第18話 閑話休題 3 セシリアはお年頃
マ「ふぅ、今日は疲れたね。
結局ミーティングの後に屋台の買い付けに行って、みんなで市場の下見もしてきたから。」
首をくねくね傾けると疲労困憊のミカも続けた。
ミ「他にもギルドで地理に明るい人がいるから、キャラバンの最初の候補地の相談にもいったんスよね。
パーティ名の登録もついでに終わらせたりと、けっこう怒涛のように動き回ったっス。」
セ「でも、こうやって描いていた計画が現実味を帯びていくのってなんだか悪くないですわね。
大変ですけど、私たちが努力すればするだけ誰かの笑顔に繋がっていく、そんな気がしますわ。」
お風呂から出てきたリオンが声をかける。
リ「まだくっちゃべってんのか、元気だな。
コルックも寝たようだし、俺は先に寝るぜ。
あんまり夜更かしすんなよ。」
マ「男性陣には荷物持ちに屋台引きと疲れる仕事を任せたね。ありがとう。
本番は荷物を積んでさらに過酷になるから段々体を慣らしていこうね。」
あいよ、と言葉をかえすとリオンは階段の上へ消えていき、扉の締まる音が鳴った。
するとセシリアがこちらへ向き直り、わざとらしく声を落とすと二人に訊いてきた。
セ「…それで2人はどちらが気になってるの?」
ミ「気になってる?リオンのアホ具合はつねづね気になってるっスが。」
マ「あーミカ、違う違う。
セシリアが言ってるのは2人が異性として好きかどうかってことだよ。」
セシリアは目を爛々と輝かせ、うなずく。
ミ「恋ってことスか?あー、生憎ミカはそういうのないっスねぇ。
リオンはただのごついおっさんだし、コルック君は優しい友達ってだけでなんとも。」
マ「私もそうだね。2人とも信頼のおける仲間でそれ以上のことはないよ。」
セ「うそうそ!
私の入る前から4人は行動を共にしてきたんでしょ?
ロマンスの1つや2つあってしかるべきだわ!」
ミ「そんなこと言われてもないものはないっスよ。」
マ「セシリアほどじゃないけど、2人とは一緒になって日も浅いしね。」
セ「つまんないわー。
もっと恋バナを聞かせてー。
応援とか、予期せぬアクシデントを演出とかしたいですわー!」
机の上に突っ伏してやだやだするセシリア。
やりきれない表情で向き合うミカとマイア。
ミ「セシリアってこんな性格だったっスか?」
マ「恋に恋するお年頃ってやつなのかな?」
逆にとマイアがセシリアに水を向けてみる。
マ「それならセシリアはどう?
2人のことは気になったりしないのかな?」
セシリアが顔を上げ答える。
セ「私は『見る専』なの!
他人の恋路を見届けるのがライフワークなんですわ。」
はた迷惑な生き様の暴露にあきれ返る2人。
それからもなかなか満足できない日々が続くセシリアであった。