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第32話 フロニア洞窟 その2



 探索は好調だった。メメをパーティの中央に据え、なるべく多くの敵を瞳力でおびき寄せる。


 メメの両脇後ろに配置された魔法職が、近づく魔物に次々にフレアを繰り出し、メメの横に位置する前衛がメメ・リオン、セシリア・ガネーシャ体制で挟撃を図る。



 敵は近接タイプのものが多く、魔法を使うものはあまり見られなかった。

 ゆえにしっかり数と数で対応し、分断を避けていれば大きな損害を出さずに歩みを進めることができた。



ミ「案外たいしたことないっスねぇ。ミカたちの作戦勝ちっスかね。」



セ「ここまで危なげなく戦闘をこなせてますわ。

 メメの加入で後衛が危険に合わずに済んでいて助かりますわね。」



 するとメメが立ち止まる。同時にはなまるパーティ全体が待機する。

 これはメメが魔物の接近を予感した合図なのだ。



メ「三体の魔物が来るわ。うち二体はハウンドで間違いなさそうね。

 でも後の一体…すごいマナを感じる。速さもハウンドと遜色ないわ。」



マ「新手かな?素早い敵想定、みんな気を引き締めていくよ。」



 向こうに敵影が近づいてくる。

 今までに見たことのない敵がいた。


 正八面体の青い水晶のような姿。

 周囲には衛星のように小さな水晶を2つ携えていた。



 コルックが反応する。


コ「あ、あれはレアモンスターのクリスタルフェアリーです。

 固いですが倒せば大量の経験値が得られます。


 ただ魔法は強烈で逃げ足も速いです。はい。

 む、無理しないようにしましょう。」



リ「例の話のやつだな。

 メメの鍛冶場が整えば専用武器でチャンスはでかいんだが、ないものは仕方ない。

 まぁ削っていくしかねぇな。」



 メメが瞳力を発動する。

 ハウンドがこちらに向きを変えるが、フェアリーには効かないようだった。


 フェアリーは衛星から氷属性の魔法フローズンを立て続けに発射する。標的は後衛だった。



マ「氷属性ならフレアで相殺できる。

 念のためコルックはフレア射出後にシールドを展開しておいて。」


 フェアリーの魔法はフレアに阻まれ、後衛に届かない。


 フェアリーは電子音とともにくるりと転回すると目標をセシリアに向けた。連続での魔法がセシリアの足元を襲う。



セ「ハウンドに魔法に忙しいですわね。

 ガネーシャ、ハウンドを抑えておいて。


 そっちのハウンドはまだ片付かないの?」



 回避に専念するセシリア。

 メメに突撃していたもう一体のハウンドを後ろからリオンが後ろから斬り捨てる。



リ「この野郎!」



 リオンがフェアリーにしがみついた。

 フェアリーはくるくると回転するがリオンはがっしりしがみついて離れない。


 衛星からのフローズンがリオンを襲う。



リ「べらぼうな威力だ、体が持たん。援護しろ。」



メ「チャンスです。食らいなさい!」



 メメのモーニングスターが水晶の中央めがけ振り下ろされる。


 水晶にヒビが入った。

 メメと距離を取るフェアリーからおかしな電子音が連続で鳴り響く。



リ「コルック!こっちに来て腕にバフをかけてくれ。」



 すぐに動き、従うコルック。

 サラマンダーの力を借りたバフ、エンパワーによって凄まじい膂力を得たリオンは、掴んだ両手に力を加えフェアリーを締め上げる。


 凍えた腕が熱を帯びるほどリオンはミシミシと力を込める。



 やがてひとすじ、またひとすじとフェアリーの水晶にヒビが入り、ついには水晶はヒビでいっぱいになった。



 そこに追いついたメメがモーニングスターを高く掲げる。



コ「メメさん、受け取って下さい!」



『メメの力は岩をも砕く!攻撃力が倍化する!』



メ「落ちろぉ!」



 水晶に鉄塊が振り下ろされる。

 それはフェアリーの鎧を木っ端微塵に打ち砕いた。


 砕け散ったクリスタルフェアリーは周囲にマナをばらまき、やがて消えた。



 ハウンドを片付けたセシリアとマイア、ミカがこちらにやってきた。



セ「こちらも片付いたのね。まさか倒せるなんて思ってもみなかったわ。」



リ「思わぬ戦果だったな。危ない橋を渡ったが十分見返りがあった。」



 するとフェアリーの残滓に何やら光るものがあった。



マ「おや、フェアリーの散らばった跡に何か残っているみたいだよ。」



 マイアは近づくとそれを取り上げる。



 それは小さな水晶のような塊だった。


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