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第1話 始まりは洞窟の奥から その1


「現在あなたに紹介できる仕事はありません。期間をおいて再びお越し下さい。」


「またっスかぁー!!」



 ギルドの受付嬢にそう告げられ、もんどりをうって床に転げる少女。

 水色の瞳を潤ませ、緑色の髪を長く伸ばし後ろにおさげで結んでいる。


 地味そうないでたちとはまるで真逆に、アグレッシブに駄々をこねていた。



「何がダメなんスかー!

こんな薄幸の美少女をほおっておいて、なんの手も差し伸べないなんて世の中間違ってるー!」


「そうは言いましてもですね。」受付嬢は答える。



「魔法は使えない、腕っぷしがあるわけでもない。まぁマナの保持量は多いようですけどそれだけじゃあね…。


 ただの女の子にダンジョンに入ってもらっても危ないだけなんですよ。時代はコンプライアンス重視ですから…。」



「コンプラがなんだチクショー!そのせいで最近おもんないテレビばっかりじゃないかー。もっと芸人に体を張らせろー!」


「いや私に文句を言わないでくださいよ…。

 それよりもダンジョン以外の仕事なんてどうです?


 そちらでしたら紹介できる仕事がないわけでもないですよ?」



「いやです!私はダンジョンに生きる少女、ミカ。お宝の眠るところにこそ私の存在があるのです。」


「さいですか。だったら次の方もお待ちなんで、お引き取りいただいてもよろしいですかね?」




 とぼとぼとギルドを後にするミカ。そこに、壁に背を預けていた少女が気づき、近づいて声をかける。



「どうだった? …んー、まぁその様子じゃ仕事はなかったようだね。」


「まだちょっぴり独り立ちは早かったようっス。

 

 マイア、まだまだ養ってほしいです。また一緒に行けるダンジョンの仕事を取ってきてください…。」



 ミカはがっくりとうなだれて、その様子に覇気はなかった。


 マイアは元気づけるようにミカに言う。



「まかせて。また一緒にダンジョンに行こう。次こそは大きいお宝を探そうね。」


 マイアは栗色の髪を肩まで伸ばし大きな黒い瞳をしていた。

 優しそうな印象と理知的なイメージを併せ持っている。



 数分後ギルドに入っていったマイアがほどなくして戻ってきた。



「お待たせ。クエストをもらってきたよ、ミカ。

 ウリウの洞窟ということだね。


 私もちょっと魔法が使えるだけのぺーぺーだから今回も…。」


「E級、っスねぇ…。」



 ギルドのクエストのランクはA~Eの大きく5つに分けられる。最も難しいのはA、簡単なのはEだ。


 だがそれぞれの区分の中でも難易度には差がある。

 二人はEの中でも簡単な部類のものしか受けたことがなかった。



「経験をたくさん積んで、早く二人で一人前の冒険者になるっス!」



 二人してうなだれた肩を直すとクエストのある洞窟に向かっていった。




 クエストの中には様々な種類があるが、今回はいわゆる『ゴミ掃除』と言うやつだった。



 この世界には他の世界との境界が薄くなっている場所が多々あり、ときどきそこが開いては魔物やマナの風が流れ込む。


 そうして開いた場所の魔物を退治し、ギルドに顛末を報告するのが『ゴミ掃除』と呼ばれる仕事だった。



 『ゴミ掃除』は魔物を倒してその角や牙などを集めたり、ときには吹き込んだマナから生成された結晶が見つかったりとおいしい仕事の部類ではある。


 ただE級となると話は別で、魔物は牙など無縁な可愛らしいものが多く、結晶も吹き込む風が弱くほぼほぼ見つかることはなかった。



「フレア!」


 マイアが幼獣ネズミたちを焼き払った。


 倒された魔物はマナとして宙に還り、経験値を落とす。時おり体の一部などのドロップ品を残していくこともある。



「相変わらず、すごいっスねー。あんなのとはいえ集団でかかられたらミカはひとたまりもないっス。」


「でも魔法をあれだけの威力と回数で放てるのはミカのおかげなんだよ。


 私だけだったら入り口でガス欠しちゃうからね。ミカにマナを分けてもらってるから私もいつまでも戦えるんだ。」



 マイアはにっこり笑う。なんとなく褒められたのが嬉しくてミカも照れながら微笑み返した。


 どうやらウリウの洞窟の最深部らしきところまで見回れたようだった。

 あとはギルドに戻って報告するのみ。



 だがミカが洞窟の奥の壁を見やっている。



「あそこだけ何か光ってないっスか?」


 マイアもそちらに目をやると確かに壁の一部が光っている。


「ほんとだね。なんなのだろう。」



 つかつかと光る岩に近寄るとおもむろに手をかけるマイア。

 だが岩はびくともしなかった。


「これはだめだね。気になるけど男手をいくらか呼んでこないと動きそうにない。…ミカ?」



 マイアが諦めて離れた岩にミカはそっと手を触れてみた。


 すると岩は低い振動とともに横に動きだした。中には空洞が続いていた。



「ミカ、きっと君のマナに反応して開いたんだ。光っていたのも君を呼んでいたのかも。」


 二人は目を見合わすと軽くうなずいた。少し逡巡したあと覚悟を決め、洞窟の奥へと続く細い道を歩みだした。



マイア「ここまで読んでくれてありがとう。

 ここは私たちからのお願いのお知らせをしてるんだ。」


ミカ「ミカたちのお話が面白い!もっと見たい!と思ってくれた人は↓の★★★★★評価とブックマークをお願いしてるんス。」


マイア「作者のモチベーション維持に繋がるからしてくれるととても嬉しいな。」


ミカ「と、作者が言ってます。美少女じゃなくて済まないっス。」


マイア「それではお気に召されたら続きもどうぞ。

 もっと愉快なパーティメンバーが増えていくよ。お楽しみにー。」

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