら、君は。
馴れ馴れしいよ。」
神官は意に介さない様子だ。
神「いいんですよ。
私はどうも人に堅苦しいと思われている節があるんで、親しげにしていただけると嬉しいぐらいです。
それにしても…。」
神官ははなまるパーティを見渡して言う。
神「あなたたちのパーティ、短期間で人数が増えましたな。
しかもみなさんお強そうだ。」
ぎくっ、とする面々。
転生装置をバカスカ使っていることは何となく言いづらい。
ミ「ああ、それならミカがっスねぇ」
何も考えてないミカの口をリオンがふさぐ。
セ「おほほほ…、知り合いのつてみたいなものかしら?
居心地がよくてみんな気が合うんですの。」
神「そうですか。仲がよさそうで何より。」
神官は特に気にしていないようだ。
神「それではレベル鑑定を始めていきましょう。
最初は誰からにしましょうかな。」
メ「私からいくわね。」
一番の新人ということでメメが別室の方に向かっていった。




