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第17話 ゴーゴー!キャラバン その2


 キャラバンの決定に沸き立つみんなを前に、出し抜けにミカが聞く。



ミ「そういえば私たちのパーティって名前を付けておかなくてもいいっスか?

 キャラバンをするときはもちろん、他のどこかでもしっかり名乗れる名前があってもいいと思うっス。」



 ミカにしては珍しい現実的な提案にリオンが唸る。



リ「なるほど、たしかにそうだな。

 ミカにしては気が回るじゃないか。


 問い合わせがあったときになんとなく、冒険者のパーティでやってます、じゃ締まらないもんな。」



セ「ギルドでは何か名乗ったりしなかったのかしら?

 どうなのマイア。」



 クエスト受注をいつも申し込むマイアが答える。



マ「ギルドでは受付番号だけで事が済んでいたからね。

 パーティに名前も代表者もいらなかったのさ。


 もちろん登録しておくことは可能だよ。

 いつかいつかと思って先延ばしになっていたね。」



 そこでコルックが反応する。



コ「そ、その代表者っていうのも大切だと思います。

 トラブルがあったときなどに、責任をとれる代表者の名前を挙げられて然りかと。はい。」



リ「名前を付けるならキャラバン自体にもいるんじゃないか。


 他の団体のキャラバンと区別をつけるためにも、『私たちは○○キャラバンです』って名乗れたほうがいい。

 リピーターが付くのにも名前はしっかりした旗印になるからな。」



マ「名前のことだけでもこれだけ足りないことがあったなんてね。

 ではパーティ名、代表者、キャラバンの名前をみんなで考えてつけていこうじゃないか。」



 おずおずとコルックが手を挙げる。



コ「じゅ、順番が逆になっちゃうんですけど、代表者っていうのはマイアさんが適任なんじゃないかと思います。へへっ。


 何事にも落ち着いているし、みんなの意見を尊重してよく相談して下さいます。」



リ「俺も同感だな。

 代表ってのは独りよがりになるやつが一番怖い。


 マイアの場合はそういうこともなさそうだし、何よりみんなのことをよく見てる。

 年の割によくやってくれていると思うぜ。」



 2人に褒められてマイアの頬が紅潮する。



セ「ふふっ、信頼が厚いのですわね。

 私もここにきて浅いですが、特に反対する理由はないですわね。

 決を採りましょうか。」



 賛成に挙手を募ると、マイア以外の全員の手が挙がった。

 誰からともなく拍手が広がる。



マ「みんな、ありがとう。拙いながらも代表を一生懸命させてもらおうと思うよ。


 ちなみに副代表を指名してもいいかな?

 私が不在の時の判断を委ねたり、庶務の相談に乗ってもらえると非常に助かる。」



セ「適性さえあればいいんでなくて?

 まだパーティのメンバーが少ないとはいえ、1人でなんでもしょい込むのはよろしくないでしょうし。」



 他の各々もうなづく。



マ「ありがとう。それではリオン、君に副代表を頼むよ。」



リ「俺か?もちろん構わんが買い被り過ぎちゃいないかね。」



マ「いいや、年長者の君の意見はいつも参考になるよ。

 兵団長をしていただけあっていつも一歩引いて全体を見ている。


 ゆえに重要な決定をするときは君の見解を聞いておきたい。」


 リオンは頭をかいていたが、すぐに向き直り口上を述べる。


リ「不肖リオン、副代表の任を仕るぜ。

 どうせならここは風通し良い場所でありたいと願っている。


 どんな小さなことでもマイアや俺に相談してくれ。いいパーティにしよう。」



 みんなが拍手をする。



ミ「お客さんの対応でイライラしたらいけないっスよ。」



マ「それは確かに言えてるかもね。」



 リオンはふん、と鼻であしらった。



マ「いつの間にかミーティングになってるし、ここから進行は私が務めさせてもらおうかな。

 さて、パーティの名前の候補、誰かあるかな?。」



 うーんと考え込み誰からも手が挙がらない。

 それをきょろきょろと見渡していたミカ。

 意見が出ないのを見て、ハイハイと手を挙げる。



マ「じゃあ、ミカ。いってみて。」



ミ「ミカは『はなまるパーティ』がいいんじゃないかと思うっス。」



コ「か、かわいらしい名前ですね。」



 ミカが続ける。



ミ「はなまるはミカが絵を描くときの太陽のことなんっス。


 太陽をシンボルに据えたこのパーティは、いつも暖かでエネルギーに満ち溢れているって意味なんス。

 …だめっスかね?」



リ「みんなは知らねーが、俺はいいぜ。


 名前なんて所詮ただのレッテルだし、込められた意味は悪くない。

 お前のマナは太陽みたいに無尽蔵だしな。」



セ「いいんじゃないかしら。お日様のように元気になりそうですわね。」



 提案に対する雰囲気は悪くなかった。

 それを見てマイアが進める。



マ「長く使う名前のことだしもっと考えてもいいかもしれない。


 決を採るけど、もう少し慎重に考えたいっていう人は棄権ということで挙手しないでね。

 では賛成の人は挙手をお願いします。」



 少し間があってパラパラと手が挙がる。最終的には全員の手が挙がった。



マ「ではこのパーティの名前は『はなまるパーティ』に決定です。明日にはギルドにも登録してくるね。」



 拍手が鳴った。



マ「最後はキャラバンの名前だよ。宣伝を打ったりするのもその名前だから、イメージが大事だね。

 ではどうぞ。」



 またみんながパタリと静かになる。

 今度はミカもうんうん考えているようだった。


 雑談なんかを交えながらいろいろ意見を聞いてみようかな、とマイアが思ったとき再びミカから手が挙がる。



マ「ミカ、どうぞ。」



 おずおずとミカが口を開く。



ミ「名前は『ゴーゴー!キャラバン』っていうのはどうっスかね?ゴーゴーの後にビックリマークが付くっス。


 ミカたちは元気いっぱいに訪れて、お客さんにも元気になって帰ってもらうんス。」



 ミカの意見を聞いてみんな考え込む。

 最初に口を開いたのはリオンだった。



リ「俺は商売だから、安心や信頼が伝えられる名前がいいかなと思っていたんだ。


 だけど俺たちは若い。

 変に小細工を弄するより、元気さを押し出していくってのも新鮮でいいなと思ったぜ。」



コ「は、はなまるパーティのゴーゴー!キャラバン。

 かわいらしくて勢いがあってなんか素敵かな、と思います。はい。」



セ「そう並べてみると悪くないとは思います。

 ただ私はまだいい案がありそうでちょっと保留ですわね。」



 セシリアの意見を汲んで、少し考える時間を取る。5分後マイアは決を採る。



マ「ではキャラバンの名前に『ゴーゴー!キャラバン』で賛成の人、挙手願います。」



 するとパラパラと手が挙がり、全員が賛成の意思を示した。



マ「それではキャラバンの名前は『ゴーゴー!キャラバン』に決定しました。とくに意見がなければ今日の議題はすべて終わりです。みんなおつかれさま。」



 最後に大きな拍手が響いた。


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