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第12話 4人パーティまかり通る! その2


マ「行くよ、コルック!」


コ「了解です、はい。」



 マイアの聖属性魔法、フォトンが地を這う。

 避けそこねた1体のゾンビが蒸発した。


 相手に休む間を与えることなく、今度はコルックのフォトンが敵に襲いかかる。

 これが敵のパーティを瓦解させ、残り1体のゾンビがこちらに向かってくる。



リ「任せな、今度こそ!」



 リオンの剣はしかとゾンビを捉えたかに見えた。


 しかし、ゾンビは怯むことなくリオンに手痛い一撃を繰り出した。



リ「ぐはっ、これが手負いの攻撃力かよ。」



 ゾンビの大きく裂けた傷はみるみるうちに塞がっていった。距離を取り直し、掌を地に体制を整えるリオン。



 しかしその一瞬後、ゾンビはコルックの放った魔法によって消し飛ばされた。



マ「おつかれ。コルックと私はは息がピッタリ合うね。

 一度魔法を打てば、次の魔法までに足が止まってどうにも回避しにくいようだ。リオン、回復するよ。」



 リオンが攻撃を受けた場所に光を当てるマイア。



コ「ぼ、僕の使える攻撃魔法は聖属性だけなんで、ここの魔物とは相性が良くて助かってます、はい。」



ミ「それにしてもリオンはさっきから何やってるんスか?

 ただの踊りならおやつの肴に見てやるから、帰ってからやるっス。」



リ「こいつ、言わせておけば…。

 しかしこのダンジョンはつくづく俺に向いてないな。


 ゾンビは切っても何度も復活するし、ゴーストは実体が薄いからそもそも斬撃が効きにくいときたもんだ。」



マ「聖属性の武器なんかを武器屋で揃えておけば違ったろうけど、まだお財布事情がね…。」



 すると思い出したようにコルックが言う。



コ「ん、聖属性の武器…すっかり忘れていました。

 ぼ、僕は武器に聖属性のエンチャントをかけることができます。」



 驚いてリオンが振り返る。その顔はさも嬉しそうだ。



リ「ほんとか?ホラー系の魔物に効くんだよな?

 おいおい早く言ってくれよ。今までの苦労が水の泡だぜ。」



コ「す、すみません。

 向こうではパーティに入って冒険するなんてことほとんど無かったもので…。ヘヘっ。」



 一呼吸おいてコルックは付け加える。



コ「た、ただ1つ言っておきたいことがあります。

 普通の使い方だとエンチャント等のバフはかけられた人のマナを使います。」



 戦い慣れているリオンは知っている。

 だがマイアとミカには初めて聞く話だった。



コ「リ、リオンさんはレベルも高いので、大きい問題にはならないかと思います。

 だけど流石に長いダンジョンでずっとかけっぱなしだと、通常はダンジョンの奥までマナが持ちません。


 ミカさんがいる僕たちには些細な問題ですが。はい。」



マ「それでもレベルの低い私がバフを受けるときは要注意だね。


 魔法を撃てば自分や周囲のマナも枯渇するし、ヒットアンドアウェイで敵と対峙しているとミカのマナも受けられない。」



リ「大事なときにガス欠で、バフは切れるわ魔法は打てないわ、だと目も当てられないな。」



 リオンは剣に聖属性のエンチャントを施してもらった。

 するとグリス墓地の攻略はさらに難易度が下がった。


 魔法の二枚看板でほぼ敵は壊滅していたが、運良く生き残って襲いかかってきた魔物も、リオンの一撃のもとにあっさり倒されていった。



 最深部まで探索が終わり、そろそろ帰るかという雰囲気になったとき、マイアが声をかけた。



マ「さっきのバフをかけながら戦う話なんだけど、今の自分でどのくらいの時間バフが保つのか試しておきたいんだけどいいかな?」



リ「確かに知っておきたい情報ではあるな。コルック、後で俺も頼むぜ。」



コ「りょ、了解です。まずはマイアさんから行きますね。」



マ「待って。ミカ、手を貸して。

 自分のマナをいっぱいにしてから確かめるよ。」



 ミカからマナの供給を受けるマイア。自らのマナの器を目いっぱいに満たしコルックに向き直る。



マ「バフは素早くなるものを足に頼むよ。コルック、よろしく。」



コ「で、では改めて。ヘイスト!」



 マイアにシルフの祝福がかかる。

 マイアが俊敏に横に飛ぶと、元居た場所から遅れて魔法が出現する。



ミ「見えないっス!」



 仮想敵であろう大きな空の墓穴に、様々な方向からマイアの放った炎弾が撃ち込まれていく。



 へぇ、と漏らすと口笛を吹くリオン。

 コルックも様子をまじまじと見つめている。



 しばしあってマイアは立ち止まり、振り返って見せた。



マ「ここらが限界だね。五秒程度といったところかな。」



ミ「凄まじい速さだったっスよ。」



リ「バフなしの俺の全力の8割くらいの速さだな。

 魔法の数も申し分ない。ただ、だ。」



 コルックが言葉を繋ぐ。



コ「ま、魔法の威力が足りませんね。

 あれだとタフな魔物相手には決定打になりません。はい。」



 本人よりショックを受けるミカ。



マ「まぁ、そんな気がしていたよ。

 速さ、魔法の数、魔法の威力とこれらを併用するにはまだまだマナが足りないね。


 これでもここいら一帯のマナを、魔法とバフに利用してみたんだけどね。」



リ「レベルを考えると十分だろ。

 ゆくゆくはミカのいるおかげで、連戦して使える強力なスキルになるさ。」



 続きはリオンの番だった。



 肝心の動きは速すぎて他の三人には感じることができなかった。

 リオンはマイアが深く穿った墓穴と他の空いていた穴いくつかに、わざわざ代わる代わる土を入れ埋めてしまった。


 ついで盛られた土を使って大きな墓標を作り、『ミカのハ(゛)カ』を銘を入れるとリオンは三人の前に再び姿を現した。



リ「十秒だな。これより早くすると足が持たねぇ。」



 メチャクチャな超スピードを前にして言葉の出ない面々。

 もうこいつ一人でいいんじゃないか。悔しいがそう思わざるを得ないミカだった。


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