第35話 閑話休題 6 クイズ!2人の気持ち
ある気持ちの良い午後。散歩から帰ってきたミカが宿のリビングにやってきた。
ミ「お、おおぅ。ガネーシャじゃないっスか。相変わらずでかいっスね。」
戦闘中と同じようにガネーシャが宙に浮いていた。
だがミカの一言を受け、なにやら不満げな様子だ。
気づいたセシリアがミカに声をかける。
セ「あら、ミカじゃない。散歩はもう終わったのかしら?」
ミ「ええ、それはまぁ滞りなく…ところで珍しく宿でガネーシャを召喚してるんスね。一体どうしたんスか?」
セ「あぁ、今グレイビーボートを磨いてるんですわ。
汚くても戦闘に問題はないけど、こういうところを正せるかどうかで勝敗に響く場面があると私は思うんですの。
それにくすんだままじゃガネーシャにも申し訳ないですしね。」
ミカの頭にはてなマークがともる。
ミ「それとガネーシャを出してるのに何の関係が…?」
セ「私がグレイビーボートをこすると、どうせガネーシャが出てきちゃうでしょ?
あらかじめ呼んで待ってもらっているのよ。」
なるほど、そうだったとミカ。
それならと次に思ったことを聞いてみる。
ミ「ガネーシャは喋れないみたいだけど、セシリアはガネーシャの気持ちってよくわかるんスか?」
セ「もちろんよ。幼いころからずっといるもの。つーかーの仲ですわよ。」
ミ「それなら教えてほしいっス。
なんかさっきからガネーシャが『おこ』みたいなんスけど、理由は一体何なんスかねぇ?」
セシリアはちらっとガネーシャの表情を見ると、さも簡単という風に答えてしまう。
セ「火を見るより明らかね。
あなたさっきガネーシャをでかいよばわりしたでしょう?
ガネーシャは、でかくて何が悪い、ちびで戦闘の役に立たないあなたより俺の方が数段えらい、ってそういってますわ。」
気持ちが伝わり満面の笑みになるガネーシャ。
対して激昂するミカ。
ミ「なにおー!この象頭そんなことを思ってたんスかー!!
誰がちびで戦闘の役に立たないなんて…いや、待って待って。
いくら気持ちが読めるといってもそんな細かいことまで表情でわからないっスよね?
これはセシリアがいくぶん盛ってるんじゃないスか?」
セ「いいえ、ガネーシャの反応をみてみなさいな。これ以上ない笑顔でしょう?
これはガネーシャの気持ちがしっかり伝わった証。れっきとしたガネーシャの本音に間違いないですわ。」
ミ「いや、納得いかないっス!これは2人してミカを馬鹿にしてるに違いないっス。
それならミカにも考えがあるっスよ。
しばしお待ちを!!」
――数分後――
ミ「えー、ということで今回お2人にはフリップの方ご用意させて頂きました。」
事態を呑み込めず呆気にとられる二人。目が死んでいる。
ミ「ルールは簡単ス。
ミカがガネーシャに簡単な質問をしていくっス。
2人は向かい合って、それぞれその答えをフリップに記入するんスよ。
セシリアはガネーシャの答えをその表情だけで当てること!
もし間違っていたらミカに対して2人で謝ってもらうっスよ。」
解説を聞き、フリップとペンを手に取るセシリア。
セ「なるほどね。でもどうせ徒労に終わるでしょうけど。
ガネーシャ、ちゃちゃっと片付けちゃいましょう?」
ガネーシャも同じようにするとセシリアと向かい合う。
まったくどうでもいいことから端を発し、辺りは緊迫した空気に包まれた。
ミ「では第一問。ふたりの初めて会った場所は?」
ガネーシャのペンが走る。セシリアも同様だった。
ミ「では二人ともオープン!」
ガ『自宅食卓にて父からグレイビーボートを譲り受けて』
セ『食卓で父よりグレイビーボートを渡されて』
ミ「んん~っ、正解!」
セ「いや、私が知らないことにしないと意味ないでしょ。」
ミ「うっかりしてたっス。定番の質問だからつい…。」
ごほんとせき込むとミカは続ける。
ミ「第二問。ガネーシャが異性に求めるものは?」
ガネーシャは少し考えるとペンを走らせる。
それをじっと見つめ、セシリアも続く。
ミ「ではどうぞ!」
ガ・セ『包容力』
ミ「今度も正解!」
セ「見事でしょう?私たちの仲。」
ミ「いやでも男はそういう女性を求める人も多いし…。」
ガネーシャはプライベートなことまで明かされて少し恥ずかしそうだった。
ミ「第三問!新婚旅行にいくならどこ?」
セ「思うんだけど、あなた少しテレビに毒されすぎじゃあないかしら…。」
これまた同様に2人は書き終えた。
ガ・セ『トーリエ』
ミ「正解!ってどこなんスか!?」
セ「私たちがいた世界の保養地よ。残念だったわね。」
ミ「じゃあ次は…。」
ここでセシリアがミカを止める。
セ「待って。これだけ正解してるのよ。
このままだときりがないわ。次がラスト。
それで終わりにして頂戴。」
ミ「うーん。わ、わかったっスよ…。」
ミカはうんうん悩むと最後の質問をひねり出した。
ミ「第4問。はなまるパーティで一番しおらしくて素敵な女性は?」
ガネーシャはすぐにペンを取りフリップを書き終えた。
セ「おーほっほ。考えた末の質問がそれ?
そんなの簡単すぎるわよ。」
セシリアもペンを繰る。
ミ「ではどうぞ!」
ガ『マイア』
セ『セシリア』
セ「ほらね、そんなの私に決まって…ってガネーシャ、どういうことなの!?
なんで私の名前を書いていないんですのよ!」
鋭いカポエイラでガネーシャに蹴りかかるセシリア。
困り果てた表情でどたばたと部屋中をガネーシャが追われる。
ミ「答え、ミカじゃなかったんスね…。
それであのー、お2人さん、いいスか?
間違ったから謝ってほしいんスけど…。お2人さん…?」
部屋を所狭しと駆け回るセシリアとガネーシャ。ミカの声はしばしの間、2人に届くことはなかった。




